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偏愛と放浪の記録

「厭な小説」(著:京極 夏彦)

2021-11-02 22:05:20 | 【スポーツ】素人感覚
 「厭な物語」の解説から。いやーほんとに見事にどれもこれも「厭」だ。さすがは京極作品。
 SFやミステリに偏りがちな読書癖のせいで、ついつい謎解きを求めそうになって、いやこれはそういう話じゃないぞと踏みとどまった。この感じはホラー系っ実はてことでいいのかな。理不尽で非現実的で、しかしその不気味さは人が感じるリアルな不快と恐怖そのもの。グロテスクな生々しさ。その醜怪さは決して好みじゃないのにそれが何故か癖になって引き込まれていくのは、キング作品に近い。
 尋常の人間とは思えない子供、何者か知っていたつもりがそうでなかった老人、繰り返されるヴァレンタインデーの夜、などなど、どれもこれもが「厭」なのに抜け出せない、だからこそ「厭」になる無限ループ。最後はすべてがメタ小説に収束し(という展開は、登場人物から示唆されてもいるわけだが)、ループはブラックホールに飲み込まれる。

 そして巻末には「厭な解説(もっと厭な読書案内)」が。ほぼ、「厭な味わい」の小説の紹介であるが、肝心の京極作品を読んだあとだからまんまとここにあるもの全部読みたくなってしまう(笑)。「厭な物語」にも入っていた「くじ」も紹介されていたし、フレドリック・ブラウンもあるし、そういえばカフカもサキもラヴクラフトもちゃんと読んでないし、乱歩も実はドラマ観ただけで原作読んでないものばっかりだったし、夢野久作は読みたいリストに入れっぱだし、もうそれ以外にもあるわあるわ。どれもこれも読みたいけど、一気に何冊も続けて読むとやばい気がするので(笑)気長に何かしら読んでいこうかなと。


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