久々に読んだ筒井短篇集。確か表題作は読んだことがあったような気がするのと、「通いの軍隊」は映像化もされていたのを見た気がするが、例によってオチを覚えていないので(笑)ほぼ初読の気分で読む。
「養豚の実際」はそのタイトルからオーウェルの「動物農場」を彷彿させられたが、「作家なんて実はこんな風に踊らされてるだけなんだ」という自虐と見て取れないこともない。自虐と言っても、憐れみを感じさせるような自虐ではなく、クライアントに対する鬱憤の発散みたいな感じだけど(笑)。「怪奇たたみ男」もそうだけど、どこまでもナンセンスなだけにさえ見えるのに、毒がにじみ出てくるんだよねえ。「通いの軍隊」もこれに近いかな。
「おれに関する噂」「熊の木本線」「だばだば杉」「YAH!」「講演旅行」はオチがやっぱり良くて、最後の一瞬ですとんと落ちるのが読んでて快感を覚える。星新一作品とも感覚が似ている。
「幸福の限界」「心臓に悪い」は日常の中でのパニックものを思わせる雰囲気。「幸福の限界」はちょっとしたホラーのような結末になっているが、「心臓に悪い」は笑えるオチ。でもどっちもこれぞ筒井作品!(ってどれもそうなんだけど、特に)という強いインパクトを与えてくれる。「心臓に悪い」なんて、主人公のドタバタがどんどんヒートアップしていって、ラストシーンがこれかよ!(笑)って感じで、まさにこんな話を最後に持ってくるのが心憎いなあと思う。
一通り読んでみて、自分が筒井作品日に惹き込まれるようになった要因が、この「毒」とそれを引き立てるコミカルさというか滑稽さの部分だなとあらためて感じた次第。読者という立場から物語を観察しながら、翻弄される主人公をこれまた人の悪い愉悦を感じながら眺めている自分がいることに気づくのである。
「養豚の実際」はそのタイトルからオーウェルの「動物農場」を彷彿させられたが、「作家なんて実はこんな風に踊らされてるだけなんだ」という自虐と見て取れないこともない。自虐と言っても、憐れみを感じさせるような自虐ではなく、クライアントに対する鬱憤の発散みたいな感じだけど(笑)。「怪奇たたみ男」もそうだけど、どこまでもナンセンスなだけにさえ見えるのに、毒がにじみ出てくるんだよねえ。「通いの軍隊」もこれに近いかな。
「おれに関する噂」「熊の木本線」「だばだば杉」「YAH!」「講演旅行」はオチがやっぱり良くて、最後の一瞬ですとんと落ちるのが読んでて快感を覚える。星新一作品とも感覚が似ている。
「幸福の限界」「心臓に悪い」は日常の中でのパニックものを思わせる雰囲気。「幸福の限界」はちょっとしたホラーのような結末になっているが、「心臓に悪い」は笑えるオチ。でもどっちもこれぞ筒井作品!(ってどれもそうなんだけど、特に)という強いインパクトを与えてくれる。「心臓に悪い」なんて、主人公のドタバタがどんどんヒートアップしていって、ラストシーンがこれかよ!(笑)って感じで、まさにこんな話を最後に持ってくるのが心憎いなあと思う。
一通り読んでみて、自分が筒井作品日に惹き込まれるようになった要因が、この「毒」とそれを引き立てるコミカルさというか滑稽さの部分だなとあらためて感じた次第。読者という立場から物語を観察しながら、翻弄される主人公をこれまた人の悪い愉悦を感じながら眺めている自分がいることに気づくのである。