life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「無脊椎水族館」(著:宮田 珠己)

2018-10-20 15:52:57 | 【書物】1点集中型
 もちろんWEB連載も読んでいたのだけれども、加筆もあるし、装丁もナイスだし、当然読む。って図書館だけど。
 同じ海の生きものの話でも、シュノーケリングのときは主に南の海での明るいイメージがあったが、水族館は何しろ著者自身が陰気に浸りたくて行くというのだから、見てるものは同じなのに真逆である。まあ、真逆だと思うのは外側から見てるからだという話で、著者本人からしたらそんなことないに違いないのであるが。

 それにしてもことごとく扉写真がいい。扉以外もいいが、やっぱり見開きになる写真がまた格段にいい。そしてウミウシの写真にも相変わらず愛を感じる。確かに水族館では、魚は魚でもちろん熱帯魚とかきれいだし普通に好きなんだけど、総じて言えば変な形をしている無脊椎動物の方が確かに魚類よりも見ていて楽しいかも、とあらためて思った。なんでそんな形? とか、その触手みたいなものは何? とか、何故そんな色をしているの?? とか、こうした動物の体の形と機能の結びつきは、知識に乏しい私なんかの常識からでは想像できないところがあり、新たな発見をしたような気分やちょっとした興奮があるのだ。とか言って、チンアナゴのあの動きをを初めて海中で見たときは同じように楽しかったけど。
 何にせよ、海の生きものの変な形には地球そのものの歴史が地上生物よりも色濃く反映されているように感じる。それをなんとなく感じ取れるのが水族館の醍醐味じゃないかなぁ。その中で、面白い形だったり笑える表情だったり不気味な生態だったり(笑)を切り取って楽しめるのがいいのだ。そろそろ、まだ行ったことのない水族館を開拓したいなー。