life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「HOG連続殺人」(著:ウィリアム・L・デアンドリア/訳:真崎 義博)

2014-06-21 17:18:20 | 【書物】1点集中型
 ニューヨーク州の小さな町で起きた事故死。それが自分の手による殺人であるという声明を送り付けてきた犯人「HOG」。そして殺人は手を変え品を変え、被害者のぞくせいもまちまちに繰り返される。若き私立探偵ロンは、依頼を受けたある仕事と「HOG」事件とのつながりに気づき、そのノウハウを彼自身に叩き込んだ(?)恩師(??)ベネデッティ教授と、心理学者ジャネットともに事件解決に挑むことになる。
 ロンとベネデッティ教授の関係が、なんとなくコナン・ドイルとジョセフ・ ベルの関係をイメージさせる。とはいえ、ベネデッティ教授は会う女性に片っ端からいい顔をしてしかもなんだか妙に惚れさせてしまう、いかにもなイタリアの男なのだが。でも見た目が全然色男っぽくないという素敵さ加減(笑)で、さらに金はさらっと全部弟子のロンに出させてしまう横着っぷり。愛すべき男である。振り回されまくりながら一心にその思考についていこうとするロンも、ある意味非常に健気で応援したくなる(笑)。

 種明かしについては、なるほどそういう方法もあるんだねーという感じ。推理せずにミステリを読む私は、ミステリだと思うとつい殺人犯にばかり気を取られてしまうので(笑)。あっちの謎とこっちの謎の絡み合いと、とあるきっかけから「わかった!」になっていく様子は面白かった。結果的には、なんとかを隠すにはなんとか、ってやつということか。
 結局、「HOG」とはなんだったのか? 答えはまさに教授の言った通りなのだろう。それが「犯人」をしてある願望を抱かせ、罪への引き金を引かせた。そう考えると、哀しい話でもある。

「恐怖の都・ロンドン」(著:スティーブ・ジョーンズ/訳:友成 純一)

2014-06-07 22:37:10 | 【書物】1点集中型
 先に、このあとに発行された「罪と監獄のロンドン」を読んでいた。そちらはどちらかと言えば一般市民社会がどんな状態だったかという点が中心で、こちらはイギリス犯罪史上に名高い数々の事件を紹介している。実は、本当に読みたかったのはこっちのほうだった(「罪と監獄……」も、読んでみたらなかなか興味深かったけど)。
 ロンドンは、幽霊が出ると言われるような建物がむしろ珍重される傾向もあるらしい。この本に出てくる怪奇事件というか猟奇事件というか、その異常さ加減を見ると、それも納得できてしまう。ヴィクトリア朝での残虐事件といえば「ジャック・ザ・リッパー」の事件があまりにも有名だが、さすが「恐怖の都」と銘打つだけあって、次から次へと出てくる出てくる(笑)。いや笑い事じゃないんだけど。

 「死体を独自に作り出す」あたりは、なんとなーく「屍者の帝国」を思い出しちゃったし(時代がそうなので当たり前だけど)、「硫酸風呂殺人鬼」あたりは、そういえば最近なんかの欧米ドラマでこれに近いネタを見たような気がするなぁ(でもどのドラマだったやら思い出せない!「ブラックリスト」かなぁ……)とか思い起こしてしまった。それと、最後に出てきた「イラストレイテッド・ポリスニュース」がまたすごい。こんなホラー漫画みたいなイラストが普通に新聞に載ってるって、いったいどんな社会環境なのかと(笑)。いや、ネタとしてはやっぱり笑い事じゃないんだけど。ネズミに腹の中から食い破られて死んじゃうとか恐ろしすぎる。
 でもほんとに、これだけ錚々たる(?)事件を並べられると、怪奇現場めぐりツアーにも行ってみたくなろうというもの。確かに、普通の観光だけではわからないかの地の歴史を感じることができるかも。とは言え、英語でガイドされても聞き取れないので(笑)機会があっても結局行けないんだろうけど(笑)。