一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

「倚りかからず」

2016-09-11 07:59:39 | 読書



       昨日、「高齢化社会…」云々の話を書いたが、
       少し明るい話題をひとつ。

       詩人の茨木のり子さん(大正15~平成18)が
       『倚りかからず』という詩集を出したのは73歳
       のときである。

       茨木さんは20歳の学生時代から詩作をはじめ、
       それからコツコツと書きつづけ、生涯詩人を貫いた。

       彼女が一躍脚光を浴びたのは
       平成11年10月16日の朝日新聞「天声人語」でこの
       「倚りかからず」が取りあげられてからである。

       私もこのときはじめて茨木のり子さんという詩人を
       知ったのだった。

       あらためて彼女の詩集を手にとると、
       何気ないことばのなかに深い意味が籠められていて
       ハッとすることが多い。

       こうして考えると人は年齢関係なく、心構えひとつ
       でみずみずしさを保つことができるのではないかと
       考えさせられる。


       「倚りかからず」 
            茨木のり子

         もはや できあいの思想には倚りかかりたくない
         もはや できあいの宗教には倚りかかりたくない
         もはや できあいの学問には倚りかかりたくない
         もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない
         ながく生きて心底学んだのはそれぐらい
         じぶんの耳目 じぶんの二本足のみで立っていて
         なに不都合なことやある
         倚りかかるとすれば
         それは椅子の背もたれだけ

 
        ※ 毅然として美しい茨木のり子さんの写真