蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

鑑定士と顔のない依頼人

2014年11月26日 | 映画の感想
鑑定士と顔のない依頼人

絵画や骨董の目利きで競売人としても一流の主人公は、莫大な資産を持っている。
初老といっていい年齢だが独身で、友人は少なく、潔癖症で日常生活でも手袋を手放さない、といった感じのちょっとした変人。
コレクションしている女性の肖像画を壁一面に展示した隠し部屋にいる時が最も心休まる時間だった。

その主人公に、親の遺産の美術品を鑑定してほしいという電話がはいる。しかし、依頼人の女性は広場恐怖症で広大な自宅の一室に閉じこもって姿をあらわさない。

一方、依頼人の自宅には、珍しいオートマタ(からくり人形)の一部とみられる部品が散乱しており、それを収集するために何度か訪問を繰り返すうちに主人公は、次第に依頼人に興味を持ち始め・・・という話。

堅物で仕事一筋だった主人公は、恋愛に対する免疫が皆無で、姿をあらわした美しい依頼人にベタ惚れ状態になってしまう。
幸福感にあふれた表情の主人公には、きっと落し穴が待っているのだろうな、と映画を見ている人は誰もが思うだろうし、実際その通りになる。
ただ、その落し穴の提示の仕方が、露骨というか、仮借ないというのか、主人公にとってあまりに過酷な結末なので、少々後味が悪かった(もっとも、主人公に同情してしまいたくなってしまうほど感情移入しているというのは、映画の出来が良いことの証明なのだろうけど)。

願わくば、さらにどんでん返しがあって、孤独な状態に戻った主人公が不敵に微笑む、なんて展開だったらカタルシスがあったと思うけどな・・・

BGMがいいこともあって作品全体を流れるサスペンスフルなムードはとても良いし、早く先を見たくて(DVDで見たのだが、珍しく)ほぼ最後までディスクを止めることがなかった。

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