life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「ジョーカー・ゲーム」(著:柳 広司)

2010-10-27 22:36:40 | 【書物】1点集中型
 相変わらず全体的にドライでクールな柳氏作品。「ダブル・ジョーカー」の前の話という位置づけになりますか、「D機関」とは何ぞや? のところから始まります。
 スパイ行為の手法とかそのへんは特に目新しい感じはしないけど、ミステリ短編集という気持ちで読めばそこそこ楽しめると思います。

 最後の結城の一言に人間性を見るのか、どこまでも「D機関」を見るのか。どの話にも最後はそういう余韻が残って、ほんの少し「心」の部分が見え隠れする感じです。振り返って思うと、「トーキョー・プリズン」の貴島も非常~~にとっつきにくい性格だったりしたので、「ジョーカー」シリーズ(と言っていいのかな?)の根幹をなす結城のキャラクターといい、そのあたりが柳氏の作品の個性にもなっているのかもしれません。

「ディアスポラ」(著:グレッグ・イーガン/訳:山岸 真)

2010-10-27 21:57:42 | 【書物】1点集中型
 むむむ難しい~~。久しぶりに貸出延長をかけた本ですが、さすがは「ハードSF」です……。

 時代は30世紀、「人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた」(表4カバーのあらすじより)というのが設定の基本。で、「恒星間宇宙船に乗り込んだ主人公が太陽系を飛び出し、世界の成り立ちの謎を追い求めて銀河の彼方まで(そしてさらにその先まで)旅をする、壮大なスケールの宇宙冒険SF」(解説より)というのが大筋です。

 作中の世界で孤児の誕生が描かれる冒頭(「孤児発生」)は、読みながらなんとか頭の中で画を作ろうとするんだけど、作れない。なんとなくグリッドとか描いちゃう(笑)。のっけからいきなり「……どうしよう。わかんねえ。ついていけないかも……」と文系を青ざめさせる内容でした。
 で、読み進められるのかどうかちょっと本気で心配になったので(笑)途中で解説に逃避してみたら、この最初の15ページが最も難解=具体的にイメージしにくいパートのひとつ、とのこと。「読み出したはいいが途方にくれている文系読者」即ち私のような読者に対しては、「わからないところはばんばん飛ばす」だけでOKと書かれているではありませんか(笑)。
 おかげで、なんだじゃあここはなんとなくでいいんだな、と安心して、まあ「飛ばす」とまではいかないまでも、とりあえずわかったようなわからないような顔をしながら読み進めていったら、確かに「抜け出す」ことはできました。

 でも正直な話、1回通しで読んだ程度では、「なんとなく話の流れだけわかる」くらいの理解に終わってしまい、作中の世界での出来事を正しく認識できる段階にまでは頭は全然追いつきませんでした。しかもよりによって最後は、「つまるところ、すべては数学なのだ。」って。行き着くところはピュタゴラス(曰く「万物は数なり」ってやつ)ですよ。わかるけどー(泣)って感じですよ。
 ただ、孤児ヤチマがいろいろな人と出会い、別れ、また出会い、そして最後はまたひとりで先へ進んでいく、そのストーリーの中で語られるそれぞれの人のあり方は、なかなかに興味深いものでした。イノシロウがヤチマとあんなに早く離れてしまうのは、ちょっと寂しかったな。イノシロウの考えていることもよくわかったけど。

 そして最後にパウロがヤチマに言ったこと。

「(前略)けれどこのぼくは、見つけようとしていたものをこの宇宙で見つけた。ぼくにはもうなにも残されていない。それは死じゃないよ。完結というんだ」

 肉体を持たずに生き続ける、随意にさまざまの「バージョン」つまり自らのクローンを残すこともできる人々にとって、生きるということはどういうことなのか。ある意味、人間がその生きる意義を(命が有限であるにせよ無限であるにせよ)どう見出していくか、そういったことも描かれているんじゃないのかなと感じました。

 もうほんとに「ハード」という言葉がぴったりのSFだと思いますが、だけどただひたすら難解な(笑)舞台設定だけじゃなくて、それぞれの登場人物の表情を追っていくことのできる物語ではあると思います。なのでいつかじっくり再挑戦したい。描かれている世界を、今より少しでもわかるようになりたいです。わかるともっと面白く読めると思うので。

千住博ムック!

2010-10-26 22:33:53 | 【書物】1点集中型
 本屋をぶらついてたら見つけてしまいました。
 で、とりあえずパラパラめくってみたらやっぱり素晴らしかった……ので、「うう、欲しいっ」ってなったのですが、2,300円かー。くうー。でも買う。そのうち。いや近いうち!

 立ち読みしつつ(笑)やっぱりいつか京都造形美大の通信教育受けてみたいなぁとか、ぼんやり考えてしまいました。美術の勉強なんて全くしたことないけど、大学案内見ては憧れていたりもします。
 でもスクーリングに行くには京都は遠い。ムサビの方がまだ近いんだけど(近いったって東京だけど)、でもより惹かれるのは京都造形美大なんですよねー。ま、こっちは「そのうち」どころか、「死ぬまでにいつか」くらい夢の世界ですけど(笑)

 そういや、久しく新しい音楽を全然聴いてないや、とか思いながら新譜情報を見てたら、ジャミロクワイが移籍! で、来月新譜! とかいう情報が。
 なんですとー!? 買うに決まってるじゃないか。(と言いつつ一応先行Sの試聴だけしました)と浮かれまくり、さらによく見たらTAKE THATまで新譜情報出てる! しかも、ロビーが今度こそ本当に戻ってくるって!
 ……みたいな話で、来月はいきなり2枚買わなくちゃなんだな、って話になりました。個人的に。
 でも、TAKE THATの前作は買いそびれてるんですけどね(笑)。ただこれも一応先行SがYouTubeにあったので聴いた(見た?)けど、けっこういいかも! と思ってます。相変わらず厚みのあるコーラスで、ちょっとスケール感もあって。

CS終わりましたけども……なんちゅう試合やねん(笑)

2010-10-23 22:51:49 | 【野球】ペナント日誌 2010
 とりあえずセCSファイナルSも追っかけてみましたよ。とは言っても中継はほとんど見てなくて、本日8回ごろからですが。それもけっこうちらちらとしか見てなかったんですけど。いやしかし……どんな試合かと(笑)。

 竜はチェンと吉見でとんとんと土俵際まで押し込みましたが、昨日は山井で落としちゃいました(最後に打たれたのは岩瀬だったわけですが)。ほんとは3連続シャットアウト、見てみたかったのでやってもらいたかったですが(笑)そんなに簡単ではなかった。さすがに。
 で、4人目は誰だ? と思ったら昌さんでした。どこまで持つのかなぁと経過だけ見ていたのですが、やはり先制したこともあったのか早めに替えてきてました。河原は昨日今日と、結果的にいい仕事をしてますねー。

 が、終盤の定番リレーに入ったはいいけど、聡文が出鼻をくじかれて1点差に詰め寄られ、しかし浅尾がそのあとの4・5番を凌いで、さあ9回までになんとかもう1点! ってとこで山口から作った2死1・2塁のチャンス。この場面で1本つなぐあたりが、英智の英智らしいところって感じがしました。
 さらに、続く井端には山口がカウントを悪くして、歩かされ気味の満塁。ネクストは谷繁。このときには、ファウルでかわしてさえいれば四球を待てるんじゃないかという雰囲気が、山口の投球にはあったような気がします。2ボールナッシングから谷繁の読みを外したコースで2-2に戻したまではよかったけど、でも次の1球をしっかり見極められたところで、山口がカウント以上に(実際2死満塁でフルカウントなんでこれ以上はないんだけど)精神的に追い込まれてしまったんじゃないかと。

 というわけで、個人的には谷繁の「粘り勝ち」みたいな印象を受けた押し出し四球でダメ押し、とどめを刺されたかに思われた読売でありましたが……昨日といい今日といい、ちょっとちょっとちょっとー!! という話になるのはここからでありました(笑)。

 第2戦に続いて、イニングまたぎで浅尾が9回続投。昨日が昨日でもあるし、今年はこのへん、ダブルストッパー体制とまではいかないまでも、だいぶ柔軟に使い分けるようになってきたと思われる竜ベンチです。
 だがしかしその浅尾が、まあ、なんというか……やらかしてしまいました。打たれた球を見てると、全然谷繁が構えたところにいってない(笑)し、高い。でもね、やっぱり和田さんの守備はいかがなものかと思います(笑)。まともにやってても由伸のホームインを止められたかどうかはわからない打球ではあったけど、それを抜きにしてもあの処理はないなぁ~。レオ時代もよく思ったけど、再確認してしまった(笑)
 1死3塁になった時点でギャンブルスタートがかかったので、竜も超前進守備になってました。けど、打球がその守備を押し込み気味に飛んだので、その分井端は本塁に投げる体勢がとれなかった感じですかね。どっちにしても本塁は間に合ってないような気はしましたけど。ランナー鈴木だし。

 そんなわけで、竜は土壇場で自慢の鉄壁リリーフ2枚を攻められて追いつかれてしまったわけですが、同点は同点。昨日と違います。
 ここでマウンドは久保。そうか越智じゃないんだな。
 1死から浅尾の代打・中田(ブーちゃんと言うらしい……確かに見た目そのままブーちゃんだった。)が四球を選び、森野に回ります。「森野ー! 今日ことごとくタコやないかー! そろそろなんとかしろー!」とか、TVの向こうから野次を飛ばしつつ(笑)見ていると、こちらも選んでついに本日初出塁。スコアリングポジションに走者を置いて、本日3-0+1四球の和田さん。

 で、私はここで何を思ったか一瞬チャンネル替えちゃったんですよねー。いや、確か、守備陣がマウンドに集まり始めたんじゃなかったかな……それでちょっと浮気しちゃったような……まあお約束みたいな話なんですが、おかげさまで和田さんのサヨナラヒットを見逃す羽目に。和田さん初球から打ちに行っちゃって、チャンネル戻したら紙テープがドーム中を舞ってるんだもの~(笑)
 地上波で見てたので、後ろが押しまくってるからフジは無理やり22時で放送切っちゃうし、エンディングですらリプレイ流してくんないし(笑)仕方ないからスポーツニュースがいちばん早いNHKを待って、やっと和田さんの本日初ヒット=やっと終わったよCSな1打を拝見しましたが……これまた打球はレフトだったんですな。1歩前に出てきたラミレスの頭を越えていく打球を見て、「お互い4番レフトがねぇ……(笑)」みたいな感じでちょっとおかしかったです。傍観者だから言えることですけど。

 ただ、立浪だったか石川かつおだったか解説の豊さんだったか、勝負の分かれ目は「投手が逃げたか逃げなかったか」だという言葉がありました。誰が言ったのか忘れてしまいましたけど。
 終わってみると確かに数字がそれを物語っていて、今日の試合全体では読売の与四球9に対し、竜は0。結局、聡文も浅尾も打たれはしたけれども、怖がってはいなかったんだろうと思うのです。対照的に、山口も久保も、悪い球ばかりではなかったけど結果的には自滅と言われても仕方のない点の取られ方をしてしまった。結果論ではありますが、でもやっぱり「歩かせるぐらいなら打たれた方がずっといい」というのは本当の話だなぁと、改めて思いました。

 その上、何かあっても同点で踏み止まってさえいれば岩瀬がいる、自分が打たれてもまだ投げられる人がいる、というのも浅尾(と聡文)にとっては大きいような気がします。2戦めのあと「浅尾に経験させるんだったら、こういうでかい舞台の方がいいだろう。後ろに絶対的な抑えがいるんだから」と監督が言ったのが頭にあったので、最悪ここでこの試合を落としてもまだ2つ余裕があるから「浅尾の経験として」くらいにしか受け止めないんじゃないか、とまで思ってしまったくらい(笑)。
 本当は、マリさんのようなこともあるし、昨日今日は読売も特に攻撃面では対応しだしてきていたから、明日以降に引っ張ると何が起きるかわからない状況では当然あったと思います。なるべく早いうちに決めてしまう方がいいに決まってるんで、そんなこと言ってられるわけないんですけどね。でもなんかそんな妄想を抱きたくなるくらい、ベンチにいる監督が無表情なんで。(笑)

 まあ私は竜ファンでもましてや読売ファンでもないですが、竜の(というより、監督の)「徹底してる」感じの野球はけっこう好き。「守り勝つ」という言葉が上っ面でなく、びりびりするような緊張感をもって伝わってくる雰囲気がある気がするんです。私自身が防御率の低い野球が好きだというのもあるんでしょうけど(牛はあらゆる意味で例外。何故か自分でも未だによくわからない)、そういうのがなんとなくツボにはまっています。
 なので、日本シリーズは正直、どちらにも勝たせたいところなのですが(笑)そういう意味では近年稀に見る、個人的に興味のあるシリーズになるかもしれない……のに、CS終わった早々、1・2戦(と、5戦目以降も??)地上波では放送がないとかいう話で、ありえね――!!!! と大声出しそうになりました。CATVで見ないといけないとなると、TVが空いてない可能性が高いんだよなー……(泣)。

 そういや余談ではありますが、フジはあまりにも慌てて中継を締めたからなのか、放送終了直前に出たリザルトのランニングスコアで勝利投手=河原、敗戦投手=グライシンガーになってて、一瞬「……そうだっけ?」って(笑)。
 そりゃ確かに、9回が始まるまではそうなるはずだったけどさー! 差し替え忘れてますよー! などと突っ込んだのは、私だけではないと思います。(笑)

「キャッチャーという人生」(著:赤坂 英一)

2010-10-22 23:21:49 | 【書物】1点集中型
 これもけっこう待ちました(笑)。
 帯曰く「野村と古田の陰に隠れた6人の名捕手たち」。著者が読売中心に追っている方というイメージがあったので、軸が村田真一なのは予想通りです(ちなみに以前、同氏が川相昌弘を追った「バントの神様」を読もうかなと思ったことがあるんだけど結局読んでない)。

 ただ、山倉以降阿部以前(いや山倉も入るかなぁ)は、読売の捕手は弱点と言われ続けていて、風当たりも強かったのではないかと思いますが、その中で生きてきたチュウさんの姿と、もう1本の軸として山中潔の物語がある感じ。2人の選手には、捕手としての生き方、考え方がどこか通底しているように見えました。
 ともすればキャラクター面と、バッターとしての別の意味での面白さ(笑)がクローズアップされがちな達ちゃんも、いろんな辛酸を嘗めながら成長してきたんだなぁと、当たり前のことなんだけど再確認しました。と言っても、下積み時代(と言っていいのかな)の達ちゃんのことはほとんど知らなかったわけですが。でも、男性社会の同僚同士の争いって、けっこうえげつないときがあるよね、実際。

 みんな個性的ではあるけど、「持って生まれたもの」という意味で、谷繁が強烈な異彩を放っているのが面白かったです。実は「ひらがなしか書けない」(@ササ願)のは本当なんじゃないのか? と思うくらいに。(笑)
 まあそれは冗談(冗談か?)として、真面目な話、よく考えたらいまどき高卒1年目からシーズンの半分以上出場している捕手なんていない。20年前だってそうそういなかったはず。現に、野村克也でさえ「3年目からやった」わけだし。捕手というポジションを、「センスだけ」で「それなりに」やれてたというのは、空恐ろしい話ではあります。
 そんな選手が危機感を覚え、「考えること」を知り、「ひとつ上」を目指したときに出来上がったのが、いまや現役では比肩する者のない存在。怖いですね。マジで(笑)←じゃあなんで笑うの

 そして、里崎のこれでもかという我田引水っぷり(いい意味で)も異彩ではあります。スーパーポジティブ。ふだん見ている里崎らしさはこういうところから来るんだなと、改めて納得した次第です。
 でも里も決してプロになったときからそうだったわけではなくて、当時、自分の能力値と置かれた位置を見極めた上で、基礎から練り直すことを怠らなかった。そしてその積み重ねが徐々にプレイに現れてきたことを自覚することで、自信になった。そうして初めて、もともと里が持っていた性格がリードにもバッティングにも活きて来たんじゃないかと思います。さらに、その手引きが山中潔によるものであるというところがまた、この本の心憎いところ。(笑)

 まだセCSが終わっていないので今言うのもなんなんだけど(笑)、そんな谷繁と里崎がシリーズで対峙することを考えたら、かーなーり面白そうな感じがするでしょ。
 それと興味深かったのは、捕手としての「ゾーン」が生じる条件として優勝争いをすることが必要である、という点。達ちゃんの「チームが弱くてもキャッチャーだけよくなるということはあり得ん」というのが正鵠を射ていて、ゾーンに入るにはそれだけ状況が高いレベルになければいけないわけで、そうなると試合を常に高いレベルでコントロールすることこそが必要条件になる。「なるほどな」という感じでしたね。

 というわけで、期待通りに面白く読ませていただきました。文庫におりたら(笑)多分買います。

「動物農場」(著:ジョージ・オーウェル/訳:高畠 文夫)

2010-10-20 22:45:47 | 【書物】1点集中型

 週末の職場でたまたま読書の話になって、「一九八四年」の話になりました。そしたら「一九八四年」と「動物農場」とを昔から愛読している友人が貸してくれました。友人の説明を聞くまで知らなかったのですが、「一九八四年」につながると言ってもいい物語です。が、「寓話」という形を取っていることもあり、切り離して読んでも全然問題ないです。
 私自身、近代世界史について恥ずかしいくらい不勉強なので、どちらかといえば「一九八四年」をわかりやすくした物語という印象を受けました。解説以降がけっこう長いけど、先に読んでおくと、オーウェルの意図が少しは汲み取りやすくなると思います(という点は「一九八四年」も同様でしたが)。

 主人である人間を農場から追い出してしまい、やがて農場を経営しほかの動物たちを「指導」する立場になった豚。それまであった決めごとが、知らない間に少しずつ変わっていることに漠然と不審を抱きつつも、「人間たちが戻ってくる」という恐怖の前に、「そうだったかもしれない」と記憶を自ら塗り替えていく、労働者階級である豚以外の動物たち。
 それはあくまでも「自発的」な行為に見え、だからこそ危険を孕んでいる。「考えない」ことを(それとは知らず)強制される労働者が、そのことに疑問を持たなくなったとき迎える未来と、指導者という名の独裁者が現実をねじ曲げた先に行き着く「二本脚はもっとよい」。そして、動物たちに豚と人間の見分けがつかなくなるというラストシーン。寓話という形に潜む奇妙なリアリティが、うそ寒さを感じさせます。改めて近代世界の関係図を紐解きたくなる1冊でした。ついでに「一九八四年」も再読したくなりました。

 表題作のほか3つの短編が収録されていますが、身につまされるという感じで「象を撃つ」が印象に残りました。集団心理、支配者が被支配者から感じる圧迫。「世にも奇妙な物語」にありそうな雰囲気ですね。


Miracle Marines! ほんとにやっちゃったよ~

2010-10-19 23:59:26 | 【野球】ペナント日誌 2010
 パCS終わりました。
 もう何をかいわんや。です。
 おめでとう! マリーンズ!

 序盤は大方の予想通りと思われる見事な両先発でしたが、意外にも杉内が一気にいきましたねえ……。映像見る限り、サブローへの際どい四球=2度目の押し出しはでかかった気がします。
 振り返って思えば、鷹は打線が繋がらないながらもなんとか投手陣が我慢してきたけど、最後に切れてしまったようにも思えます。昨日の流れを変えられなかった感じ。
 まぁ和田が出てきたこと以外、型通りと言えば型通りだと思うので、それ以外の手を打てない状態だったのが、マリさんというか西村さんとの違いだったのかなぁ。鷹だけでなくレオも、もっと言えば虎の負け方もそんなイメージ。
 結局鷹は、いやレオも鷹も、自分たちの野球ができなかった。鷹のこの短期決戦の苦手っぷりはしかし、ちょっとすごいぞ……。

 何はともあれ、成瀬は2度の中4日で完投と無四球完封。素晴らしいの一言です。なんにも言うことありません。
 その成瀬と西岡が試合後に口を揃えた「(自分たちには)失うものは何もなかった」という言葉がすべてを象徴しているように思えます。ここぞの集中力が目に見えるような、ワンチャンスに食らいつく姿がまさに神がかり的でしたね。ウイニングボールをグラブにおさめるや踞った西岡、祝勝会では「泣いてない」と言い張ってましたが(笑)去年から色々あったけど、今年はよく頑張ったです。←あんたそんな見てないんじゃ……

 終わったばかりであんまりまとまりませんが、とにかく秋はマリーンズの季節だね。ってことで(笑)
 そして果たして今年も幕張に霧が立ち込めるのか? 乞うご期待。

「簡単には負けません」 by 俊ちゃん

2010-10-18 23:39:21 | 【野球】ペナント日誌 2010
 第2戦を和田に持っていかれ、第3戦をスミ1でやられた日にはどうしようかと思いましたけど。打てないのはお互い様だがそれにしても~、って。
 でもまず昨日の第4戦で俊介がやってくれまして、見られなかったんだけども随分と見事な牽制で本多を刺したとか。最後こそ追い上げられましたが、2点取られたって勝ちゃいいんですよって話なのでね、今は。いやほんとに、シーズン後半棒に振った甲斐があったというものです。

 で本日、それでもまだマリさん的には後のない第5戦。が、先発が大嶺だと言うので「ううむ……どうなのか?」とまたまた勝手なイメージで勝手に不安がっていたんですが。なんか今年あんまりいい印象がなかったので……。
 でも、大隣も私の中ではそんなに、手も足も出ないというイメージはなかったんで、お互い様で何とかならないかなーと思ってたのも事実です。が、結局大嶺は初回から歩かせた上に先制されてたし(笑)、どうするんだ西村さん。と思ったら、3回のマウンドには既に大嶺はいなかったらしいという話。まるでマーフィーのあとに投げた俊介の如く、そのマウンドを晋吾が引き継いでいたらしいです。

 その晋吾のナイスフィールディングなどもあり、晋吾から内(またしても!)のリレーで加点を許さず、またまた1-0の膠着状態。ふと先発メンバーの打率をなぞると軒並み1割やら2割台前半だということに改めて気づき、ちょっと眩暈が(笑)。
 なので、このまんま終わったらどうすんだといい加減少し心配になってきてたところで、結局大隣を打ち崩せないまま鷹がファルケンボーグにスイッチ、必殺継投開始。

 ううっこれでますます厳しくなってきたんじゃないの? と、正直ちょっと弱気になってました。が、ちょっと目を離した隙に3点入って逆転してるではないですか!! しかも何ですか、ファルケンボーグだけでなく繋いだ攝津をも打ってるじゃないですか! なんだよ突然!!
 そしてその裏を内がしっかり抑えたので、「いける!!」と一瞬舞い上がりかけたのですが、内の次が伊藤。伊藤? 伊藤ってなんかあんまり安定感ない印象が……とまたしてもものすごい希薄なイメージしかないのに心中呟いていたら、なんか1点返されてるしー!(汗)しかも無死2塁で中軸だしー!!
 そんな感じですっかり頭を抱えましたが、却って送りがなくって幸いしたのかもしれません。いや1発逆転の怖さは3人ともあったわけだけど。でも、なんとかかんとか1点で踏み止まった伊藤。危ない危ない。

 残すはあと1イニングだけども、差は僅かに1点。今の宏之ならやってはくれるだろうけど点は多いに越したことはないのでなんとかして~と思うそばからあっさり2死。が、全く当たってなかった西岡にようやっと今日1本目が出ると、なんと清田がレフトスタンドへ叩き込んでしまい、突き放しの2点追加です。おいおい。森福まで打っちゃったよ!
 そして最後は宏之が、今日は危なげなく3人で締めてゲームセット。

 というわけで、ついに来ましたよ最終戦!
 泣いても笑っても、どっちにとっても最後の試合。今日のマリさんは、明日に向けて心強い要素がちらほら見えてきたので、ちょっと勇気が出てきたかも。
 予告先発は杉内vs成瀬、お互い中4日で初戦の再現。もう何が起こるかわからない。きつい試合だと思うけれども、せっかくここまでいい闘いを見せてくれているので、最後もいい闘いで締めていただきたいものです。多分見れないけどー(泣)。

「不思議な少年44号」(著:マーク・トウェイン/訳:大久保 博)

2010-10-18 22:41:18 | 【書物】1点集中型
 ある寒い日、主人公アウグストたちが暮らし働くオーストリアのローゼンフェルト城に現れた、「44号」という奇妙な名前以外に記憶のない少年。彼が現れてから去っていくまでの、さまざまな事件を描いた物語です。
 過去も未来も宇宙も自由自在に行き来することのできる存在であり、ある時は魔法使いに姿を変えることもある44号に始まり、職場に反乱を起こすアウグスト(と同僚たち)の「複製」、アウグストの「起きている自分」と「夢の中の自分」の、二重人格のようでありつつお互いを個として認識できる別々の存在でもある関係などなど、ちょっと筒井康隆の世界を思わせるような(個人的な印象ですが)、異次元のような世界を感じました。現実の裏側にある、なんでもありのパラレルワールド。

「なにひとつ実在しないのだ、ただあるものは中身のない空間だけさ――それと、きみだけさ!」
(「不思議な少年44号」 第34章より)

 44号が主人公アウグストに残した言葉は、「ディアスポラ」(現在併読中)の精神種子であったり、「2001年宇宙の旅」のスター・チャイルドであったりを彷彿とさせました。
 人はかりそめの身体にその「考え」を潜ませて、その肉体が朽ちればさまよい出て、永遠に宇宙を漂い続けるのでしょうか。ファンタジーのようなSFのような、不思議で不可解な物語です。ただ最後にはなんとなく納得したような気になるのは何故でしょう。