「光圀伝」がもう少しで回ってくるまでのつなぎに、気になってたけど読んでなかったので借りてみた。「天地明察」が出てくるまでは、冲方氏といえばこの作品、というイメージが強かったので。←そのわりに読んでいなかったのはどういうわけか(笑)
相当今さらだけど冲方氏がライトノベル出身ということを知って、なんとなく納得した。高殿円氏(「トッカン」)のときほどじゃないけど、キャラクターの造形がアニメ向きっぽいというか……キャッチーでわかりやすいので、捉えやすい。だから入り込みやすいのかも。ウフコックなんか画にしたら相当かわいいだろうな~と思った。っていうか、とっくにアニメ化(映画化)されてたんですね。納得。
あと、ドクターの電子眼鏡のAR(は、もはやフィクションではないけども)とか、「電子攪拌(スナーク)」とか、「反転変身(ターンオーバー)」するネズミのウフコックとか、ガジェット的な面も飲み込みやすい。バロットが電子的なネットワークと直に繋がることができるだけじゃなくて、ウフコックという相棒とが文字通り「2人で1つ」になることによって、物理的な意味でもリーサル・ウェポンになる。それから、其処此処に散りばめられた韻や同音異義語での言葉遊びのリズム。そういったいろいろがこの物語の個性になっていると思う。
ストーリーにも勢いがある。1日1章どころか1日1部、3日で読了。これが戦闘シーンだけで盛り上がらせる形だとこうはいかないと思うんだけど、カジノでの話が意外と大きく取られていて、ルーレットとブラックジャックの勝負が佳境に入るにつれ、SFだということを忘れさせられる(笑)。
まず、ゲームの運び方がわかりやすく説明されてある。加えて、ディーラーとプレイヤーの心理的な駆け引きも余すところなく描かれているので、カードを引く一瞬の緊張感もより伝わる。眼前にカードテーブルが見えるみたい。こんなふうにゲームができたら気持ち良いだろうなと思う。
辛さを遮断し、自分の殻に閉じこもることしか知らなかったバロットが、ウフコックを「使う」ことによって少しずつ学んでいく。失敗して、後悔して、自分の心の闇を知る。それをウフコック(と、時にドクター)は常に理解してくれる。それはウフコックにもボイルドとの過去があったからだ。
バロットの過去は確かに苛酷だけど、ウフコックもドクターも、それにシェルもボイルドもみんなそれぞれなりの過去を背負っていて、結局最後は誰も憎めないつくりになっているあたりが、作者の優しさというか安心感かな。特にウフコックがあんまりにも人間できすぎなので、これはバロットじゃなくても惚れる(笑)。個人的には、抜いた記憶を戻されたシェルのその後がとても気になるなぁ。
正直なところを言えば、人物の深みは「天地明察」の方があるなぁと感じたけれども、エンタテインメントとして充分楽しめる物語。続編(というか前日譚らしいが)の「マルドゥック・ヴェロシティ」はボイルド(&ウフコック)がメインということで、その後のボイルドの様子からしてちょっと暗めになりそうだけど、なんか「シスの復讐」みたいで面白そうかも、とも思うのでそのうち読んでみようかと。暗いの好きだし(笑)
相当今さらだけど冲方氏がライトノベル出身ということを知って、なんとなく納得した。高殿円氏(「トッカン」)のときほどじゃないけど、キャラクターの造形がアニメ向きっぽいというか……キャッチーでわかりやすいので、捉えやすい。だから入り込みやすいのかも。ウフコックなんか画にしたら相当かわいいだろうな~と思った。っていうか、とっくにアニメ化(映画化)されてたんですね。納得。
あと、ドクターの電子眼鏡のAR(は、もはやフィクションではないけども)とか、「電子攪拌(スナーク)」とか、「反転変身(ターンオーバー)」するネズミのウフコックとか、ガジェット的な面も飲み込みやすい。バロットが電子的なネットワークと直に繋がることができるだけじゃなくて、ウフコックという相棒とが文字通り「2人で1つ」になることによって、物理的な意味でもリーサル・ウェポンになる。それから、其処此処に散りばめられた韻や同音異義語での言葉遊びのリズム。そういったいろいろがこの物語の個性になっていると思う。
ストーリーにも勢いがある。1日1章どころか1日1部、3日で読了。これが戦闘シーンだけで盛り上がらせる形だとこうはいかないと思うんだけど、カジノでの話が意外と大きく取られていて、ルーレットとブラックジャックの勝負が佳境に入るにつれ、SFだということを忘れさせられる(笑)。
まず、ゲームの運び方がわかりやすく説明されてある。加えて、ディーラーとプレイヤーの心理的な駆け引きも余すところなく描かれているので、カードを引く一瞬の緊張感もより伝わる。眼前にカードテーブルが見えるみたい。こんなふうにゲームができたら気持ち良いだろうなと思う。
辛さを遮断し、自分の殻に閉じこもることしか知らなかったバロットが、ウフコックを「使う」ことによって少しずつ学んでいく。失敗して、後悔して、自分の心の闇を知る。それをウフコック(と、時にドクター)は常に理解してくれる。それはウフコックにもボイルドとの過去があったからだ。
バロットの過去は確かに苛酷だけど、ウフコックもドクターも、それにシェルもボイルドもみんなそれぞれなりの過去を背負っていて、結局最後は誰も憎めないつくりになっているあたりが、作者の優しさというか安心感かな。特にウフコックがあんまりにも人間できすぎなので、これはバロットじゃなくても惚れる(笑)。個人的には、抜いた記憶を戻されたシェルのその後がとても気になるなぁ。
正直なところを言えば、人物の深みは「天地明察」の方があるなぁと感じたけれども、エンタテインメントとして充分楽しめる物語。続編(というか前日譚らしいが)の「マルドゥック・ヴェロシティ」はボイルド(&ウフコック)がメインということで、その後のボイルドの様子からしてちょっと暗めになりそうだけど、なんか「シスの復讐」みたいで面白そうかも、とも思うのでそのうち読んでみようかと。暗いの好きだし(笑)