一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

いとしき蜃気楼

2016-04-23 07:28:09 | 雑記


      熊本地震から一週間過ぎ、エコノミー症候群で
      亡くなるひとが出るなど、被害は広がる一方で
      ある。
      地域によってはボランティア態勢が整ったとの
      情報もあるが、豪雨のため行方不明者の捜索も
      滞りがちだ。

      水、食糧、そして体を横にして寝る場所の確保
      など、一日もはやく救援態勢が急がれる。

      
      あれを思い、これを思い、今朝も八重桜の散った
      山路を歩いてきた。
      そしてふと、ある詩を思い出した。


       「さくら」

      今年も生きて
      さくらを見ています

      ひとは生涯に
      何回ぐらいさくらを見るのかしら
      ものごころつくのが十歳ぐらいなら
      どんなに多くても七十回ぐらい
      三十回、四十回のひともざら
      なんという少なさだろう
    
        (中略)

      あでやかとも妖しさとも不気味とも
      捉えかねる花のいろ
      
      さくらふぶきの下をふらっと歩けば
      一瞬
      名僧のごとくわかります
    
      死こそ常態
      生はいとしき蜃気楼

           茨木のり子『おんなのことば』より