装丁にちょっと惹かれて図書館で予約して、1年待ちでようやく読んだ(本屋大賞受賞直後だったから~)。その間に「マルドゥック・スクランブル」でも読んで作風の予習でもしておけばよかったかな~と思いつつ、結局まだ読んでません(笑)。
時は江戸の世、メインになる題材は暦。主人公の渋川春海(安井算哲)は本当に、純真でちょっと慌て者で、少年漫画の主人公にありそうなタイプの1人(笑)。
春海に限らず、キャラクターは全体的に若干漫画ちっくでもあると思うので、その分とっつきやすいことはとっつきやすい。本因坊道策が必死に春海を(一生)追いかけてるさまとか、可愛いし。同じ意味で北極出地を行う建部昌明や伊藤重孝の、天測に際しての無邪気な様子も相当可愛らしい(笑)。保科正之は相当かっこいいし。っていうかかっこいいなどという言葉では失礼にあたるほど立派なのである。かと思えば徳川光圀の怪傑っぷりも……ええと、歴代の役者さんで言うと、やっぱり東野英治郎氏の豪快な笑いのイメージか(豪快と言えば山闇斎も相当豪快に書かれてあるが)。
従来の暦の誤謬がどのようにして正されたかとか、天測そのものがどのように行われ、どう計算されていたかとか、関孝和との出題勝負においてどう問題が解かれていったかとか、そういう数学あるいは天文学の具体的な話は実は物語中にはほとんどない。個人的にはもう少しそのへんも知ってみたかったけど、そこを表現するための小説ではないんだろうなぁとは思う。でも、それがもう少し見えてたら、春海の歩んだ道の険しさがより浮き彫りになってさらに壮大な物語になったかも? まあこれはあくまで個人的な興味から、だけど(笑)。
でも、最初はただ算術を愛し暦法を究めんとする純朴な青年でしかなかった春海が、暦というものが一国に及ぼす甚大な影響を知り、その礎となった数多の学者たちの研鑽や、為政者たちの想いまでをも一身に背負うことになった。何度も壁にぶつかりながらも、最終的には事業に対する戦略家としての顔すら見せるまでにたくましく成長していった。このあたりは、「碁打ち」という春海の素養もしっかり出ているかと。
成されたたったひとつのことのために、本当にたくさんの人々のさまざまな思いがあったことは、よくわかる。綺麗ごとだけでは済まされないこともあり、それでも乗り越えていかなければならない痛みがある。この物語を紡ぎ出すそんな数々の情熱が感じられるだけでもいいんだと思う。時代が違っても、人の心が持つものは、そう違わない。
時は江戸の世、メインになる題材は暦。主人公の渋川春海(安井算哲)は本当に、純真でちょっと慌て者で、少年漫画の主人公にありそうなタイプの1人(笑)。
春海に限らず、キャラクターは全体的に若干漫画ちっくでもあると思うので、その分とっつきやすいことはとっつきやすい。本因坊道策が必死に春海を(一生)追いかけてるさまとか、可愛いし。同じ意味で北極出地を行う建部昌明や伊藤重孝の、天測に際しての無邪気な様子も相当可愛らしい(笑)。保科正之は相当かっこいいし。っていうかかっこいいなどという言葉では失礼にあたるほど立派なのである。かと思えば徳川光圀の怪傑っぷりも……ええと、歴代の役者さんで言うと、やっぱり東野英治郎氏の豪快な笑いのイメージか(豪快と言えば山闇斎も相当豪快に書かれてあるが)。
従来の暦の誤謬がどのようにして正されたかとか、天測そのものがどのように行われ、どう計算されていたかとか、関孝和との出題勝負においてどう問題が解かれていったかとか、そういう数学あるいは天文学の具体的な話は実は物語中にはほとんどない。個人的にはもう少しそのへんも知ってみたかったけど、そこを表現するための小説ではないんだろうなぁとは思う。でも、それがもう少し見えてたら、春海の歩んだ道の険しさがより浮き彫りになってさらに壮大な物語になったかも? まあこれはあくまで個人的な興味から、だけど(笑)。
でも、最初はただ算術を愛し暦法を究めんとする純朴な青年でしかなかった春海が、暦というものが一国に及ぼす甚大な影響を知り、その礎となった数多の学者たちの研鑽や、為政者たちの想いまでをも一身に背負うことになった。何度も壁にぶつかりながらも、最終的には事業に対する戦略家としての顔すら見せるまでにたくましく成長していった。このあたりは、「碁打ち」という春海の素養もしっかり出ているかと。
成されたたったひとつのことのために、本当にたくさんの人々のさまざまな思いがあったことは、よくわかる。綺麗ごとだけでは済まされないこともあり、それでも乗り越えていかなければならない痛みがある。この物語を紡ぎ出すそんな数々の情熱が感じられるだけでもいいんだと思う。時代が違っても、人の心が持つものは、そう違わない。