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偏愛と放浪の記録

「数字の国のミステリー」(著:マーカスデュ・ソートイ/訳:冨永 星)

2013-09-28 19:48:25 | 【書物】1点集中型
 本屋で見かけて装丁がなんとなく気に入ったもの。著者が英国王立研究所のクリスマス・レクチャーで行った、11~14歳の子どもたちへの特別講義をまとめた内容だそうだ。数学、やっぱりできないけど(笑)「数学ができること」を知るのは面白くて、この手の本についつい手が出てしまう。

 17年周期の蝉の話とか、トポロジーとか、巡回セールスマン問題とか四色地図とか暗号のさまざまとか、疎い人に数学を啓蒙してくれる類の本を読んできた中で出会ったことのあるネタもけっこう出てくる。「エラストテネスのふるい」なんかは最近、Eテレの「2355」で歌になってたし(笑)。でも同じ話題でもいろいろ切り口があるので、退屈しなかった。
 時には、取り上げている問題に関わるちょっとしたゲームや手品を示したり、著者の好きな(おそらくレクチャーを受ける子どもたちの大多数も好きなのであろう)プレミア・リーグの選手のプレイや、サッカーボールの形の改良なんかのネタを使いながら、ものごとを考えるにあたっての数学的な観点を示してくれたりもする。
 ビートルズやコールドプレイのアルバムジャケットに潜む暗号なんかも出てくるし、一見すると、心のおもむくままに絵の具を飛び散らせているだけのようにも見えるジャクソン・ポロックのペインティングが実はどれだけ理にかなっているかが、数学で解説できちゃったりもする。個人的には、「飛行機は何故浮くのか」の理屈がやっと(なんとなく)わかったのがちょっと嬉しい(笑)。

 数学は、何回やってもモノにできないし(笑)基本的に不変なんだけれども、なぜか不思議と何度読んでも飽きない。それは結局、語る人の切り口のうまさなんだろうな。っていうかこれが小学校高学年~中学生くらいに向けた講義の内容であることを考えると、そこから自分が進歩していないだけなのではないかという……(笑)。
 でも、やっぱり素数の話がそれこそ何度読んでも面白く感じるので、「素数の音楽」も読んでみたいなー。何か、他にも面白い話題が出てきそうだから。


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