久しく読んでいなかったディック。どうやら1年以上読んでいなかったらしい。それも最後に読んだのは短編集で、長編はそれ以上に読んでいなかったので2年以上経っているかも。
ってそんな話はどうでも良くてこの作品である。デルマク・Oという惑星に入植者として送られた14人の人々が、入植の目的もわからないままに次々と不可解な死を遂げ、1人また1人と減っていく。生物なのか機械なのかよくわからない怪しい物体、移動する建造物といった小道具をスパイスにしたミステリ的な、まるで「そして誰もいなくなった」の世界である。物語の根幹に独特の神学があり、その神学と登場人物の関わり方が、言うなれば「高い城の男」での「易経」みたいな役割を果たしているような感じ。
誰が何のために14人をデルマク・Oに送り込んだのか、謎が解けそうになるとともに迫りくる全滅の危機。それをある意味SFらしい仕立てのオチがひっくり返す。そのオチかよ! と思わず突っ込みたくなるのだが、セスとメアリーがそれぞれに迎える結末を見ていくと、終末のディストピアって感じもする。
もうこれ以上この世界が決して変化しないとしたら、「どう生きるか」を選べないとしたら、人間はどうするのか。彼らが生きる世界、決して抜け出すことのできない閉塞を生きる虚しさを思うと、やはり何とも言えない気持ちになるのだ。セスは「死の迷路」を抜け出すことはできたかもしれないけれど、本当はどこに連れて行かれてしまったのだろうか。
ってそんな話はどうでも良くてこの作品である。デルマク・Oという惑星に入植者として送られた14人の人々が、入植の目的もわからないままに次々と不可解な死を遂げ、1人また1人と減っていく。生物なのか機械なのかよくわからない怪しい物体、移動する建造物といった小道具をスパイスにしたミステリ的な、まるで「そして誰もいなくなった」の世界である。物語の根幹に独特の神学があり、その神学と登場人物の関わり方が、言うなれば「高い城の男」での「易経」みたいな役割を果たしているような感じ。
誰が何のために14人をデルマク・Oに送り込んだのか、謎が解けそうになるとともに迫りくる全滅の危機。それをある意味SFらしい仕立てのオチがひっくり返す。そのオチかよ! と思わず突っ込みたくなるのだが、セスとメアリーがそれぞれに迎える結末を見ていくと、終末のディストピアって感じもする。
もうこれ以上この世界が決して変化しないとしたら、「どう生きるか」を選べないとしたら、人間はどうするのか。彼らが生きる世界、決して抜け出すことのできない閉塞を生きる虚しさを思うと、やはり何とも言えない気持ちになるのだ。セスは「死の迷路」を抜け出すことはできたかもしれないけれど、本当はどこに連れて行かれてしまったのだろうか。