山形新聞の月曜日、作家五木寛之さんのエッセイが載っている。やさしい言葉で心の芯を突く鋭い表現にいつも感服している。先生の人柄と豊富な知識に裏打ちされた鋭い観察力が伝わり、いい気分を味わさせて貰っている。
今週のエッセイは「ボケかた上手」という本を書きたい気持ちをつづったものだった。失礼ながらつまみ食いをすると。
「ボケ老人、という言葉は使わないようになさってください」と、あるラジオ番組に出演したときに、スタッフから注意された。
「じゃあ、軽度の痴呆高齢者とでも言えばいいんですか」「いや、まあ、要するにあまり触れないように話題をもっていって下されば有難いんですが」
たしかにボケ老人という表現は気になるところがないでもない。
これは書き出し部分で、次からはボケについて具体的な記述が続き、後半ではご自分の感想を述べている。
(ぼんやりする)(ゆるやかになってくる)ことの表現として、(ボケる)というのはそんなに悪くない言葉のような気がするのだ。加齢による脳力の衰えは病気というより自然現象ではないだろうか。目下の私の楽しみのひとつは、それをどこまで生かした生き方ができるか、ということである。目下、「ボケかた上手」という本を書こうとしているところだ。
歳をとる楽しみはつきない。と結んでいる。
私は「ボケる」は万物の法則で、仕方のないものと思いあきらめの境地で楽しみ方などとは、遠い存在にいる。
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