蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

幕末新選組

2022年11月07日 | 本の感想
幕末新選組(池波正太郎 文春文庫)

永倉新八は、松前藩の江戸屋敷育ちの江戸っ子。父のような藩官僚になるのを嫌って家出し剣道道場に転がり込む。近藤勇に誘われて新選組のスタートメンバーになり・・・という話。

本書では、新選組の陰惨さはすべて土方のせいにして、永倉はひたすら気風のいい江戸の剣士、という設定になっており、確かに最後まで爽やかに話が進んで、読んでいて気持ちがいい。

「軍隊は運隊」などと言ったりしたそうだが、永倉は、池田屋、七条油小路、鳥羽伏見、戊辰戦争と新選組の激戦場面ですべて先頭に立ちながら、大怪我をすることもなく生き延びて、明治に入ってからも剣道師範?などをしながら楽しく?老後をすごしたそうで、まことに運がいい人というのはいるものなんだなあ、と感心した。

冒頭の、松前屋敷の門番をだましてク○入り饅頭を食わせる場面がツカミとして抜群で、脇筋の、藤堂平助と遊女の豊浦と小常を取合うエピソードも楽しかった。著者のさすがの腕前といったところだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする