「シャッフル航法」の巻末の解説目録(に載ってたNOVAシリーズに未だに手を出せていないんだけど)を見て。量子論はやっぱり気になるし、三島由紀夫賞というのもあって読んでみた。
テロ容疑者として逮捕された「父」に、実在しないはずの未来の「娘」からメールが届く。端からタイムトラベルかパラレルワールド(って言い方は時代遅れか)か、ってタイトルそのまんまの話である。……なんだけれども、難解である。絡み合う世界が多いのである。単に並行する世界だけでなく時間軸の違う世界も絡む。マルチバースと捉えるとそりゃ当たり前の話なんだけども、うわあどれがどれやらわからん、と思いながらわからないまま読み進めたのであった。解説筒井康隆氏はグラフを作ったそうだが、それをやらないと正確に理解はできないだろうなぁ。
正直、1回読んだだけでは理解できたとは全然思えない。ただ、「検索性同一性障害」なる精神疾患が出てくると、この世界の必然性を少しだけわからせてもらえる気がする。自分が行った行動と行うかもしれなかった行動、記憶の中の現実とifの区別も、さらにその記憶に連なるすべての人間関係の中の現実とifの区別もつかなくなるということを想像してみると、確かに脳の処理能力がパンクしてしまいそうな気がしてくる。
けれどその中で、選べたかもしれない自分の人生を今なら掬い取ることができるかもしれないという誘惑にかられたとき、人は何を望むだろう。
最終的には、理想の家族を追い求めた女と男の物語ということになるのかもしれない。しかしそれをこれほどに入り組んだ世界で描き切るのは単純にすごい。倒錯している性がキーになっていたり、全体的にはどちらかといえば陰にこもった感じなんだけれども、世界観はぐいぐい迫ってくるように感じる。倒錯してる分余計にそうなのかもしれないけど。
ちなみに、要所で引き合いに出された「世界の終わりとハード・ボイルドワンダーランド」をはじめ村上春樹作品はほとんど読んでない。読まなきゃわからないような話になってないんだけど、リテラシーとして読んでおくべきかなーと思わされた次第である。ディックもよりによってまだ読めてない作品の話出てきちゃったからな……(笑)
テロ容疑者として逮捕された「父」に、実在しないはずの未来の「娘」からメールが届く。端からタイムトラベルかパラレルワールド(って言い方は時代遅れか)か、ってタイトルそのまんまの話である。……なんだけれども、難解である。絡み合う世界が多いのである。単に並行する世界だけでなく時間軸の違う世界も絡む。マルチバースと捉えるとそりゃ当たり前の話なんだけども、うわあどれがどれやらわからん、と思いながらわからないまま読み進めたのであった。解説筒井康隆氏はグラフを作ったそうだが、それをやらないと正確に理解はできないだろうなぁ。
正直、1回読んだだけでは理解できたとは全然思えない。ただ、「検索性同一性障害」なる精神疾患が出てくると、この世界の必然性を少しだけわからせてもらえる気がする。自分が行った行動と行うかもしれなかった行動、記憶の中の現実とifの区別も、さらにその記憶に連なるすべての人間関係の中の現実とifの区別もつかなくなるということを想像してみると、確かに脳の処理能力がパンクしてしまいそうな気がしてくる。
けれどその中で、選べたかもしれない自分の人生を今なら掬い取ることができるかもしれないという誘惑にかられたとき、人は何を望むだろう。
最終的には、理想の家族を追い求めた女と男の物語ということになるのかもしれない。しかしそれをこれほどに入り組んだ世界で描き切るのは単純にすごい。倒錯している性がキーになっていたり、全体的にはどちらかといえば陰にこもった感じなんだけれども、世界観はぐいぐい迫ってくるように感じる。倒錯してる分余計にそうなのかもしれないけど。
ちなみに、要所で引き合いに出された「世界の終わりとハード・ボイルドワンダーランド」をはじめ村上春樹作品はほとんど読んでない。読まなきゃわからないような話になってないんだけど、リテラシーとして読んでおくべきかなーと思わされた次第である。ディックもよりによってまだ読めてない作品の話出てきちゃったからな……(笑)