地図帳の深読み(今尾恵介 帝国書院)
タイトル通り、学校の教材等で有名な帝国書院の地図帳から読み取れる様々なトリビアを紹介した本。以下、特に印象に残った部分を引用。
・長江の源流であるチンシャー川は源流から横断山脈まではほぼ南流していくが、その南部で突如として大きく向きを変えて北流する。これを「長江第一湾」と呼ぶが、1600万分というしょうしゅくしゃくのちずちょうでさえこれほどのあともどりだがら、ほくじょうするじっさいの距離は100kmにも及ぶ。(P24)
・【アメリカのグレートソルト湖の】1959年に建設された築堤には小舟の通れる程度の水路が設けられたものの、築堤がジョジョに沈下して建設時より4mも下がってしまった。崩壊の危険性が高まったためユニオンパシフィック鉄道は水路を閉鎖したが、流入する川が湖の南側にしかないため、南北の塩分濃度の差が大きくなり過ぎてしまった。北側が特に濃く、航空写真でも目立つ赤い色は好塩菌によるものである。2016年には新たな橋梁と塩分調整装置付き水路が西側に設けられ、現在では湖の南北の塩分濃度をきめ細かく調整している。これは濃い塩分で生息する特殊なエビが当地では重要な水産資源であるためだ。(P40)
・【埼玉県新座市内には東京都練馬区の飛地があって10軒ほどの住宅があり、面積は1750㎡ほどだが、その飛び地の】地価は「隣り合った埼玉県側の家より2割ほど高い」そうで・・・(P58)
・国レベルで世界最大の飛地はどこかといえば、どんな地図にも載っているアラスカ州である。面積は約172万k㎡で日本の約4.5倍、米国50州の中でダントツ最大の州でもある。日本でいえば明治維新前年の1867年に米国はロシア皇帝からの申し出によりこの地を720万ドルで購入した。当時は「大金を投じて巨大な冷蔵庫を買うなんて!」と非難されたというが、もしこの時にアメリカが買わずにアラスカがロシアからソ連へ移行したとすれば、東西冷戦の最前線が西経141度線に存在したことは間違いない。(P62)
・日本人なら47都道府県の名前を白地図に記入できる人は多数派であろう。(中略)ところがアメリカ合衆国の50州の位置関係を完璧に把握しているアメリカ人は大学生でも少ないらしい。(中略)アメリカ合衆国といえば、アラスカとハワイの2州を除く48州が北米大陸の中に、まるでお歳暮の詰め合わせセットのように入っているから無理もない。(P64)
・この地図帳を見ながら、消えた市名を抜き出してみよう。ページ順に南西から見ていくと、まずは沖縄県コザ市。当時はまだ復帰した翌年であるが、翌49年には合併で沖縄市となった。こちらは米国統治下にできた市で、胡屋をローマ字つづりにする際に誤記されたのが由来というが不詳。いずれにせよ全国唯一のカタカナ書きの市名であった。(現在は南アルプス市がある)。(P125)
・こうなると【オーストラリアの】東海岸に沿うグレートディヴァイディング山脈の長さが気になってくるが、全長は約3500㎞。日本なら北海道の択捉島から延々と島伝いに沖縄県の与那国島までの距離に等しい。掛け値なしにグレートである。(P145)
・もしも練馬区の人口密度でアラスカ州が埋め尽くされていたとすれば、約260億人と、現在の地球の全人口をはるかに超える計算になってしまう。逆に練馬区のエリアがアラスカの人口密度なら区民は20.6人に過ぎない。区内の江古田駅から石神井公園あたりまで延々と歩いたとしても、この人口ではおそらく一人も出会わないだろう。(p152)
タイトル通り、学校の教材等で有名な帝国書院の地図帳から読み取れる様々なトリビアを紹介した本。以下、特に印象に残った部分を引用。
・長江の源流であるチンシャー川は源流から横断山脈まではほぼ南流していくが、その南部で突如として大きく向きを変えて北流する。これを「長江第一湾」と呼ぶが、1600万分というしょうしゅくしゃくのちずちょうでさえこれほどのあともどりだがら、ほくじょうするじっさいの距離は100kmにも及ぶ。(P24)
・【アメリカのグレートソルト湖の】1959年に建設された築堤には小舟の通れる程度の水路が設けられたものの、築堤がジョジョに沈下して建設時より4mも下がってしまった。崩壊の危険性が高まったためユニオンパシフィック鉄道は水路を閉鎖したが、流入する川が湖の南側にしかないため、南北の塩分濃度の差が大きくなり過ぎてしまった。北側が特に濃く、航空写真でも目立つ赤い色は好塩菌によるものである。2016年には新たな橋梁と塩分調整装置付き水路が西側に設けられ、現在では湖の南北の塩分濃度をきめ細かく調整している。これは濃い塩分で生息する特殊なエビが当地では重要な水産資源であるためだ。(P40)
・【埼玉県新座市内には東京都練馬区の飛地があって10軒ほどの住宅があり、面積は1750㎡ほどだが、その飛び地の】地価は「隣り合った埼玉県側の家より2割ほど高い」そうで・・・(P58)
・国レベルで世界最大の飛地はどこかといえば、どんな地図にも載っているアラスカ州である。面積は約172万k㎡で日本の約4.5倍、米国50州の中でダントツ最大の州でもある。日本でいえば明治維新前年の1867年に米国はロシア皇帝からの申し出によりこの地を720万ドルで購入した。当時は「大金を投じて巨大な冷蔵庫を買うなんて!」と非難されたというが、もしこの時にアメリカが買わずにアラスカがロシアからソ連へ移行したとすれば、東西冷戦の最前線が西経141度線に存在したことは間違いない。(P62)
・日本人なら47都道府県の名前を白地図に記入できる人は多数派であろう。(中略)ところがアメリカ合衆国の50州の位置関係を完璧に把握しているアメリカ人は大学生でも少ないらしい。(中略)アメリカ合衆国といえば、アラスカとハワイの2州を除く48州が北米大陸の中に、まるでお歳暮の詰め合わせセットのように入っているから無理もない。(P64)
・この地図帳を見ながら、消えた市名を抜き出してみよう。ページ順に南西から見ていくと、まずは沖縄県コザ市。当時はまだ復帰した翌年であるが、翌49年には合併で沖縄市となった。こちらは米国統治下にできた市で、胡屋をローマ字つづりにする際に誤記されたのが由来というが不詳。いずれにせよ全国唯一のカタカナ書きの市名であった。(現在は南アルプス市がある)。(P125)
・こうなると【オーストラリアの】東海岸に沿うグレートディヴァイディング山脈の長さが気になってくるが、全長は約3500㎞。日本なら北海道の択捉島から延々と島伝いに沖縄県の与那国島までの距離に等しい。掛け値なしにグレートである。(P145)
・もしも練馬区の人口密度でアラスカ州が埋め尽くされていたとすれば、約260億人と、現在の地球の全人口をはるかに超える計算になってしまう。逆に練馬区のエリアがアラスカの人口密度なら区民は20.6人に過ぎない。区内の江古田駅から石神井公園あたりまで延々と歩いたとしても、この人口ではおそらく一人も出会わないだろう。(p152)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます