高野氏の作品は「13階段」以来。「13階段」は相当気に入っていて、けっこう読み返している。でも他の作品を読んでなくて、今回はどんなのかなーと開いてみたら意外と文字サイズが小さかった(笑)。そのうえ600P近くあったので、お、これは時間がかかるかな? と最初はと思ったけど、読み始めたら一気。
ヒトという種がもし進化するとしたら……というところで私が思い出すのは、吉田秋生氏の「YASHA」なんだけれども。ヒトが生物である以上、それが起こるのが近いか遠いかは別として、なさそうであるかもしれない、あながちフィクションで終わるとも言い切れない物語。ヒトを凌駕する存在をどう扱うか、というアメリカのスタンスがこう表現されるのも、なんとなく納得できる。
あと、圧巻はやはりアキリ(とエマ)とアメリカ側との読み合いかな。怒涛のように互いに繰り出される一手一手、しかし常にアキリたちの手が面白いように相手の上を行くのが一種「勧善懲悪」的な爽快感ももたらす。が、ふと立ち止まると、そういう存在を相手にしたとき、人間は果たしてどんな道を選ぶのかと考えさせられもする。バーンズのような道を採ったら……やはり滅びは遠くなくなるだろう。
さらに両者の動きを読みつつコントロールを試みる科学者たちの思惑、日本で猛然と薬の開発に取り組む研人の動きとそれに対する妨害工作……いろんなものが絡み合って、壮大なスケールの物語に編み上げられている。で、最後がメタンハイドレートか! というのがまたちょっと面白い(個人的に。なんかタイムリーな話しだし)。
戦場の描写は、少年兵たちのエピソードも含め、エグいところも実際ある。が、そのへんもひっくるめて描かれている、我が子を救うために最終的には他の誰かの子を殺してでも進まざるを得ないイエーガーの懊悩は、「13階段」で見せられたあのやるせないイメージに近くて、私自身は好きである。
アキリやエマがどうやって成長していくかを考えると、この物語の先に見えるのは明るいばかりの未来ではないけれど、研人や正勲の心のありようがきっちり救いになっているのは、ちょっとほっとする。あと、薬の開発過程のアウトラインを見せてもらったのも、素人としては興味深かった。
話は変わって。
ば先日、「マークスの山」が新潮文庫から出ていた! どうやら「合田雄一郎サーガ」とかって、3部作全部を新潮文庫が揃えてくれるらしい(「レディ・ジョーカー」はすでに出してある)。
さすがに文庫→文庫の改稿はいかな高村氏でもやらなかったようだし、新潮文庫版には解説はついてない。だからかちょっと安い。とは言うものの、「マークスの山」も「照柿」も講談社文庫版はすでに手許にあるんだから買う必要もなかろう……とは思うのだが、なんたって新潮文庫版の魅力はフォントですよフォント。
少なくとも「マークスの山」を見る限り、「レディ・ジョーカー」と同じフォントで刷ってくれてるようなのだ。で、これがいかにも高村作品向けのフォント(だと私は思っている)なのですよ。もう、このフォントで読みたいがためだけに新潮文庫版を買いたいくらい、私は好きである。
っていうかね、講談社文庫版のフォントが、個人的にはずっと不満ではあったんです……おそらく、作品に関わらずあのフォントで統一されていると思われるので、こんな不満を言っては申し訳ないのは重々承知してるんだけど(笑)。でも、だから余計に「うわー! 新潮が出してくれたよ! しかもこのフォントでだよ!」って舞い上がっちゃって。すみません。
というわけで、どうするべきか相当悩んでいます(笑)。
ヒトという種がもし進化するとしたら……というところで私が思い出すのは、吉田秋生氏の「YASHA」なんだけれども。ヒトが生物である以上、それが起こるのが近いか遠いかは別として、なさそうであるかもしれない、あながちフィクションで終わるとも言い切れない物語。ヒトを凌駕する存在をどう扱うか、というアメリカのスタンスがこう表現されるのも、なんとなく納得できる。
あと、圧巻はやはりアキリ(とエマ)とアメリカ側との読み合いかな。怒涛のように互いに繰り出される一手一手、しかし常にアキリたちの手が面白いように相手の上を行くのが一種「勧善懲悪」的な爽快感ももたらす。が、ふと立ち止まると、そういう存在を相手にしたとき、人間は果たしてどんな道を選ぶのかと考えさせられもする。バーンズのような道を採ったら……やはり滅びは遠くなくなるだろう。
さらに両者の動きを読みつつコントロールを試みる科学者たちの思惑、日本で猛然と薬の開発に取り組む研人の動きとそれに対する妨害工作……いろんなものが絡み合って、壮大なスケールの物語に編み上げられている。で、最後がメタンハイドレートか! というのがまたちょっと面白い(個人的に。なんかタイムリーな話しだし)。
戦場の描写は、少年兵たちのエピソードも含め、エグいところも実際ある。が、そのへんもひっくるめて描かれている、我が子を救うために最終的には他の誰かの子を殺してでも進まざるを得ないイエーガーの懊悩は、「13階段」で見せられたあのやるせないイメージに近くて、私自身は好きである。
アキリやエマがどうやって成長していくかを考えると、この物語の先に見えるのは明るいばかりの未来ではないけれど、研人や正勲の心のありようがきっちり救いになっているのは、ちょっとほっとする。あと、薬の開発過程のアウトラインを見せてもらったのも、素人としては興味深かった。
話は変わって。
ば先日、「マークスの山」が新潮文庫から出ていた! どうやら「合田雄一郎サーガ」とかって、3部作全部を新潮文庫が揃えてくれるらしい(「レディ・ジョーカー」はすでに出してある)。
さすがに文庫→文庫の改稿はいかな高村氏でもやらなかったようだし、新潮文庫版には解説はついてない。だからかちょっと安い。とは言うものの、「マークスの山」も「照柿」も講談社文庫版はすでに手許にあるんだから買う必要もなかろう……とは思うのだが、なんたって新潮文庫版の魅力はフォントですよフォント。
少なくとも「マークスの山」を見る限り、「レディ・ジョーカー」と同じフォントで刷ってくれてるようなのだ。で、これがいかにも高村作品向けのフォント(だと私は思っている)なのですよ。もう、このフォントで読みたいがためだけに新潮文庫版を買いたいくらい、私は好きである。
っていうかね、講談社文庫版のフォントが、個人的にはずっと不満ではあったんです……おそらく、作品に関わらずあのフォントで統一されていると思われるので、こんな不満を言っては申し訳ないのは重々承知してるんだけど(笑)。でも、だから余計に「うわー! 新潮が出してくれたよ! しかもこのフォントでだよ!」って舞い上がっちゃって。すみません。
というわけで、どうするべきか相当悩んでいます(笑)。