蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

すずめの戸締まり

2022年11月13日 | 映画の感想
すずめの戸締まり(映画)

岩戸鈴芽は宮崎?の高校生。父母を亡くして叔母といっしょに暮らしている。通学中に廃墟を探している草太とすれ違う。彼は大地震の原因となる、廃墟の後ろ戸を封印する閉じ師だった・・という話。

「君の名は」や「天気の子」は奇想天外な話の辻褄を合わせようとする脚本上の苦心が忍ばれたが、本作は割り切って細かいところにはこだわっていない感じ。

草太が椅子に封じ込められてしまう意味とか、鈴芽が家出してまでダイジン(元気なダイジンよりしおれてしまったダイジンの方が愛おしかった)を追うモチベーション、何より鈴芽が要石を抜いてしまったのがすべての元凶なのでは?という疑惑? などについて、特段の説明はない。

その分、筋立てが単純で、クライマックスには(前二作と比べて)よりカタルシスがあって、よりいっそう人気が出そうな気がする。

鈴芽が立ち寄る神戸のスナックのムードがよかった。昔なつかしい昭和なスナック。コロナでさらに減ってしまったんだろうな。こんなママとちいママがいるスナックにまた行きたい。

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怪虫ざんまい

2022年11月13日 | 本の感想
怪虫ざんまい(小松貴 新潮社)

在野の昆虫学者の著者が、コロナ禍で、捕虫のための遠征に行くことができない時期の活動などを記したエッセイ。

タイトルからして、珍しい昆虫の生態を素人向けに解説した内容かと思ったが、そういう部分は少なくて、もっぱらコロナで出かけられない不満や、開発などによる昆虫の生態系の破壊に対する非難、いわゆる虫マニアのマナーの悪さへの悪態、などが多くを占めた内容。

面白くしようという目論見なのかもしれないが、やや言葉が乱暴かなあ、と思えた。自分にとって意義がない虫を「駄虫」と表現したたり、素人の虫マニアを「ゴミクソ」と呼んだり。
この手の本からは、虫への愛とか、虫をとりまく自然や世間(学者やマニアたち)へのリスペクトが感じられることが多いのだが、そういうものが本書にはなくて、珍しい虫を捕らえたいという著者のエゴが目立ったように思った。

本書によると虫マニアが自分が捕らえた虫を自慢するサイトが多数あるそうだ。
著者は地下水に生息する虫を捕らえようと、各地の井戸を巡っているのだが、こうした井戸を訪れてはマッピングしているサイトなんていうのもあるそう。
人生いろいろ、じゃないけど、人間の興味というか好奇心のバラエティはすごいな。
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