蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

空中雷撃

2007年10月22日 | 本の感想
空中雷撃(谷甲州 中公CNOVELS)

「覇者の戦塵」シリーズの最新刊。
このシリーズは、この手(シミュレーション戦記)の本としては発刊ペースが相当にゆっくり。しかし、今回は2年半も間隔があいたので、あとがきで著者自身が書いているように「ついにシリーズ打ち切りか」とも思ったが、なんとか続いているようで、ほっとした。

シリーズ開始から20年近くなるだろうか。最初から「技術と戦争の係り」をテーマとしたジミ~なシリーズで(確か2巻目でトラクタの開発の話がでてきたのには、のけぞった)、活躍するのはせいぜい軽戦車とか駆逐艦くらいだった。

一時艦隊決戦なんかのエピソードもあり、著者があとがきで「シミュレーション戦記を書くのがこんなに面白いとは思わなかった」という旨のことを書いていて笑えた。
しかし、今はまたもとのペースに戻ったみたいで、本書では戦闘場面は全くない。無線探知と近接信管、誘導兵器開発の裏話みたいなのばかり。

有体にいって著者の文章はうまいとは言えないし、相当読みづらい。その上にこの内容。それでも読んでいると干し肉をかんでいる時のように、じんわりと面白さがこみあげてくる、そんな不思議な魅力がある。

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