「のぼうの城」は、書店で気にはなっていたものの読んでない。が、映画は割合面白く観た(テレビで……)。なもんで、実際の和田氏の作風はどんなものかなと思い、友人が貸してくれるというのをありがたく拝借した次第。
タイトル通り、物語の中を駆け回るのは、本当かよ! ってな技術だらけの忍者たち。しかし実際は、普段は小作農として暮らし、用あらば親方的な地侍を通して傭兵的に隠密的な活動を請け負い、最終的に地侍に搾取される下人たちがほとんどである。
実は、題材的にも文章量的にもぱっと見、読みやすそうなわりに意外と話が頭になかなか入ってこなかった(笑)。伊賀忍者の世界が想像よりもかなり殺伐としていて逆に毒気を抜かれたというか、こっちも殺伐とした気分になったというか……感情移入しにくかったからなのかな。それとも( )書きのモノローグが多かったせいなのか。無門をはじめ、超人的な伊賀の技の描写はそこそこ迫力もあったし、文吾の青臭い感じはちょっと微笑ましくも思えたけども。なので、むしろ信雄の情けなくもいじらしい父へのコンプレックスやら、大膳や平兵衛の行く末の方が気になってしまった。
とはいえ、クライマックスの無門とお国のシーンは、いい盛り上がりだったと思う。無門は人を人とも思わぬ伊賀者の中にあって、それが当然であると重々理解している。彼はその技を金に換えることと、その金でお国の関心をひくことしか考えていなかった。しかし、自分の本当の名前を知らないことをお国が憐れんでくれたことによって、無門は生まれて初めて己が「人間」であることに思い至ったのだろう。
和田氏はもともと脚本家だそうだが、それを知った状態で読んだせいか、終わり方なんかは映像作品っぽいなぁなんて感じもした。あと、文章の作り方が脚本っぽいといえばそうかも。一つ一つの文や段落が短めだったり、台詞と同じくらいモノローグがあったり、会話もわりと単語が多かったり口語っぽかったり。時代小説はハードな書かれ方のほうが好きなので、個人的な好みとしてだけ言えば好みではないんだけど、ネタが忍者だけにスピード感は出やすいのかな。
タイトル通り、物語の中を駆け回るのは、本当かよ! ってな技術だらけの忍者たち。しかし実際は、普段は小作農として暮らし、用あらば親方的な地侍を通して傭兵的に隠密的な活動を請け負い、最終的に地侍に搾取される下人たちがほとんどである。
実は、題材的にも文章量的にもぱっと見、読みやすそうなわりに意外と話が頭になかなか入ってこなかった(笑)。伊賀忍者の世界が想像よりもかなり殺伐としていて逆に毒気を抜かれたというか、こっちも殺伐とした気分になったというか……感情移入しにくかったからなのかな。それとも( )書きのモノローグが多かったせいなのか。無門をはじめ、超人的な伊賀の技の描写はそこそこ迫力もあったし、文吾の青臭い感じはちょっと微笑ましくも思えたけども。なので、むしろ信雄の情けなくもいじらしい父へのコンプレックスやら、大膳や平兵衛の行く末の方が気になってしまった。
とはいえ、クライマックスの無門とお国のシーンは、いい盛り上がりだったと思う。無門は人を人とも思わぬ伊賀者の中にあって、それが当然であると重々理解している。彼はその技を金に換えることと、その金でお国の関心をひくことしか考えていなかった。しかし、自分の本当の名前を知らないことをお国が憐れんでくれたことによって、無門は生まれて初めて己が「人間」であることに思い至ったのだろう。
和田氏はもともと脚本家だそうだが、それを知った状態で読んだせいか、終わり方なんかは映像作品っぽいなぁなんて感じもした。あと、文章の作り方が脚本っぽいといえばそうかも。一つ一つの文や段落が短めだったり、台詞と同じくらいモノローグがあったり、会話もわりと単語が多かったり口語っぽかったり。時代小説はハードな書かれ方のほうが好きなので、個人的な好みとしてだけ言えば好みではないんだけど、ネタが忍者だけにスピード感は出やすいのかな。