ある日突然、地球の空から星や月が消え、太陽はそれまでの太陽と違うものに変わってしまう。わかったことは、地球の時間の速度が全宇宙に比して1億分の1という超スローペースになってしまったということ。それはつまり、数十億年の先であったはずの太陽の寿命が、地球にとってはたった数十年先のことでしかないことを意味するのである――。
主人公タイラーと、隣人であり主人公の母の雇い主の子どもたちであるダイアンとジェイスンの双子の姉弟の人生は、のちに「スピン」と呼ばれるようになったその出来事に大きな影響を受けることになる。成長した主人公たちの「現在」と、「スピン」当時から「現在」に至るまでの彼らが交互に語られていき、おそらくどこかで「現在」に追いつくことになるのだろうという展開である。
ずっと、読む予定リストに入れっぱなしになっていた(笑)SFものの1つ。3部作だと聞いていたし、あらすじだけ見た感じだとかなりなハードSFなんではないかと思ったので、取り組む意思を固めるのになかなか時間がかかってしまった……が、題材は確かにハードであるものの、読み始めると実に読みやすい。主人公を含む3人の物語ととてもうまく絡み合っていて、SF的要素以上に彼らの行く先が気になって仕方なくなる。
で、地球が近いうちに人類の住む星でなくなるという現実を前に、人類はついに本格的な火星進出に取り組む。いわゆるテラフォーミング。地球の外の時間の流れが地球の1億倍であるということから、テラフォーミングされた火星の進化がすぐに現在の地球並みのところまで進んでいくというメリットもあって、なるほどなーと思った。関係ないけどたまたま、読んでるタイミングで「コズミック・フロント」@BSプレミアムがテラフォーミングの話題だったりして、ちょうどいいときに観られたな~と思ったり。
病に冒されたジェスが選んだ道は火星のテクノロジー。それは通常の寿命を超える「第四期」へ向かうための処置だ。そして火星人曰く、惑星の持続性の限界と、そこから地球を守るために介入したとされる「仮定体」はまた、火星にも同様の「時間封鎖」を行っている。地球は滅亡に向かっていて、ダイアンもまた弟と同様に死に瀕している。そして弟と同じ道を選び、しかし姉弟にそれぞれに訪れた結果は真逆であった。
地球の外で起きているレプリケーターの異常、滅亡を文字通り目前に感じている地球を覆う人々の狂騒。終盤は、ちょっとしたディストピアもののような様相を呈してくる。新しい世界、ジェスが知りたかったこと。タイラーもまた、そのことで追われる身となることを知りながら、自らも「第四期」へ向かう。
ラストシーンは、まだ見ぬ新大陸に向かう開拓者たちの船出のよう。仮定体のさらに向こうにある宇宙の謎はまだ、全貌が見えたというにはほど遠いほんの糸口だけの解明でしかない。イクウェイトリアで、タイラーとダイアンは何を知るのだろう。そして地球は、宇宙は、どのように変わっていくのだろう。彼らとともに未知の世界に乗り込んでいくような気になりながら、次作の貸し出し予約を入れてみた(笑)。
そういえば解説にあったけど、イーガンの「宇宙喪失」も地球から星が見えなくなるという設定だった。なんとなく既視感があったのはそれでか、と思ったのだがまあ実際はっきりとは覚えてなかったわけで(笑)。でも、そのくらい全然別の印象。どっちも違う味があるんだけど、読みやすさだけで言えば圧倒的にウィルスンだな。
主人公タイラーと、隣人であり主人公の母の雇い主の子どもたちであるダイアンとジェイスンの双子の姉弟の人生は、のちに「スピン」と呼ばれるようになったその出来事に大きな影響を受けることになる。成長した主人公たちの「現在」と、「スピン」当時から「現在」に至るまでの彼らが交互に語られていき、おそらくどこかで「現在」に追いつくことになるのだろうという展開である。
ずっと、読む予定リストに入れっぱなしになっていた(笑)SFものの1つ。3部作だと聞いていたし、あらすじだけ見た感じだとかなりなハードSFなんではないかと思ったので、取り組む意思を固めるのになかなか時間がかかってしまった……が、題材は確かにハードであるものの、読み始めると実に読みやすい。主人公を含む3人の物語ととてもうまく絡み合っていて、SF的要素以上に彼らの行く先が気になって仕方なくなる。
で、地球が近いうちに人類の住む星でなくなるという現実を前に、人類はついに本格的な火星進出に取り組む。いわゆるテラフォーミング。地球の外の時間の流れが地球の1億倍であるということから、テラフォーミングされた火星の進化がすぐに現在の地球並みのところまで進んでいくというメリットもあって、なるほどなーと思った。関係ないけどたまたま、読んでるタイミングで「コズミック・フロント」@BSプレミアムがテラフォーミングの話題だったりして、ちょうどいいときに観られたな~と思ったり。
病に冒されたジェスが選んだ道は火星のテクノロジー。それは通常の寿命を超える「第四期」へ向かうための処置だ。そして火星人曰く、惑星の持続性の限界と、そこから地球を守るために介入したとされる「仮定体」はまた、火星にも同様の「時間封鎖」を行っている。地球は滅亡に向かっていて、ダイアンもまた弟と同様に死に瀕している。そして弟と同じ道を選び、しかし姉弟にそれぞれに訪れた結果は真逆であった。
地球の外で起きているレプリケーターの異常、滅亡を文字通り目前に感じている地球を覆う人々の狂騒。終盤は、ちょっとしたディストピアもののような様相を呈してくる。新しい世界、ジェスが知りたかったこと。タイラーもまた、そのことで追われる身となることを知りながら、自らも「第四期」へ向かう。
ラストシーンは、まだ見ぬ新大陸に向かう開拓者たちの船出のよう。仮定体のさらに向こうにある宇宙の謎はまだ、全貌が見えたというにはほど遠いほんの糸口だけの解明でしかない。イクウェイトリアで、タイラーとダイアンは何を知るのだろう。そして地球は、宇宙は、どのように変わっていくのだろう。彼らとともに未知の世界に乗り込んでいくような気になりながら、次作の貸し出し予約を入れてみた(笑)。
そういえば解説にあったけど、イーガンの「宇宙喪失」も地球から星が見えなくなるという設定だった。なんとなく既視感があったのはそれでか、と思ったのだがまあ実際はっきりとは覚えてなかったわけで(笑)。でも、そのくらい全然別の印象。どっちも違う味があるんだけど、読みやすさだけで言えば圧倒的にウィルスンだな。