蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

片づける 禅の作法

2016年01月07日 | 本の感想
片づける 禅の作法(桝野俊明 河出文庫)

禅宗のルールや日々の作務(掃除などの家事的作業)のやり方の解説を通じて、日常生活の質の向上を説いた本。出版社の要請もあってか、ノウハウ本っぽい内容が多い。禅寺での生活風景をもう少し詳しく書いてほしかった。

日本の女性ライターが書いた整理整頓の方法論のエッセイがアメリカでベストセラーになっているらしい。日本と違って広々とした住宅で収納スペースもたくさんあって・・・なんていう住宅事情を想像していたので、アメリカにはモノが多すぎてゴミ屋敷化寸前、みたいな悩みはないのかと思っていた。
でも、スペースがあればその分だけモノを買ってしまうというのは洋の東西を問わない人間の性のようで、あちらでも不要なモノを選別するノウハウを身に付けたいという人は多いようだ。

物理的に豊かになってしまうと、今度はモノに縛られないシンプルな生活を指向しはじめる、みたいな「隣の芝生は青く見える」症状は、いつの世にも、どの地域でも発生する普遍性?を備えているのだろう。

禅宗(というか禅の思想のようなもの)自体も、日本よりむしろアメリカでの方が普及しているような気もする。ジョブスとかドーシーとか有名人のフリークも多いし。

こう考えると、禅という思想は豊かな社会にしか存在しえないもの、ということになるのだろうか?一般的な宗教のイメージ(人々の不安や不満を吸収して成長する)とは正反対だが。
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