蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

突変

2016年01月02日 | 本の感想
突変(森岡浩之 徳間文庫)

ある一定の地域が、そこに住む人や環境ごと突然パラレルワールドに裏返ってしまう現象が世界各地で発生していた。裏返るとパラレルワールドの動植物が本世界へやってくるのだが、中には凶暴な肉食獣などもいて、本世界ではそうした害獣を排除する特別な部隊が編制されていた。
ある日、北関東の酒河市一体が裏返ってしまい、高齢の町内会長、スーパーの店長、害獣駆除部隊の若い女性、夫がパラレルワールドに先に行ってしまった幼い子をかかえる母親、などは、それぞれの立場でこの災害に対応しようとするが・・・という話。

パラレルワールドの動植物相であるとか、この災害に対応しようとした本世界の対応(害獣駆除部隊の設置とか)などが、かなり綿密に設定されていて、物語中でのリアリティはすごいと思うのだけど、全般にユーモア小説的な雰囲気なので、パニックストーリーとしての緊迫感、盛り上がりがイマイチかな・・・という感じだった。もっと怖い話にしたほうがよかったような気がした。

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