一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

世界遺産登録

2013-05-04 20:52:48 | 名所
 

     富士山が世界遺産登録の見通しとなったという。

     ゴミの問題、登山客のマナー、崩落や落石の危険性
     等々、大丈夫なのだろうか。
     それらが地元の人や自治体、ボランティアの人たち
     の地道な努力によって、少しでも改善された結果だ
     としたら、こんなめでたいことはない。

     心配されるのは、これによって登山客がどっと増え
     ること。
     日本中、いや世界からも注目されることによって、
     富士山本来の姿が俗化されるのではないかという
     ことである。

     富士山は古来から信仰の対象であり、霊峰として
     あがめられ、長い間、畏怖の対象でもあった。
     葛飾北斎の浮世絵と富士山とは切っても切れない
     関係にあり、一方で庶民派にとっては、銭湯のタ
     イル画としても欠かせない。
     

     現代でいうなら東海道新幹線であろう。
     新幹線の切符を買うときには無意識に富士山の見え
     る側をえらび、運よくあのお姿を見た日にはすっき
     りして、ラッキー!と思ったものだ。

     個人的には富士山は登るよりは、遠くでながめる方
     が好きなのだが、
     何といっても太宰治の
     「富士には、月見草がよく似合ふ」
     が印象的である。

     太宰はこう続けている。    

     「ねるまへに、部屋のカーテンをそっとあけて硝子(ガ
      ラス)窓越しに富士を見る。月の在る夜は富士は白く、
      水の精みたいな姿で立っている。
      ああ、富士が見える。星が大きい」
      
                 (太宰治著『富嶽百景』より)

     
     ※ 写真は昨日、七里ガ浜から見た富士山