life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

喜んでいいのかな? じみー。

2010-11-26 23:21:33 | 【野球】大阪近鉄バファローズ
 東京行ってる間に、たまたま「Get Sports」でトライアウト前後のじみー(大西)を追っていたということなので、ずいぶん夜中なのに見てしまいました。
 まあ内容としては、大西をそれなりに見てきている(オリ時代は見てないけど)こちらにとっては、そんなに目新しい話はなかったんですけどね。貴久さんへの想いは、今さらクローズアップされなくても充分すぎるほどわかっているし。なのでどちらかというと、知らない人にももう少し、どんなプレイをする選手なのかを知ってもらえるつくりにしてくれたら嬉しかったかなーと思いました。って、企画趣旨からは外れちゃうのかもしれないけど(笑)。

 それはさておき。
 トライアウトの結果はよかったんだよね。結果は。でも当時、同じくトライアウトを受けてまずまずの結果だった幸一さんが「結果を見られているわけではないから」というようなことを言っていたのをスポ紙で見て、「そうだよなー。この1回打っただけで声がかかるようなら苦労しないよね……」とかも思っていました。それでなくても外野手ってけっこう、内野に比べたらどこも余り気味だし……どちらかといえば守備で売ってる方だし……右打者だし……と、応援しなきゃいけないはずのこちらがちょっと下向いちゃったりして。
 実際、じみーが「次はない」と全部をぶつけた第1次トライアウトからは、連絡期限とされている1週間のうちには何の動きもありませんでした。いろいろ思うこともあったようだし、「このまま何も起こらなければ、どうするか」までも考えざるを得ない状況になっていたようでした。

 で、こっちももう半ば以上達観(……いや諦観……ううむ)し始めたこのときに……
 なんと鷹が育成で契約するかもしれないという話が浮上の模様!!
 まだじみーは野球をやめなくてすむかもしれない。仕事があるかもしれない!

 実際、鷹の右の外野といえば多村がいるし、もしかすると内川も入ってきてしまうかもしれない。そういう意味では、個人的にはまさかの鷹でした。ノーマーク。燕あたりが獲ってくれたらな~と思ってたけど、濱中を獲った時点でそれはなくなっちゃったし。
 そもそも支配下登録を勝ち取るところからはじめなければいけない大西にとっては、ものすごく険しい道にはなると思います。でも、首が繋がるんだったら、可能性はゼロではない。一刻も早く契約を成立させて、そのあとは1日も早く2桁以下の背番号がもらえるようになってほしいと思います。

 ただ、ニッカンの報道がまだなので(笑)個人的にはまだ半信半疑だったりします。本人もまだblogでは何も言ってないし。正式に契約までこぎつけたらすぐ書くだろうと思うので、それ待ちです。早くすっきり「おめでとう」言いたいのに、やきもきする……(笑)

 そしてFAだった藤井は結局、虎から話が来た段階ではなっから決めていたんですね。
 どういう虎の状況で声がかかったかはよくわかっているだろうし、城島との差は歴然としているけど、それでも敢えて城島の名を出して挑む言葉が出てきたのだから、だったらもう何も言うことはありません。せっかく家族のいる大阪へ戻れるんだし、1試合でも多く出られるようにがんばってほしい。藤井自身が挫けない限り、背番号が変わっても(笑)応援するよ。坂やあべけんと一緒に活躍してくれるといいな。

「オリガ・モリソヴナの反語法」(著:米原 万里)

2010-11-23 23:28:51 | 【書物】1点集中型
 ソビエト時代のラーゲリについては、シベリア抑留経験者を描いた辺見じゅん氏のノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」で少し知っていたけど、女性が入っていたラーゲリの状況はこの本で初めて知りました。

 主人公の志摩が親友カーチャとともに辿っていく謎のひとつひとつから、多くの無辜の人々がラーゲリに送られたスターリン時代に、彼女たちの近くにいた人々が実はどういう経験をしてきたのかが明らかになっていきます。
 プラハのソビエト学校へ通っていた当時、志摩たちが愛してやまなかった舞踊の先生「オリガ・モリソヴナ」を翻弄した数奇な運命。エレオノーラ・ミハイロヴナの、そしてジーナの悲劇、レオニードの哀しみ。ただそれでも人々は生き続けていくいうこと。オリガ・モリソヴナの生き方には、カルメンの踊りのようなイメージが湧きました。生きることへの情熱。先に逝ってしまった妹のためにも生き抜いてみせるという気概。
 名もない人々の芯の強さを、ロシアの寒空の下に、一種の爽快感すら漂わせながら描ききったという感じがあります。なんといっても、大詰めになってのミハイロフスキーとエレオノーラのあのどんでん返しは、効いたなぁ。

 強いて言えば、同氏の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」と話し言葉が近いので、どーしても米原氏の自伝のような錯覚に陥った点が気になりましたが(笑)、それを差っ引いても読み応えのある物語でした。やはりこの手のものを読むと、時代背景をもっと知りたくなりますね。参考文献、和訳されてるものだけでも60以上はありますからねー。

だらだら美術館めぐり

2010-11-21 23:59:09 | 【旅】ぼちぼち放浪
 応挙をやってると知り、そういや応挙って見た記憶がないなあと思い、初めて三井記念美術館に行ってきました。
 方向音痴には自信があるので、初めての場所にはいつもかなりドキドキしながら向かうのですが、三越前の駅を出てすぐだったので道に迷わずに済みました。駅出口正面の案内板のおかげって話ですが(笑)
 美術館の施設自体もやはり味がありました。近代レトロな感じ。
 展示点数はそんなに多くないので(襖絵とかセットものが多かったのもあるんだけど)、若干割高な気がするのは否めないところでしたが。(笑)
 ほとんどが水墨でしたが、印象としては南画っぽいのが多かったかな。どちらかというと、素朴な味わいのある作品が多いと思いました。南画っぽいからか? あの無骨な感じの輪郭線とかね、素朴な印象を受けるのですよね。
 最後の襖絵2連発はやはり迫力ありました。雪松図屏風、いいなぁ。色で輪郭を描く感じが好き。あとは竹雀図小襖ですね。雀がとにかく可愛い♪

 そのあとは、明治神宮で500円で大観が見られるというので行ってきました。目録も何もなかったし、展示室1つだけだったけど(笑)「生々流転」の習作とか、夏の雷を描いた「夜」とか……個人的にいちばん好きなのは、三日月がかかった夜の竹林に梟かみみずくか(←好きなのにうろ覚え)が浮かび上がって見える作品です(←好きなのにタイトル忘れたorz)。かわいいんだ、鳥が……

 そんな感じで、それほど大きくない展覧会ですが2つ回ってみました。明治神宮にはお詣りしなかったけど。(笑)

 そして晩飯は2年ぶり? 3年ぶり? のもつ鍋@国分寺♪ 個人的には醤油味の方が好きです。たらふくいただいて、麺で〆。
 一応、レストルームの諸々もチェックしてきました(笑)ってまあ特に変化があるわけではなかったんですがね。でもなんだかあれらをぐるっと眺めてみると落ち着くというかなんというか。(笑)
 とりあえず店長も変わらずお元気そうで何よりでした。こないだの「散歩の達人」と「Number Web」のインタビュー、面白かったっす(笑)。しばらく行けてなかった(つーか行けても年に1回なんだけど~)ところにあれを見て、かなり行きたくなっちゃったんだよね。行ったらやっぱりうまかったし、また行きまーす。

 友人からお土産にいただいた寒川神社のくるみ餅(串だんご様式)もうまかったです。宿でデザートととしていただきました♪
 で、明日は今回の旅の最大の目的、ゴッホ@六本木です。早起きしなきゃ~。

またまた江ノ電ぶらり

2010-11-20 23:59:49 | 【旅】ぼちぼち放浪
 遅い飛行機だったので、藤沢に着いたのは2時半すぎくらいだったと思いますが、短い時間ながら江ノ電に乗りました。
 とは言うものの、晩飯以外は全然何も計画してなかったので(時間もたいしてないのが最初からわかってたから)、どうしよっか?とか言いながらなんとなく江ノ島で降りて、なんとなく江ノ島に渡り、なんとなく結局一周してきちゃいました。久しぶりに裏っ側(っていうのか? 洞窟かなんかがある、崖下の方)まで歩いたので階段昇降がなかなか効きました、太腿に(笑)。
 釣りをしてる人たちもけっこういました。雲の隙間から見えた沈む直前の夕陽が、その僅かな隙間とその周辺だけを真っ赤に染めた数分間。なんとなく眺めてしまいました。そこ以外の、太陽光を反射してる雲の周りとかは赤じゃなくて黄色(金色)なのが不思議。
 で、そんなことやってると視界にしばらく焼き付きが残る。目を悪くしそうに。(笑)

 晩飯は由比ヶ浜の「豊龍(フェンロン)」でこれまた久しぶりに中華を。駅の出口すぐ左にある小さなお店ですが、6時前にはもう予約席がいっぱい。こちらは飛び込みだったのですが、運良くその時点で1つだけ空いてたテーブルにつかせてもらいました。
 ジャスミン茶はサービスで飲み放題。下戸にはありがたい!

 ザーサイはあっさり、春巻の皮はぱりぱりで熱々。お店のみなさんもとても親切で、麻婆豆腐で鼻水すすってたらティッシュ出してくれるし(笑)、近い味のメニューを頼んでしまったらアドバイスしてくれるし。
 個人的に特にヒットだったのは芝海老の蒸し焼きです。絶妙に好みの味で、殻ごと食べきれました。付け合わせに、味のしみた青葱たっぷりなのも嬉しい。ごはんが欲しくなる! あとは白菜の蟹あんかけ。皿ではなく、小さな中華鍋様の器にスープのごとくたっぷりよそってあります。ほぐした蟹身もたっぷりで美味!
 どれもおいしかったし、〆の杏仁豆腐ももちもちでいい感じでした。リピート間違いなしです。オリジナルの、干し海老入り&しらす入りラー油もお土産にしてしまいました。かなりたっぷり具が入ってるので食べるのが楽しみ♪

「わたしの旅に何をする。」(著:宮田 珠己)

2010-11-16 21:03:33 | 【書物】1点集中型
 タイトル通り、著者の旅にまつわるエッセイ。解説にある通り、電車の中で読むときは注意しなければいけません。何度、帰りの地下鉄で吹き出しそうになったことか……っていうかエッセイっておしなべてそうなんですよね。だから移動中用に持ち歩く本にエッセイを選んで読み進めるたびに、読む本を選び間違ったような気になってしまいます(笑)。エッセイ書く人って本当にすごい。

 あとがきの「いつも何かに巻き込まれて思い通りにいかないその納得いかなさ」とは全くよく言ったもので、旅の思い出とはまさに、カルチャーショックでできているのだなぁと思います。旅を本当に楽しんでいる人ほどきっとそうなんだろうなぁ。シャレにならない苦労ももちろんあるけれども、それをすら他人が読んだときに面白おかしく感じるように語れてしまう。そのこと自体が、旅で経験したものごとを自分の血肉にしているということなんじゃないでしょうか。
 個人的に特にお勧めしたいエピソードは「ちょっとずそずわしますが」。これはもはや涙なしには読めません。地下鉄で笑いをこらえすぎて腹痛かったです。半分吹いてたし(笑)。タイトルだけでは意味が全然わからないという人。当たり前です。なので気になる人はとにかく読みましょう。読めばわかります。当たり前だけど。

 そして宮田氏、もといタマキング(尊称)の言葉の使い方、文章の組み立て方のセンスにも脱帽します。さらっと読んだ行も一見、意味の通った文に見えて主語と述語が真逆のこと言ってたりで(笑)たとえて言うなら、まますれ違いざまにさらっと目に入った何かが、普通だと思ったんだけどほんとはものすごくおかしかったことに、すれ違った一瞬あとに気づいて、思わず振り返ってしまうような。「二度見」しちゃうような。(笑)
 そんなわけで、日常の理不尽に憤りを覚えたときにこの本を読めば、タマキングの旅の「納得いかなさ」につい感情移入したりこみ上げる笑いをこらえたりに必死になるあまり、自分のもともとの怒りをあっさり忘れられること請け合いであります。

 しかしなんというか、こういう本を読むたびに、自分がしている旅行なんて旅とは言えない! と痛切に感じるんですよねえ。
 以下本文中、タマキングがエベレスト街道のトレッキング中に出会った中国系イギリス人のリックさんの言葉。

「ツーリストはただエージェントにお膳立てしてもらって旅行してる奴のことだ。トラベラーは違う。自分の力で道を切り開くんだ。だから俺はトラベラーなのさ」
(第1部 有給の旅人「トラベラー来たる」より)

 「しばらく洗ってない髪が変ちくりんにカールして、タマネギのようになってい」ても、それって真理だよねぇ。その一歩をいつか私は踏み出せるだろうか。

「ユージニア」(著:恩田 陸)

2010-11-12 23:59:37 | 【書物】1点集中型
 恩田作品初めて読みました。名前は知っててもどんな系統の作品があるのか全然把握してなかったのですが、とりあえず「ミステリー」ってところから入ってみました。

 とある町で起きた、町の名家の大量毒殺事件。その家で生き残ったのは視力を失った娘だけ。犯人とされた人物はほどなく遺書を残して自殺。ただその事件の関係者とされる人々の誰もが本当は、その結末に納得していなかった――そんな事件の関係者の証言のようなモノローグや記録などがつらつらと並べられ、なんとなく事件の輪郭とそこにいる人々の姿だけは、読んでいてなんとなくつかめるようになります。
 でも「事件」も、人々が語るそれぞれの「今」もまるで、それぞれ切り取られた一瞬のような存在で、時の流れを感じさせないストーリー。読みながら断片を繋ぎ合わせて、頭の中で事件を再構築する作業をしてました。

 本当は、本当に奇跡的にいくつもの偶然が重なっただけなのかもしれない。だけどたとえ万が一そんな偶然が起こりうるものだったとしても、それぞれの心のどこかにあったそれぞれの感情がひとつの形に結実したのが、事件だったのではないでしょうか。
 毒を入れた者が犯人か、入れさせた者が犯人か、見て見ぬふりをした者が犯人か。「真実」は当事者各々が自分の胸に澱のように抱いたままで、結局、欲したものを手に入れた者はいない。花はどこまでも白く、部屋はどこまでも青い。最後まで明らかにならなかった「事実」が読む側の中にもやもやと残りますが、その余韻を感じることは、とりもなおさず読む側が物語の中に引き入れられ、物語の中の人々と同じように出口に迷ってしまったということに他ならないのかもしれません。

「死刑の基準 『永山裁判』が遺したもの」(著:堀川 惠子)

2010-11-08 22:21:11 | 【書物】1点集中型
 ETV特集「死刑囚永山則夫 獄中28年間の対話」という番組を手がけた著者の手になる、同じく永山死刑囚の裁判と、その結果生まれたいわゆる「死刑適用の基準」とされる、「永山基準」をテーマにした本です。

 個人的には未だに、市井の人間が被告人の量刑などの決定に関わる裁判員制度には納得できない点があります。だったらなんのための裁判官なのかな、と思う点もあるので……いやもちろん素人が裁判するわけにいかないから、いるんだけど。判決が一般国民の感覚からずれているとか、それはひどいよと思うような判決や量刑はあるけど、裁判は感情だけで行うものでは絶対にないし、積み重なった判例は確かに「基準」ではあるわけだし。
 ただ、否が応でも向き合わなければならない立場に立つことがあるのだとしたら、知っておくべきことは確かにあるとは思うのです。正直に言うと、私自身は少なくとも死刑廃止論者ではないので。

 4人を殺害し、「連続射殺魔」と言われた永山の生い立ち――貧困に加え、兄たちからも虐げられ、母親には置き去りにされ、「帰る場所」をなくし――は私などの想像を絶するものだし、どこかに歪みが出ても仕方がないだろうと思うところもあります。
 ただそんな境遇に置かれた人が皆、永山のような罪を犯すことになるかといえば、必ずしもそうではないこともまた、事実です。それでも、だからと言って誰でも乗り越えられるものなのかといえば、それも必ずしもそうではない。

「貧乏は人の社会的感情を殺し、人と人との間における一切の関係を破壊し去る。すべての人々によりて捨てられた人は、かかる境遇に彼を置き去りにせし人々に対しもはやなんらの感情も持ちえぬものである。」
(本文中 「犯罪と経済状態」ウィリアム・ボンガー著 より)

 永山はこの言葉を英語のまま法廷で叫んだそうです。最も身近な家族でさえ誰も助けてはくれない、社会からも拒絶される。それは貧しさのせい、貧しさを産む社会のせい。そんな考えを一瞬でも自分が持ったことがないかと言えば、ないとは絶対に言い切れない。少なくとも私自身は、省みてそう思いました。

 初め永山は、自分の犯した罪にただ「俺が殺したんだから俺を殺せばいい」というような感じで、そっぽを向いたままでした。しかし思いがけず伴侶を得たことで、その罪を自分がどう償うべきかということと本当の意味で向き合い、永山はそこに彼自身の「生きてなすべきこと」を見つけました。しかし、控訴審の無期判決が最高裁で差し戻しになり、死刑が確定します。
 それを知った彼の、「生きたいと思わせておいてから、殺すのか……」という言葉は確かに重いです。ただその彼に殺された、生きたかったであろう人たちは帰ってこないという事実もまた、厳然としてそこにあるのです。

 その2つの事実の間で、裁く側がどういう結論を出すのか。そしてその結論は何から導かれるのか。そこに「基準」は存在するのか、人は自らに問いかけ続けるべきなのではないか。結局そこがこの本のテーマなんだと思います。
 人が人を裁くことは、確かにとてつもなく恐ろしい。けれど、人が裁かなければ、ほかに人を裁く存在はないのです。

 では、「死刑の基準」とは何か――。
 この問いを抱え、そして永山則夫という一人の死刑囚の足跡を辿ってきた私が行き着いた答えは、「人を処刑する画一的な基準はありえない」という一言に尽きる。
 (中略)それは同時に、裁く側のこころの奥底にある倫理観、死生観、そして生き様までをも厳しく問い直し、剥き出しにする作業となろう。そこに基準などありえない、と私は思う。

(第五章 「永山基準とは何か」より)

 死刑は抑止力のひとつとも言われますが、引き起こす結果を見ると応報刑としての要素が全くのゼロにはならないことも否定はできないと思います。だけど、日本の刑罰は基本的に応報刑ではなく、更正のための教育刑であると聞いたことがあります。そうすると、日本に死刑が存在することは一見矛盾するようにも見える。でも私自身は、だからと言って即、死刑を廃止すべきだとは到底思えない。
 だから、本当に死刑の適用がやむをえないことなのかを考えるのと同時に、何のために死刑が存在するのかを考えることも、やはり必要なんじゃないかと思います。

 ただ、光市母子殺人の犯人に著者が投げかけた「とにかく、あなたは、生きて償いたいのですね。」という言葉は、ちょっと性急だったのではないでしょうか。
 彼が今、自分の罪に向き合って苦しんでいるのは事実かもしれません。でも、「償いたい」という言葉は、本人が自ら口に出すまでは、声をかける側が口にするべき言葉ではないのではないかと思うのです。自分にどんなことができるかわからない、でも償わなければと思う、という言葉は、自発的に出てこないと意味がないのではないかと私は思いました。もしかしたら、ここに記されていない著者と彼の会話の中で彼の口からすでに出てきていたのかもしれないけど。

 しかしこの本、本文の内容とは全く関係ないところでひとつだけとても残念なことが。
 誤植多すぎです。orz
 最初は、裁判や法廷には全くの素人なので「ん? こういう字を使う用語なのかな?」とか思ってさらっと流してたんですが、読み進めていくうちに気づいただけでも誤字と脱字で4箇所はありましたよ。全部を読み返す時間はないのですべてを挙げることはできませんが、妻(だった)和美さんが、最高裁の差し戻し判決を永山に伝える大事な場面に誤字(多分)と脱字(これは確実)のダブルパンチってーのはあまりにも……大丈夫ですか。私が読んだのは初版第1刷なので、版を重ねるときに直ってるといいんですが。

死闘果てたり。日本S第7戦

2010-11-08 00:34:08 | 【野球】ペナント日誌 2010
 なんのかんのと4時間ゲームですか。それでも昨日よりは短かったですけど。
 とにかく終わりました……。両チームとも大変お疲れさまでした。そしてマリーンズには日本S優勝おめでとうっ!

 後がない竜のオーダーは2番に大島、7番谷繁、8番井端。そうかその手があったか。
 試合展開に関してはもはや今さら何をかいわんやです。しかし俊介があれほど名古屋のマウンドに苦労するとは思いませんでしたが、どうも肘に違和感もあったらしいとか。けど、そんな誤算もあっちゅー間になかったことになってしまった(笑)。そして最後を決めたのは西岡でも今江でもサブローでも清田でもなく、岡田。そのあたりがまさに今のマリさんの試合です。
 逆に竜は第4戦、そして昨日と決めきれなかったのを結局最後まで引きずってしまった感じがします。今日は今日で森野のアクシデントを乗り越えて奪ったリードを守り切れない。昨日今日と井端が機能していただけにもったいなかった。で、終盤には和田さんのエラーとか。「ああ……和田さんだしねー……」とか思いましたけど(笑)。でも土壇場でエラーを取り返したのはさすがでした。
 ただチーム全体としては、シリーズの流れを完全にものにできなかったことの集大成を見るような試合になっちゃいましたかね。投手に始まり投手で終わった、と言えば竜らしいけど、プラスじゃなくマイナスに作用したあたりが竜の野球ではなかった。

 まーでも今日はもう、何を措いても浅尾に負けをつけるのが気の毒で気の毒でなりません。まさか4イニング目行くとは思いませんでしたけど、浅尾が12回のマウンドに立ったのを見て、「ああ、もう浅尾と心中なんやな(泣)」と思うしかなかったですよ。連投にもかかわらず結局60球以上投げてるんですよ。先発とほぼ同じイニングと、それ以上の球数投げてるんですよ。美化しすぎたくはないんだけど、まさに壮絶に散ったというか……。
 一種、河原の乱調が呼んだトンデモ試合って感じもなくはないですが、もとはと言えば2度までも責任を果たせなかった吉見(か)です。猛省すべし!←偉そうすぎです。ごめんなさい。

 本当に8戦やることを考えていたら浅尾の4イニング目の是非は正直言って微妙ではあると思うけど、そこは追う立場の哀しさ。ホームゲームなのに余裕がない。浅尾に対する信頼度の高さばかりが浮き彫りになるという感じでしたが、それぐらい「あーもう浅尾しかいないんだな」と改めて思わされる続投ではありました。
 山井-岩瀬の完全試合リレーと同じくらい(……は言いすぎか)賛否が分かれそうな気がしますが、個人的には続投を真っ向から否定はできません。たとえ浅尾抜きで第8戦に臨むことになったとしても、竜が第8戦にたどり着くには何を捨ててもまず目の前の試合を取らなければならない。浅尾にかかった負担の絶大さが否定できないのと同様に、岩瀬(なのか他の誰かなのか)が抑えられたかどうかもわからない。結果は結果。起用の責任を負うのは監督だしね。
 敢えて言えば惜しむらくは、四球からの失点だったというところかと。でも浅尾もうほんといっぱいいっぱいなのに、相変わらず河原並みに表情ひとつ変えないで投げてたからな……岡田の打球が落ちるのを見届けた瞬間は別として。試合終了のあとも、全く表情変わりませんでしたね。何を思った、若者よ。

 でも本当に浅尾はよくやりましたよ。なんつってもバントがめっちゃ上手かった(笑)って笑うところじゃないんですけど。先発してたときの記憶が全然ないので、あの場面であんなに綺麗に決めちゃうとは思いませんでした。あのバントを見るにつけ、「昨日の野手陣のバントと言ったら……orz」って感じで(笑)。伊藤も上手だったしなー。
 立ち位置が変わらないのであれば、今後は4イニングも投げるなんてことはそうそうないと思いますが、この試合の責任投手になったことは、浅尾自身にやっぱり大きな財産になるんじゃないかなーと、月並みですが思います。WBCで打たれて強くなった球児みたいに、来年さらに強くなった浅尾を見られることを期待しています。今日もがんばった聡文もだけど。

 しかし、終わってみたらなんかもう浅尾のことしか覚えていない(笑)。やっぱり私は投手寄りみたいです、今さらですが。

 昨今のポストシーズンに関して「シーズン2位や3位が日本Sに出るのはおかしい」という意見もあるし、私も当初は(応援するしないは別にして)確かに違和感がありました。でも今は、PO導入時点でもうレギュラーシーズンとポストシーズンは全く別のイベントだと考えるのが妥当なのかなと思っています。今までの「日本一」という概念をもう捨てなければならないというか……「レギュラーシーズン優勝」と「日本S優勝」というのは繋がるようで実は繋がっていない(と言い切ると言いすぎなので、「繋がりが弱くなっている」と言うべき?)のが今の状況だと思います。
 なので、マリさんがCSで勝ったときに胴上げしたことについて一部で疑問の声も聞きましたが、個人的には別に違和感はなかったです。シーズン優勝した相手に敬意を払うことは、また別の話。CSはあくまで「シーズン3位までが出場権を得ることのできる大会」みたいなものだと思えばいいんじゃないでしょうか。もはやそのくらい別物。
 そして今の日本シリーズは、「CSを勝ち抜いた両リーグ代表が戦う試合」という位置づけになる。今となってはその勝者を「日本一」と呼ぶかどうかが争点になるくらいの話かな、と思いますが……そういや日本S優勝のペナントって何て書いてあったんだっけな。場合によってはむしろそこの文言を変えたほうがいいんじゃないか、という(笑)。

 とにかく最初から読めない読めないっつってたけど、見ている方が疲れるシリーズでした。
 マリさんサイドはやれるだけのことをやった充実感はすごいあると思うんですが、竜サイドはファン含めかなり消化不良になってるんじゃないかと。出せる力を出し切れなかった感がありありですから。お察しします。なんか2001年のシリーズを思い出してしまったぐらいで……まああの時の牛ったら今の竜に比べたら大人と子供みたいな野球だった(でもそれがあのときの牛の個性だったからねー)ので、同列に見たら怒られそうですけど(笑)。でもこれが短期決戦だよね。

なにこの試合。@名古屋 日本S第6戦

2010-11-07 00:03:37 | 【野球】ペナント日誌 2010
 見てて疲れました。結局ほぼほぼ6時間ですか。延長15回ってこんなに長かったんだっけか。っていうか何年ぶりだ? 15回まで試合見たの。
 球場にいたお客さんたちもさぞかし疲れたことと思います。一気に脱力して、一気に疲れが出ますよね、ああいう試合。

 初回はお互いそつのない攻撃で、でも両エース(現状、竜のエースが吉見なのかチェンなのかは、外野としては判断に迷うところですが)が初回からこれってどうなるの? って感じはあったんだけどそこはそれ、両者さすがに見事に立て直しました。チェン、大事なところでしっかり気合入れて投げてたし、立派に成瀬と渡り合いましたよ、多少分が悪いとか思っててすんませんでした。(笑)
 だがしかし、必勝を期したはずの浅尾投入が裏目に出てしまった竜。欲しいときに打った「4番」サブロー。それでも一気にマリさんの押せ押せとはならなくて、浅尾はなんとか責任とって9回も投げ切ったし、繋いだ聡文がよく凌ぎましたけど……って最後はボール荒れまくっててバテバテにも見えましたけどね。けどあのぴょんぴょん跳ねる感じの元気な投球は嫌いじゃないです。それと浅尾のcool beautyっぷり(笑)も、岩瀬に通じる感じがあっていいです。今日は結果を残せませんでしたが。

 話が逸れましたが、とにかく両チームとも投手は再三再四走者を出しながらも本当によくやったと思うのですよ。思うんだけど……とにかく、9回以降の竜の攻撃があまりにもグダグダすぎたので、これは私を痺れさせてくれるときの竜の野球ではない!(いや、と言っても別に竜ファンではないんですけど。)という、ほとんど憤りに近いイライラ感を募らせる一方でございました(笑)。
 とはいえ、グダグダだったのは竜だけじゃなくてマリさんもそうだったんだけど。なんだか見ていて、竜のグダグダぶりがマリさんにも伝染したんじゃないのかと思うくらいで(笑)。結局、バント失敗だけでいくつあったんだっけ? 9回の小池に始まり、西岡、荒木(!)、サブロー、岩崎。両チーム合わせて5つ。って多すぎだから!! おまけに走塁ミス(細谷)だの暴投(薮田)だの悪送球(井口)だのって……

 バント失敗に関してはいちばんきつかったのは荒木ですかね。小池や岩崎も「せっかく使ってもらったのに……」ってのがあるけど、でも荒木が失敗しちゃダメでしょ。荒木が失敗してるようでは、絶対に流れは竜には行かない。結果、竜はなんぼほど相手のエラーもらってるの? これでこの試合を勝てないようでは、どもならんのではないのか? って話で。
 だからなんかもう、点数だけ見ればいい試合かもしれないし、実際緊張感はありましたけど……いい緊張感じゃない。第4戦と同じですね。いや、竜にとっては第4戦より悪いかもしれない。まだ徳俵に足がかかったまんまで、そこから押し返してはいないので。

 あと竜を見てると打順がものすごい悩ましいなーと思いますね。上位はいいけど下位が。今日は谷繁を6番に上げたけど、そーすると7・8番(+投手)がどうしても弱くなっちゃう。特に谷繁はギリギリの状況になるとけっこう上手に選んでくるので、本当はその後ろの繋ぎをちゃんと任せられる打者が欲しいんだろうなと思うんですけど、英智にしても小池にしても今日はちょっと荷が重かった。そう考えると、敢えて谷繁8番でもいいんじゃねえかなーとも思ったりします。
 まあそれ以前に、ブランコがもうちょっと繋げれば……あるいは塁上をスイープできれば、ってとこですけど。なんつってもブランコと谷繁がなんとしても繋がらないんだよな、これが(笑)。

 それでも竜のよかったところを無理やり(笑)挙げるとすれば、まあなんつってもやっとこさ井端にヒットが出たことでしょうか。それもマルチ。右打ちも出たし。それから11回の土壇場での大島の守備。あと総じて投手はがんばっていたけれども、岩瀬の後ろでネルソンがあれだけ投げたのはやっぱり良かったですね。膠着状態、打たれたら終わりのところで投げていたわりに雰囲気が落ち着いてた。
 それと、敢えて言えば成瀬に2敗しなかったことですかね(笑)って、それを言えばマリさんもチェンに2敗しなかったんで、おあいこ。でも全体のリレーとしてはマリさんの方が余裕があったのかな。最後まで宏之取っておけたし。まあ、竜が最初に浅尾を出すのは当然のことだし、そこから計算が狂ったので、竜としては以降のリレーは仕方なかったんでしょうけど。

 そんな試合が終わった結果、「え、じゃあ第8戦がもしある場合ってどこでやるん? いつやるん?」とかいう疑問を抱いたのですが、それは明日マリさんが勝ったら別に必要のない話じゃん! と自分に突っ込んでみました。

 で結局、明日は俊ちゃんと……やっぱり吉見(か)でいくんですかねぇ。今日はベンチにいなかったしね。
 なんにしても、お願いだから本当に、もうちょっと竜らしいとこ見せてください。こんなもんじゃないでしょうに。マリさんには特段の不満がないだけに、余計もったいないシリーズになってる。おかげで私は判官びいき感満載になってる。(笑)

11月の夜の幕張……寒そう

2010-11-04 22:31:00 | 【野球】ペナント日誌 2010
 今日も今日とて日本シリーズ、第5戦ですが……地上波中継がなかったので「どうせ見られないし」とたらたら帰りながら経過を見ていたら、なんともはや大味な試合に。
 帰ってきたころにはすでに大勢は決していたので、せっかくBS&CATVが見られる状況だったのに結局見ないで終わってしまいました。(笑)

 まあなんというか、経過を見る限りでは初回というか中田に尽きると思うわけですが、なんだかねー(笑)。竜がついに井端を外してきて、じゃあそれがどう機能するかを見る前に試合が決まってしまっていました。エラーから始まったらしいけど、それにしてもあんまりですよ中田。マーフィーかと思いますよ。
 ただ昨日もあれだけ投手使ってしまっていることもあるからか、それでもしつこく中田を5回まで投げさせていたので、だったらいっそ完投負けした方がいいんじゃないの? というかそのくらいの方が面白いからやってくれ。とか思ったんですけどね。←野球が面白いというよりネタ的に面白いって世界なので、今の竜の野球でそんなのあるわけないんだけど(笑)

 なんにしろ初回のマリさんの攻撃は理想的だったし、中田が続投していたおかげで中盤でも効果的に加点できて、もう西村さんが何もしなくても勝手に試合が進む状況。竜の方はブランコにタイムリーと1発が出たんだけども、遅きに失した感はありありです。こんな焼け石に水的な状況で打ってもしゃーない(笑)。これまでの試合でもっと打つべきところ、ありましたからねー。これで一瞬塞がったかに見えた打線の穴も、1日経ってみたら元通りになってる気がする。
 おかげさまで、マリさんとしてはかなりいい形で第6戦に臨めることになりました。なんつっても成瀬で4勝目を狙えるんだから。逆に竜は後のことを考えたらどうしても取るべきだった試合を、手の打ちようのない形で落としてしまったことになるので、次はもうチェンをぶつけるしかなくなっている。まあ、チェンで勝てないならどうしようもないんで、却って腹は据わるかもしれませんが。……ってそういや今日、吉見(か)がベンチに入ってたな。どうするんだ。

 この勢いと成瀬の安定感でマリさんがあっさり押し切るか。もしくはもはや崖っぷちどころか、崖から足を踏み外して片手1本でぶら下がってるような状況の竜が、後がない第6戦で果たして起死回生となるか。今の状況では前者が濃厚ではありますが、竜にはもう少し「らしさ」を見せてほしいところであります。
 マリさんは特に攻撃面でのマリさんらしさがけっこう出てると思うんだけど、逆に竜はなんかどの負け方もわりとあっさりなので、竜の大人の野球らしいところ(マリさんが子供かというとそれはそれで語弊があるんだけど)がもう少し見たいなぁと、今になって思ったりして(笑)。昨日みたいなギリギリの線での守り勝ちはともかく、攻撃のいやらしさに関してはあまり出てないように見えるので。そういう意味ではやはり井端なのかなぁ。