一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

杉田久女 ②

2020-05-31 09:38:20 | 読書
 

         しかし、
         次第に画家への道をあきらめ、
         田舎教師に甘んじる夫に久女は失望。
         たまたま出会った俳句に没頭します。
         
         「足袋つぐや ノラともならず 教師妻」

         ノラはイプセンの『人形の家』のヒロインですね。
         自立に目覚めたノラとちがい、
         家出もせずに せっせと家庭を守る久女。

         「花衣ぬぐや まつわる 紐いろいろ」

         これには日常にあきたらない、女としての
         苦悩、煩悶、怨念……が籠められていますね~。

         最初こそ、虚子にホメられ、
         女流俳句界をけん引するほどの久女でしたが、
         突如『ホトトギス』を除名処分に。

         理由は明らかにされていません。
         それでも久女は、
         句集を出すことを唯一の希望として
         歯を食いしばります。

         しかし、
         どう懇願しても、虚子は序文を書くことを黙殺。

         当時、師匠の推薦なしに女性が本を出すことなど、
         考えられません。
 
         戦中、戦後の混乱のなかで、 
         久女は精神病棟で死去。
         「狂死」ともいわれています。

         (死後、娘さんによって「久女句集」が刊行されました)
        

杉田久女 ①

2020-05-31 09:12:53 | 読書

5月30日は俳人・杉田久女が生まれた日。
        (明治23~昭和21年 55歳没)

        高浜虚子に師事するも、
        やがて師に疎(うと)まれ拒否された不遇の俳人。
        その悲劇的な生涯は、たびたび小説の題材となった。

        これはまだ虚子に認められていた頃の句。
        「谺(こだま)して 山ほととぎす ほしいまま」

        ちょうど今頃の季節ですね。
        あまたある ほととぎすの句のなかで、
        最も好きなものです。

        久女はお茶の水高女を卒業、
        繊細で向上心のつよい少女でした。

        東京美大(現・東京藝大)卒の画家と結婚。
        中学教師であった夫の赴任にともない(福岡県)小倉へ。

        小倉は今でこそ、瀟洒な街として賑わっていますが、
        当時は田舎町でした。
        (鴎外も一時、軍医として赴任しています)

        (つづく)一部、行が乱れているところがありますが、
             直らないのでこのままUPします。