陳舜臣氏初読み。沖縄行きの時期はなんとなく関連のものを読みたくなってくる、というわけでこれは島津の琉球侵攻前後の沖縄の姿を描いた物語。
第1巻「怒涛の巻」はほんのプロローグという感じで、まさに琉球を呑み込まんとする時代の波が迫ってくるところが描かれている。大和と明、徳川と島津の思惑の間で、琉球がどう立ち回っていくのか……その物語の(だいたい)中心となる啓泰・啓山の兄弟が、各々どんな道を歩むことになるのかに注目していた。ただ琉球と明だけでもたくさん出てくる人物の相関と、それぞれの行動範囲を把握するのがちょっと大変かも(笑)。
第2巻「疾風の巻」は、薩摩の琉球侵攻。武力では薩摩に敵わぬことを前提に、いかにして「琉球」を守るか。単に独立国としての体裁だけを指すのではなく、存在意義と琉球人としての誇りを守り抜くことに、さまざまな角度から挑んでいった人々の姿がある。戦を含めた外交上の駆け引きの中に、人間同士の信義の交わし合いも垣間見られる。
琉球が生き残るためには、体面上江戸に屈せざるを得ない。けれど、それが決して真実ではないと後世に伝える人柱となって、謝名親方は斬られる道を選んだ。それが第3巻「雷雨の巻」。啓泰がついに母・真鶴と名乗りあい、そして別れる場面がちょっと沁みた。
「琉球人が、台湾へ、福建へ、いや天竺であろうと、南蛮であろうと、出て行けばよい。出て行ったところが難解の民の土地ではないか。そう思えばよい」
その謝汝烈の言葉が、「琉球人」が生き続けていくための本質を突いているのだろう。そして真鶴や啓山・羽儀が育てた芸能は、琉球ここにありと無言で語り続けている。
人物を深く掘り下げていくというより、歴史の流れの中でそれぞれの「国」や「人の考えや行動」がどうぶつかり合い、方向づけられていくのかが語られている感じなので、「あれっ、そこそんなあっさりですか」という箇所もある(啓泰・啓山が父・楊邦義と再会するシーンとか)んだけど、今までほとんど意識したことのなかった明国と琉球の繋がりが見えてきて、沖縄の歴史を知る上で興味深かった。
なので、沖縄が、琉球という国が本当はどこから来たのか、どういう歴史を経てきたのか、もっと知りたくなった。恥ずかしながら、奄美大島が現在、鹿児島県に属する理由もこの物語で初めて知ったようなものだし……
それにしても茶屋四郎次郎、好きだなあ(笑)。山岡荘八氏の「徳川家康」でも好きなキャラ(って実在の人物なわけだが)だったんですが、この物語でも(作者は違うのに)いい味が出てます。そういう意味では、切れ者すぎる(切れ者すぎて最後は残念なことになった)本多正純も意外に好きだったりする。
琉球方(と言っていいかどうかわからないけど)では何気に影佐が好きです。啓泰の生真面目さもいいですけどね(笑)。
第1巻「怒涛の巻」はほんのプロローグという感じで、まさに琉球を呑み込まんとする時代の波が迫ってくるところが描かれている。大和と明、徳川と島津の思惑の間で、琉球がどう立ち回っていくのか……その物語の(だいたい)中心となる啓泰・啓山の兄弟が、各々どんな道を歩むことになるのかに注目していた。ただ琉球と明だけでもたくさん出てくる人物の相関と、それぞれの行動範囲を把握するのがちょっと大変かも(笑)。
第2巻「疾風の巻」は、薩摩の琉球侵攻。武力では薩摩に敵わぬことを前提に、いかにして「琉球」を守るか。単に独立国としての体裁だけを指すのではなく、存在意義と琉球人としての誇りを守り抜くことに、さまざまな角度から挑んでいった人々の姿がある。戦を含めた外交上の駆け引きの中に、人間同士の信義の交わし合いも垣間見られる。
琉球が生き残るためには、体面上江戸に屈せざるを得ない。けれど、それが決して真実ではないと後世に伝える人柱となって、謝名親方は斬られる道を選んだ。それが第3巻「雷雨の巻」。啓泰がついに母・真鶴と名乗りあい、そして別れる場面がちょっと沁みた。
「琉球人が、台湾へ、福建へ、いや天竺であろうと、南蛮であろうと、出て行けばよい。出て行ったところが難解の民の土地ではないか。そう思えばよい」
(琉球の風[三]雷雨の巻/「落日を浴びて」文中より)
その謝汝烈の言葉が、「琉球人」が生き続けていくための本質を突いているのだろう。そして真鶴や啓山・羽儀が育てた芸能は、琉球ここにありと無言で語り続けている。
人物を深く掘り下げていくというより、歴史の流れの中でそれぞれの「国」や「人の考えや行動」がどうぶつかり合い、方向づけられていくのかが語られている感じなので、「あれっ、そこそんなあっさりですか」という箇所もある(啓泰・啓山が父・楊邦義と再会するシーンとか)んだけど、今までほとんど意識したことのなかった明国と琉球の繋がりが見えてきて、沖縄の歴史を知る上で興味深かった。
なので、沖縄が、琉球という国が本当はどこから来たのか、どういう歴史を経てきたのか、もっと知りたくなった。恥ずかしながら、奄美大島が現在、鹿児島県に属する理由もこの物語で初めて知ったようなものだし……
それにしても茶屋四郎次郎、好きだなあ(笑)。山岡荘八氏の「徳川家康」でも好きなキャラ(って実在の人物なわけだが)だったんですが、この物語でも(作者は違うのに)いい味が出てます。そういう意味では、切れ者すぎる(切れ者すぎて最後は残念なことになった)本多正純も意外に好きだったりする。
琉球方(と言っていいかどうかわからないけど)では何気に影佐が好きです。啓泰の生真面目さもいいですけどね(笑)。