石持浅海、太田忠司、小川一水、小前亮、高島雄哉、藤井太洋の6氏による、「銀英伝」の公式トリビュートだそうである。
アニメやってれば今でもつい観てしまうし、観てれば台詞も普通に頭に浮かんできてしまうくらいである。空気感に浸りたいんだろうな、たぶん。なので、読まないわけにはいかないだろうということで借りてみた。藤井太洋まだ読めてなかったし。
いわゆる二次創作だが、本編の中の時間軸の隙間を補うものもあれば、歴史以前を描くものもある。以後がないのは意外ではあるが、でも以後は書くの難しそうな気はする。
といいながら巻頭作「竜神滝の皇帝陛下」は以後の記録の体で書かれてはいる。実体はラインハルトのオフモードエピソード。エミールがラインハルトを偲ぶのあの言葉は確かに印象的で、そこからインスパイアされる気持ちはわかる気がする。書く人が書くとそこからこんな微笑ましいけどラインハルトらしいお話ができるんだなあ、と感嘆させられた作品である。
敢えてお気に入りを挙げるなら「士官学生の恋」と「晴れあがる銀河」かな。前者はキャゼルヌ夫人という目のつけどころがいいし、ヤンとの絡め方が秀逸。この2人って本質的にかなり同類だったんだね、そりゃあキャゼルヌもヤンをかまってあげたくてしょうがなくなるわけだ(笑)と。で、後者はキャラクターの造形と、何といってもオチがいい。そういえばラープって名前、あったよなあ……とは思いながら読んでたんだけども、だから最後の最後で言われる前に読んで気づけよ、って感じかもしれないけど(笑)。藤井太洋氏は前々から気になっている作家さんではあったのだが手をつけられていなくて、やっぱり早く読んだ方がいいなと思った次第。
「ティエリー・ボナール最後の戦い」は、ヤンがこういう「最後の戦い」をできる時代だったらなあ、と思いながら読んだものだった。まあ、それではそもそも銀英伝が成り立たなくなってしまうんだけれども(笑)。ウランフ提督が絡んでくるあたり心憎い演出である。「レナーテは語る」は本編で垣間見えたオーベルシュタインのプライベートな世界をその由来として描き出した形。軍人でなければ杉下右京になれそうなオーベルシュタインであった。女性の目を通したオーベルシュタインというのもかなり新鮮。「星たちの舞台」は、ヤンと演劇という普通に考えて馴染みそうにないものを意外とあっさり結びつけてくれた。しかも異性装まで(笑)。でも、プライベートでは流れに無理に逆らわずに生きていたヤンらしいといえばそうなのかも。
小川一水氏以外は初読だったけど、どれも面白く読ませてもらった。このクオリティで「1」を出してもらえたわけなので、ぜひ「2」も出してもらって、もっといろんな作家さんの銀英伝を読んでみたいとも思う。
アニメやってれば今でもつい観てしまうし、観てれば台詞も普通に頭に浮かんできてしまうくらいである。空気感に浸りたいんだろうな、たぶん。なので、読まないわけにはいかないだろうということで借りてみた。藤井太洋まだ読めてなかったし。
いわゆる二次創作だが、本編の中の時間軸の隙間を補うものもあれば、歴史以前を描くものもある。以後がないのは意外ではあるが、でも以後は書くの難しそうな気はする。
といいながら巻頭作「竜神滝の皇帝陛下」は以後の記録の体で書かれてはいる。実体はラインハルトのオフモードエピソード。エミールがラインハルトを偲ぶのあの言葉は確かに印象的で、そこからインスパイアされる気持ちはわかる気がする。書く人が書くとそこからこんな微笑ましいけどラインハルトらしいお話ができるんだなあ、と感嘆させられた作品である。
敢えてお気に入りを挙げるなら「士官学生の恋」と「晴れあがる銀河」かな。前者はキャゼルヌ夫人という目のつけどころがいいし、ヤンとの絡め方が秀逸。この2人って本質的にかなり同類だったんだね、そりゃあキャゼルヌもヤンをかまってあげたくてしょうがなくなるわけだ(笑)と。で、後者はキャラクターの造形と、何といってもオチがいい。そういえばラープって名前、あったよなあ……とは思いながら読んでたんだけども、だから最後の最後で言われる前に読んで気づけよ、って感じかもしれないけど(笑)。藤井太洋氏は前々から気になっている作家さんではあったのだが手をつけられていなくて、やっぱり早く読んだ方がいいなと思った次第。
「ティエリー・ボナール最後の戦い」は、ヤンがこういう「最後の戦い」をできる時代だったらなあ、と思いながら読んだものだった。まあ、それではそもそも銀英伝が成り立たなくなってしまうんだけれども(笑)。ウランフ提督が絡んでくるあたり心憎い演出である。「レナーテは語る」は本編で垣間見えたオーベルシュタインのプライベートな世界をその由来として描き出した形。軍人でなければ杉下右京になれそうなオーベルシュタインであった。女性の目を通したオーベルシュタインというのもかなり新鮮。「星たちの舞台」は、ヤンと演劇という普通に考えて馴染みそうにないものを意外とあっさり結びつけてくれた。しかも異性装まで(笑)。でも、プライベートでは流れに無理に逆らわずに生きていたヤンらしいといえばそうなのかも。
小川一水氏以外は初読だったけど、どれも面白く読ませてもらった。このクオリティで「1」を出してもらえたわけなので、ぜひ「2」も出してもらって、もっといろんな作家さんの銀英伝を読んでみたいとも思う。