蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

OPEN

2022年11月06日 | 本の感想
OPEN(ヨハン・ノルベリ ニュースピックス)

人やモノの移動・取引(移民や交易等)が社会経済に健全な成長をもたらす、と論じる。これはよくある内容だが、後半でこのような開放性が阻害されてしまう原因を考察しているところが新鮮。

社会進歩や経済拡大あるいは人口が爆発的に進展したのはここ200年ほどに過ぎず、生物としてのヒトはその前何十万年の間に培ってきた本性を引きずっていて、例えば、複数人が集まるとグループを形成して対立することを止められない、という。

成功すると、その成功パターンに捕らわれてしまって(あるいは既得権益を侵されないために)イノベーションが進まない。官僚機構が型を決めてなにかを普及させようとしてもうまくいかず、民間に好き勝手にやらせたほうがよい(PCやインターネットがこれに当たる)という。

産業革命以降の拡大成長が(それまでの歴史とちがって)継続したのは、その舞台となった西欧がひどく小さな国々に分裂していて、その間で活発に交易や移民が行われたからだという。

いずれも、証明や検証のしようがない説ばかりだが、饒舌な語り口や歴史上の例を豊富にあげることで納得性を高めていた。
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