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津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

心に留めたい一文・・朝日新聞より

2011-09-30 18:19:33 | memo


無限の前に腕を振る 中也の詩 3.11後の心救う  朝日新聞から引用

 〈風が立ち、浪(なみ)が騒ぎ、/無限の前に腕を振る。〉――81年前に書かれた中原中也の詩の言葉が、東日本大震災を目の当たりにした詩人たちの心をつかんでいる。

 その一人は、佐々木幹郎(63)だ。中也の故郷・山口市で、18日にあった講演会「詩のことばは、何を救うか?」などで、この体験にふれた。

 東京で暮らす佐々木は、3.11以後の不安と恐怖のなかで詩を書き、自分の詩に絶望する。「半世紀近く書いてきたのに、あの惨状を表現する言葉がなく、情けなかった。本能的に技術でまとめようとしているのも嫌でならなかった」

 ふいに長詩「盲目の秋」の冒頭が心に浮かび、新しい顔を見せる。「そうか、今は無限の前に腕を振るしかないと、中也の言葉に救われる思いがした。中也は東日本大震災を体験して書いたのでは、と錯覚するほどだった」。『新編中原中也全集』の編集委員を務めた佐々木が、改めて中也の詩の普遍性に驚いた。

 「盲目の秋」はこの後、〈その間(かん)、小さな紅(くれなゐ)の花が見えはするが、/それもやがては潰れてしまふ。〉とつづく。もちろん大津波を表現した詩ではない。22歳の中也は、愛する長谷川泰子に去られ、喪失の苦しみを切々とうたいあげた。発表の8カ月後、泰子はほかの男の子供を産み、中也が名づけ親になる。

 そんな生々しい人生の物語は昇華され、静けさをたたえた永遠の喪失感が、3.11を経た人の心をやさしくつつむのだろう。詩の力は不思議だ。

 8月に佐々木は、地盤沈下したままの宮城県気仙沼市を取材で訪れ、夕日を見ながら思った。「中也はすごい。本当にまいった。この光景を前にしたら、あの詩の言葉以上のものはない」

 3.11以後、詩の朗読会の雰囲気が変わったのを佐々木は感じる。本当の言葉を求め、聴衆が聴き耳を立てる。これほどこわい批評者はかつてなかった。

 「震災以前からとうに、私たちは言葉から見捨てられていたのではないか。あまりに安易に使ってきたために。がれきのなかから言葉を探しだしたい」

 詩文集『生首』で4月に中原中也賞を受けた辺見庸(67)も、3.11の惨状に「盲目の秋」を重ねあわせている。辺見は深い心労から贈呈式を欠席し、こんなメッセージを寄せた。

 〈無残な映像のみが次から次へとつきつけられるのに、危機の深さと意味をかたり、わたしたちのたましいの居場所をおしえることばがないのです。つらいことです。言葉はいま、現実のできごとにあらかたおいていかれています〉

 故郷の宮城県石巻市を襲う大津波の映像を初めて見たとき、〈風が立ち、浪が騒ぎ、/無限の前に腕を振る。〉という言葉が、体の奥深くから自然にわいてきた。あの光景にこれほどふさわしい詩の表現を、辺見も知らない。

 その後、連作「眼(め)の海――わたしの死者たちに」27編を「文学界」6月号に発表するなど、辺見は詩を書きつづける。無限の前に腕を振るように。(白石明彦)

 

 

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有吉家文書「年中行事抜粋」(四十二)時習館不時被為入高覧之式

2011-09-30 10:10:57 | 有吉家文書

一御刻限一ト時前例之所江罷出候事
    但大御目附も例之通一所ニ罷出候事
    三家嫡子見習ニ被罷出面々も出席
    不苦候事
一致出席候得者御奉行并助教学校
 御目附も詰間へ出方有之候事
    但御立後も右同断之事
一名付之手控者不時御入之節ハ差出
 不相成候事
    御注進左之通
    一御供廻  一御殿御立
一東紋より被為入御出迎例之通御居間
 北御敷出ニ罷出候事
    御奉行助教学校目附御中門外
    例之所ニ罷出候事
一拝聞之諸生者御入前講堂東之御入側
 西向ニ幾重も繰付有之候軽輩陪臣
 南之入側北向ニ例之所へ繰付有之候脱劒
 之事
 右軽輩陪臣之儀定日之講尺ニ
 御入之節者兼而講堂出席御免之向ニハ
 御目通不苦候處
 高覧ト申ハ諸生之学業御試ニ付
 軽輩陪丞相聞之儀何程ニ可有之哉と
 学校御目附江問合候處是又前条是輩ハ
 不苦由申来候後年疑惑茂可有之
 記置候事
    訓導句読師ハ東ノ中之御入側諸生
    之前ニ座着今日之説教人以下ハ箱段
    下之方ニ繰付有之訓導句読師
    習書師各請前々々より繰出有之候事
    御奉行学校目附者西外之御入側訓導之上ニ
    四本目之柱之元ニ座着之事
       但訓導句読師習書御入替ハ例
       之通候事
一被為入候上例之通御椽を廻り講堂ニ出西
 中之御入側御次入口二枚屏風外御屏
 風を左ニ取東向ニ座着大御目附者
 右手少シ引下り座着之事
一御見臺ハ南より横畳五枚目一間半之
 所江始より出有之候事
一御襖明立ニ大御目附御向詰有之候
 堂中御覧所より壱間計南ニ寄
 座着之事
一御襖明候ヘハ平伏説教人出懸候得者
 手を揚候事
    但御襖ハ南之方迄明東之方ハ明
    不申候得共是ハ臨時御模様違可
    申事
一上江者御控御本有之候事
    但同席之方ヘハ控本無之候事
一高覧之次第者説教臨時読一部
 読背誦席書ニて候事
    説教人娘一人宛繰出ニ相成堂中ニ
    入御詞儀夫より脱劒ニて御見臺之元江
    罷出候尤背誦席者二人組三人組ニ而
    罷出候事
       但軽輩陪丞ハ無御辞儀無刀ニ而
       罷出候事
一一部読相済御襖建此時平伏夫より
 御見臺入書道道具取出ニ相成尤詰間へ
 参候間合ハ無之居続候事
一夫より御向詰座着ニ相成猶襖
 明候間前条之通ニ候事
    席書之人数ニ応し候介添之面々一同ニ
    罷出毛氈之頭ノ方ニ座着此出様説
    経人之通ニ候席書出来之上介添より
    段々鏡板之上ニ載候事
       但以来者両側ニ御屏風立且々張
       付ニ相成候儀も有之候事
一席書等相済御襖立平伏之事
一召出有無者其節之御模様ニ応候尤
 被召出候得者例之通罷出候事
一御中入有無茂右同断之事
一夫より被遊御立候付御椽を廻御敷出
 例之所江罷出候事
一御立跡より直ニ出勤奉伺御機嫌候
 事
    但刻限次第ニハ直ニ引取候儀も有之
    候事

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上田久兵衛忌

2011-09-30 08:46:55 | 徒然

                    故里は萩が花満つ久兵衛忌  津々

 熊本は昨日の夕刻あたりから雨が降り出しました。今日は高祖父・上田久兵衛が刑死した日です。雨もまた一興かなと思います。
私は一人、この日を「萩花忌」と呼んでいます。久兵衛の辞世

                   秋風の便りに聞けば古里の
                          萩が花妻今盛りなり


 からとったものです。お天気がよければ久兵衛が妻を偲んだ我が家、熊本市城山の半田を訪ね、又禅定寺にお墓参りに行こうと思っていましたが残念な天気となりました。上の写真は獄中で髪の元結に爪楊枝で書き記した辞世ともいうべき詩作です。久兵衛の無念さを思うと胸がふさがります。想いをはせて一日静かにすごすことにしましょう。

コメント (1)
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