一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

はなもも

2016-04-16 07:35:37 | 雑記
    

    14日に起きた熊本の地震は被害が増加する一方
    にある。
    みなさまの地方は大丈夫でしょうか。
    ご親戚、知人の方など被害に遭われた方はいらっ
    しゃらないでしょうか。
    このたび地震で亡くなられた方、被害に遭われた
    方、および関係者に心からお悔みとお見舞いを
    申しあげます。


    さて今日は、
    一本の桜ならぬ一本のはなももについて。

    家の近くの畑のふちに一本のはなももがある。
    さして大木ではない、周囲は雑木林で、
    畑を耕して野菜をつくっているおじいさんを
    時折見かける程度である。
    
    つまり、ふだんは殺風景なところにぽつんと
    立っているはなもも。

    それが毎年、この季節になるとーー

    帰宅途中、車で急な坂道を昇ってくると、
    桃色の花がぱっと咲いているのに、はっ!
    とする。
    上り坂なので、やや下から見上げる感じになる
    のだが、毎回、意表を突かれて一人であっ!と
    声をあげる。

    この気持ちをどう表現したらいいのだろう。
    「美しい」とか「きれい」「かわいい」といった
    ものだけで表現できないものがある。

    あ、これが佐藤愛子センセイのいう「一本の桜」
    なのだなと思う。
    毎年、この意表を突かれる気持ちは家に帰ると
    日常にまぎれて忘れてしまい、翌日また、
    同じ風景にどきっとするのである。

    この気持ちは私の命がある限り、そしてはなもも
    が咲いている限り、ずっと続くのであろう。
    ならば、「表現したい」欲求に駆られても
    怠け者の私は、あえて放っておくのもいいのかな、
    と思ったりする。


    その愛子センセイは『老い力』の中で、こんなこと
    もおっしゃっている。
    「私の人生は失敗の連続だったが、とにもかくにも
     その都度、全力を出して失敗してきた。
     失敗も全力を出せば満足に変わるのである」


この深いことばに私はまたしても、う~んと唸る
    のである。