蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

司馬遼太郎が考えたこと6

2007年08月21日 | 本の感想
司馬遼太郎が考えたこと6(司馬遼太郎 新潮文庫)

私は「遼太郎中毒」にかかっていて、司馬さんの著作を長期間読まないでいることは難しい。
既読の本でも禁断症状をおさえるだけなら問題ないので、将来に備えて(?)未読の作品をできるだけ減らさないようにしている。特になぜかこれまで読んだことがない「竜馬がゆく」は貴重な老後の楽しみとしてとってある。一方、「坂の上の雲」は4回読んだ。

「司馬遼太郎が考えたこと」シリーズは15巻もあって、そんな私にはうれしい企画。時々「これ読んだことあるな」というのももちろんあるが、読んでいても忘れている内容もあり、とにかくありがたい。

「6」では、戦車兵であった経験を語ったもの(とにかく日本の戦車に恨み骨髄といったところで、さんざんけなしている。確かに性能は劣悪だったが、日本軍の戦場ではあまりごつい大型戦車を運用するような場面はなかったし、それなりにうまく運用した部隊もあったようだ)、「坂の上の雲」の連載が終わった時期なのでこの作品にふれたもの、異色のものではゴッホを語った一編もあった。

「6」で一番印象的だったものは、「長州人の山の神」で、これは白井小助という松陰の友人の話。
彼は維新戦争で活躍したが、維新後は山口にひっこんでしまう。
松陰は明治政府の要人には神のような存在で、その友人だった白井に誰も頭があがらない。
時々東京にやってきては要人の自宅に襲来する。当時、法王とまでいわれた山県有朋でさえ、白井には平伏して、どんな無理無体な要求(山県の妻にケツをふかせるとか・・・)にも従ったとのことだ。
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