芭蕉はなぜ、
みちのくの旅に出たのでしょうか。
歌枕(うたに詠まれた名所・旧跡)を訪ねたり、
地方に住む弟子たちと句会をひらいて
俳句をひろめる意味もあったでしょうが、
『奥の細道』の冒頭にはこう記してあります。
「月日は百代の過客にして、
行き交う年もまた旅人なり。
船の上に生涯を浮かべ、
馬の口とらえて老いを迎える者は、
日々旅にして旅をすみかとす。
古人も多く旅に死せるあり」
芭蕉にとって、
人生は「旅」そのものだったのでしょう。
ちなみに、
芭蕉が奥の細道の旅に出たのは45歳。
病を得て、50歳でなくなるのですから、
「人生50年」の時代とはいえ、
老成していたのですね。