蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

電子兵器奪取

2005年06月02日 | 本の感想
おととい、谷甲州さんの書いた「電子兵器奪取」を読み終わりました。
いわゆる架空戦記シリーズ「覇者の戦塵」の最新刊です。
このシリーズは足掛け15年に渡って続いていますが、最初の「北満州油田占領」から欠かさず読み続けています。
このシリーズの特徴は、架空戦記ものにありがちなものすごい新兵器や戦艦・空母が活躍するような戦闘がほとんど登場しないことです。(一部そういう話もあります)
「電子兵器奪取」でもクライマックスの主役はオンボロの哨戒艦。ちなみに「電子兵器」というのは近接信管のこと。近接信管なんて知っている人あまりいませんよねえ。
ほとんどの刊がこのようなジミーな筋立て(なかには主要メカとして農業用トラクタ(!)が登場する刊もあった)なので、よくこれで人気が続くなあとも思えます。
しかし、この地味さがかえってリアル感をかもしだしているのも確かで、根強く読み続けているのは、架空戦記の愛好者よりも、現実の戦史や軍事に興味がある人の方が多いのかもしれません。
残念ながらシリーズ前半はすでに絶版のようですが、読み切り形式に近いのでどこから読み始めてもあまり違和感ないと思います。
このシリーズの最大の欠点はなかなか次の本がでないこと。
15年間読み続けてきたファンとしては、とにかく刊行ペースを早めてほしいです。

コメント
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