life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「大地の滴」の季節♪

2013-07-31 23:57:50 | 【旅】ぼちぼち放浪
 昼休憩ついでに六花亭に寄った。
 そしたら、ここ2年くらい食べ損ねていた「大地の滴」があった! ……のでつい飛びついてしまった(笑)。

 「大地の滴」は、生のブルーベリーをホワイトチョコレートでコーティングしたお菓子で、ブルーベリーが旬の時期の1ヶ月? いや2、3週間くらい? 正確なところはわからないけど、ごく短期間にしか出回らない。生もの扱いなので消費期限も短い。
 特に発売日が決まってるとは聞かないので、なんとなくこのへんの時期か? と思ったときにちらちらお店を覗いて、運が良ければ出会える。でも入荷されてる店でも夕方にはたいていなくなってるので、昼休みがぎりぎりのタイミングだと思う。なので嬉しい♪

 そういや今回の「おやつ屋さん」もおいしそうだったので予約してしまった。紅茶や抹茶やジャスミンティーなど、お茶のお菓子だそうな。お茶派にはたまらないラインナップである。あとは、取りに行くのを忘れないようにしないと(笑)

「罪と監獄のロンドン」(著:スティーブ・ジョーンズ/訳:友成 純一)

2013-07-23 21:03:10 | 【書物】1点集中型
 タイトルに惹かれて読んでみた。ヴィクトリア朝時代のロンドン下町界隈での、庶民に身近だった犯罪の解説のような本。図版も盛りだくさんでわかりやすい。

 内容と言えば、まるで酒と暴力の見本市。男女問わず、酒に溺れるパターンの犯罪者たちの紹介がとても多い。家庭内暴力や虐待も多い。そしてやはりその多くが貧しい人たちなのだ。モラルのあり方も今とはかなり違う印象を受けるし、それだけに、社会の底辺にあった人々が生きていくために何をしていたかというのが真に迫る感じでもある。
 そうやって考えると犯罪の背景にある社会にも考えさせられるわけだが、まるで拷問のような懲罰方法の数々は、想像するとちょっとエグい。ヨーロッパの年端もいかない(10歳にもならないような)子どもたちも、裁判では大人と同じように裁かれて罰を受けていたという点が印象に残った。その反面、法廷でのちょっと笑えるやりとりなんかもあったりする(特に被告が大虎の場合)。
 ただ、やはり再犯率が非常に高いことはその昔から変わらないようである。程度にもよるし、罪を犯した本人の努力が必要な部分もあるだろうけれども、受け入れる側の社会の問題も、結局のところ昔から変わっていないという結論。納得してしまうし、本当は少しでもそんな問題が減る社会に成長させないといけないだろうなあとも思う。

 シリーズ最初の「恐怖の都ロンドン」では、「ジャック・ザ・リッパー」を筆頭とする犯罪至上に名高い事件を扱っているそうなので、そちらも読んでみたい。

「ソロモンの指環―動物行動学入門」(著:コンラート・ローレンツ/訳:日高 敏隆)

2013-07-17 21:06:44 | 【書物】1点集中型
 あまりにも有名な、鳥の雛のいわゆる「刷り込み」の理論を確立した動物行動学の第一人者である著者が、動物たちの行動を観察・研究するなかで遭遇したり発見したりしたさまざまのことを綴っている。何よりも動物を見る眼が愛にあふれまくりである。イラストもかわいらしいし、文章そのものにはユーモアが満載。

 まず手始めはアクアリウムから。「アクアリウム」といえば、昨今はとかく美しく作られていることが多いのでそういう華やかなものを想像してしまうけど(鑑賞する立場としてはもちろん楽しく眺めることができるので、私は好きなんだけど)、ローレンツ氏のアクアリウムはもっと簡素なもの。それには生態系と照らし合わせたうえでの意味があるし、魚が1匹増えただけでも平衡は簡単に崩れてしまう。さらに魚のカップル交換の結果や親子の行動など、いよいよ行動学の核心に入っていくと、こんな小さな魚にも心の動きがある! と気づかされるできごとがある。読みながら、著者と同様に新鮮な驚きを感じることができる。
 そしてなんといってもやはり鳥の話が非常に濃い。鳥の鳴き声の違いによる意思の伝達、雛鳥たちに「危険」を教える親鳥たち、群れを作る鳥たちのなかにある順位づけと、順位による仲間内での接し方の違い、婚約と結婚。だいたいが、鳥に「婚約期間」があるなんて想像もしてなかったし(笑)。

 著者は鳴き声の意味が理解できるので、鳴き声を真似て会話というか意思疎通もできるようになっている。そのうえ、眼の表情の違いまで理解できるようになっている。であるからして、鳥たちの親になったり仲間になったり友人になったりと、本当に心を通い合わせることができている。それに素直に感嘆せずにはいられない。
 今や人間にいちばん身近な動物であるかもしれない犬についても、ジャッカルの血の濃い種と狼の血の濃い種との違いが興味深い。そして犬が飼い主に与えてくれる最良のもの、頼り頼られる心の繋がり。さらには、敵に対して徹底的に攻撃的にふるまうことができる動物と、情けを乞う相手を攻撃することの「できない」動物。本能としてその違いがあるということに、また驚かされる。

 かように、遠く離れて眺めるだけでは窺い知れない動物の生態が、手に取るような臨場感をもって語られている。読めば読むほど動物に対する「もっと知りたい」気持ちがかき立てられる。初版が1949年なので、その後新しく解明されたことなどもあるかもしれないけれども、そんな正誤は抜きにして、著者が観察から得た発見を追うだけでも大人が充分に楽しめる本。そして子どものころに読んでおくと絶対もっといい! と思える本である。

「パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ」(著:ミチオ・カク/訳:斉藤 隆央)

2013-07-15 18:03:31 | 【書物】1点集中型
 宮田珠己氏の書評を読んで興味を持った本。超ひも理論の権威による宇宙論の現在、といったところだろうか(刊行は2006年なので変化しているところはあると思うが)。
 読んでみてまず思ったのは、ほんとに盛りだくさんだなーということ。文章そのものも素人でもそこそこ理解しやすいように書かれているし、要所要所で有名なSF映画やSF小説が引き合いに出されていて、それも理解の手助けをしてくれると思う。

 宇宙の誕生からビッグバン、インフレーション理論くらいまでは今まで自分で読みかじってきた宇宙論の復習といったところ。ガモフのエピソードは何度読んでも面白い(笑)。
 ブラックホールの話からいよいよ並行宇宙=マルチバース=パラレルワールドの本題突入といった感じ。ブラックホールそれ自体についてはそれほど詳しい話を知らなかったので、ブラックホールとタイムマシンの関係については興味深く読んだ。
 話が量子論に及んでくると、例によって「観測」という行為や概念が重要な位置を占めてくるので、神の存在にまで話が広がるのがまた厄介である。およそ科学的とは思えない神の存在まで、しかしものの考え方として大真面目に語られることになるのが量子論の途方もなさ。それを光子レベルではなく「宇宙全体に当てはめる」という発想があるのがまたものすごい。そしてひも理論に進めば、その根本が「振動」にあることから、宇宙はひもが奏でる音楽であるというなんともロマンティックな表現まで。
 さらにはひも理論から、宇宙は膜であるとするM理論へ。それが重力がなぜこれほど弱い力なのかという理由に関する理論にまで繋がるのがまた面白い。

 そして宇宙には、ビッグクランチであれビッグフリーズであれいつか必ず終わりが訪れる――のだとしたら、知的生命はどうやって生き残ることができるのか?
 ここで、物理学的なエネルギー出力の法則などによって、文明がタイプI・II・IIIにランク付けされるという考え方を初めて知った。現在の人類はタイプI文明にすら到達していないというのがまた衝撃的である。そしてタイプIII文明にすらも、宇宙を行き来する確実な技術を手に入れるために多くの障壁があることも。

 最後には、こうした数々の宇宙論が人の生きる意義にまで及ぼす影響が語られる。現代における科学と神学の関係に関する論争と言ってもいいかもしれない。
 並行宇宙は存在するかもしれない、自分ももしかしたら一人ではないかもしれない。でも、自分が生きている世界をどう生きるかが、結局のところ問題なのだ。私は特に信仰心のあるほうではないが、ひも理論であれM理論であれマルチバースであれ、それは自分が生きる世界を豊かにしてくれるもののひとつなんだと思えるだけでもいいんじゃないかなと思う。知的好奇心を刺激してもらえるだけでも、充分幸せなことなんだし。
 だからこの先、宇宙についてどんなことが明かされていく可能性が出てくるのか期待したい。たとえ自分が生きている間に何かが起こらなくても、理論の発展を見ているだけでもワクワクできるって、素晴らしいことだと思うのだ。

圧倒的。アンドレアス・グルスキー展@六本木。

2013-07-13 21:12:00 | 【旅】ぼちぼち放浪
 今日は特に予定を立てておらず、朝ダラダラしながら何をするか考えてたんだけども(笑)。とりあえず午前中は、会社の人がけっこう面白いよーと教えてくれていた代官山の蔦屋書店に行ってみた。
 個々の建物は意外にわりかしコンパクトなんだけど、雑誌なんかは和洋取り混ぜてディスプレイされてて面白い。旅行関係の単行本も各地いろいろあって、そこにたとえば北欧ならムーミン本とかも一緒にあって楽しい。琳派関連の本も気になるのを見つけたので、いずれ図書館で借りる。←買わないのかよ

 全体的にほの暗い感じの照明で、スタバの店舗っぽい雰囲気かも。いや実際併設されてるけど。ただ、フリーの読書スペースはほとんど図書館並みの使い方をされてるので、かなり席の回転は悪そう(笑)。
 ガーデン側には行けなかったけど、そのへんは1人じゃないときに行ってみたいなぁ(笑)。犬が遊んでるところを見ながらまったりしたい~。東京まで犬は連れて来れないけど(笑)。

 あとは駅周辺をちょっとだけうろうろして代官山を出る。次は結局、国立新美術館に行くことにした。
 というのも、普段あまりメインで観てない写真作品だけど、このアンドレアス・グルスキー展の告知に使われてるメイン写真が、あの! スーパーカミオカンデだということを知ってしまったから(笑)。Webのメインになってる写真「99セント」も気に入ってしまったし。

 行ってみたら、展示スペースがかなり広々してたし、休日の午後のわりには人出もひどくなかったので、けっこうゆったり観て回れた。これであとはガラスの反射さえなければ……(笑)←だって姿見かと思うくらい反射するんだもの……

 肝心の作品といえば、とにかく画面全体が細部に至るまではっきり見える……ように作られている。遠近感をあえて出さない感じ。そして基本的に作品が2mや3mとでかいので、その細部がものすごい迫力を持って迫ってくる。
 でも、画面を構成しているのは、反復を思わせる、たとえば画面を横切るラインとなる要素と個が特定されないたくさんの人々(あるいは動物や、カミオカンデの内部のような静物)というのが主なパターン。被写体は実在のもの、具象であるんだけど、それがこんな画面構成になることによって抽象に生まれ変わったように見える。
 って、そもそも抽象は具象から生まれるものなんだろうけど。ただ、具象が具象のままそこに見えているのに抽象に見えてくるというのが、絵画ではなく写真という手法だから味わえる不思議な感覚なんじゃないかなぁと思った。色の鮮やかさも手伝って、この世のものなのに違う世界を観ているよう。スーパーカミオカンデじゃなくても(笑)まるで近未来SFの舞台にも思える。

 そんなわけで、とにかくすごい。なんかハマる感覚がある。理由もなく、ずっと観ていたくなるような。
 個人的に好きな作品は、やっぱり「カミオカンデ」が筆頭。あとはカラフルな窓が印象的な「パリ、モンパルナス」、「図書館」、牛舎の列がビルみたいにも見える「福山」、それから「ベーリッツ」あたりかな。「バンコク」シリーズも、細部に目を凝らしたときに見える雑多なものが、抽象の中の具象って感じ。
 とにかく、グルスキー作品の不思議な空気感はお勧め。行って良かった!

ファインバーグコレクション展「江戸絵画の奇跡」@江戸博。

2013-07-12 23:55:25 | 【旅】ぼちぼち放浪
 仕事が落ち着かない最中、現実逃避に(笑)。しかし、いかんせん猛暑が……。

 数分ばかし外気に触れただけでなんだか顔が茹で上がった気がしたものだが、スープストックでヴィシソワーズが始まったので、電車を降りて迷わず直行。
 季節メニュー「但馬牛すじ肉とクレソンのスープ」を一緒にオーダーしたら、これがまたうまかった! 春先にあった桜海老のクリームスープもおいしかったし、ガーリックが効いてるスープはハズレがない。欲を言えば、今回のスープにクレソンをもっとがっつり入れてみたい(笑)。

 そして本題、久々の江戸博。暑い。会場入ってもなかなか汗がひかないくらい、外は暑い~。10分も歩いてないのに~(笑)
 今回第一に観たかったのは例によって琳派であって、宗達はもとより抱一であり其一で、あとは若冲。でもたいして詳しいわけでもない私は、神坂雪佳を知らなくて、今回(たぶん)初めてちゃんと観た。琳派らしい琳派だった。「四季草花図」二幅。

 抱一はこれまた例によって「十二ヶ月花鳥図」だったけども、やっぱり、花鳥だけじゃなく昆虫もすばらしいんだよなーと再確認。1点だけあった浮世絵も着物の線がやわらかくて、らしいなぁと思いながら眺めていた。
 其一は小襖シリーズ2作が良かった。青、緑、金と抑えた色数がモチーフを引き立たせる感じで。
 若冲は「菊図」3幅と「松図」。種類の違う菊の花が、どれもデザインとしてのバランスの取り方すごいなあと。葉っぱの描き方もパターン化されてて、それがまた全体わ絶妙なバランスにしていて……。松はまたガラッと違う、ものすごい勢いのある筆致。葉っぱも触ると痛そうだと思っちゃう(笑)

 ほかに気になったのは中林竹洞「四季花鳥図」。文人画の人が描くとこんな感じなのかー。面白い。ちょっと版画っぽい雰囲気にも見えたり。
 あと、谷文晁「秋夜名月図」や鈴木松年「月に雲図」はシンプルなだけにすごい迫力だった。特に谷文晁の、濃淡だけで立体感というか遠近感を出す技術が……見れば見るほど、色が見えてきそうなほど。

 久々に抱一観られてテンション上がってしまったので(笑)珍しく物販にも手を出してしまった。展覧会グッズではないけど、芸艸堂から出てる和綴じ豆本の「抱一筆 光琳略画」。
 あまりにかわいいんで、ほかのもいろいろ欲しかったんだけど、何せサイズのわりにお値段がアレなので(笑)迷った末にまずは抱一からってことで(笑)。あとはがんばって通販とか。って、そういや「北斎漫画」も買おうと思っていたのに忘れていた……

 帰りに東京駅の駅ナカに寄ってみたら、イタリア食肉加工品? のお店で試食させてくれたブルーチーズがこれまたおいしくて……しばらく舌に味の余韻が残っていた(笑)。プロシュートやサラミもおいしそうで、思わず、チーズと肉のプチおつまみセットを買って帰りたくなってしまった。いや、買わなかったけど(笑)。

「海底二万里(上)(下)」(著:ジュール・ヴェルヌ/訳:朝比奈 美知子)

2013-07-06 23:46:39 | 【書物】1点集中型
 私の中に数ある、読めていない(笑)名作古典の中から。パリ博物館のアロナックス教授と召使コンセーユ、カナダ人の銛打ちネッドの3人が、正体不明の怪物と思われた謎の潜水艦ノーチラス号に(一応、囚われの身として)乗り込むことになり、艦とともに海底を旅していくというもの。
 さまざまな海洋生物、海底の景色が鮮やかな筆致で描かれ、その画を想像しながら読むのが楽しい。アロナックス教授の熱心な探究心と、それに応えるネモ船長の碩学っぷりとノーチラス号を支える技術の対比も面白いし、コンセーユとネッドのキャラクターも魅力的。おかげでとても読みやすい。あと、海のものから作られる素晴らしい料理の数々も気になって仕方がない。ゲボロア島へ上陸したときのネッドの料理もだけど。(笑)

 でもネモ船長には陸と、そして陸上の人類と決別して文字通り海に生きることになった何かしらの理由がある。どうやらそれはネモ船長に復讐心を持たせるほどのものであるらしいのだが、その謎は上巻では解く糸口すらつかめない。
 下巻でそれが明らかになるかどうかというと、結論としては否である。えー! 教えてくれないのかー! って感じなんだけれども(笑)。ただ、物語が終末に近づくにしたがってネッド親方の不機嫌ぶりは増すし、ネモ船長はネモ船長で一種異様な冷酷ぶりを発揮するし、話はちょっとそれまでと違う方向に進んでいく。そしてアロナックス教授が聞いたネモ船長の言葉……

 謎は謎のまま。でもネモ船長に導かれ、アロナックス教授と仲間たちとともに二万里の海を巡り、遭遇したさまざまのこと。難関を乗り越えていくノーチラス号の神がかり的な性能。多様性に満ちた生物たち。地上からは窺い知ることのできない、独創性に溢れた海底の世界。それはしっかり堪能できた。
 あと、訳者の手になる解説では時代背景などなども紹介されている。加えて、ネモ船長とノーチラス号に潜む作者の思い(のようなもの)も、多少なりとも汲み取ることができる。おかげさまで、ネモ船長のその後が書かれているという続編「神秘の島」にも興味をもたずにはおれないところである。