確かキノベスに入ってて、著者のコラムが好きなので期待して買った。で、買ってからややしばらくあっためており(笑)、さらに読み始めてからもかなりちまちまと、数か月かけてぶつ切りになりつつ読み終えたが、期待通りの熱情と丹念な取材で書かれ、非常に読み応えがあった。
大洋時代も野球自体は見ていたので、選手の名前もなんとなく大体わかる感じではあったけど、それこそ1998年があって、さらにそれ以降(上原浩治の存在のおかげで)相当な感じで野球にはまり込んだ経験があったので、なるほどなぁと思うところがかなりあった(とはいえ、当時のように濃ゆい見方で野球を見なくなってもう5年くらいは経ってしまったが)。
'98年の中心選手たち、いわゆる「98年組」の個々の能力が高かったことは疑いようもない。その能力の礎となったのは実は、若手だった彼らが否応なく「やらされる練習」であった。それがあったからこそ地力が確固たるものとなり、成熟から絶頂期を迎えるタイミングにものの見事にはまったのが、あの怒濤のような日本一だった。ただ、その後の横浜球団、さらにこの本で初めて知った大洋時代を見るにつけ、高木豊曰くの「あの年代は特殊」であったこともまた、否みようのない真実であろうと思われる。
私自身はベイスターズファンであったことはないが、友人に横浜ファンがいるので、ファンとして感じる横浜球団の伝統的な体質も折に触れ耳にしていた。また、詳しくはないし横目程度でありながらもチーム編成の変遷を10年も見ていれば、「なんでこうなる(こうする)かなぁ?」と首を傾げたことも一再ではない。まあ、どんな球団であっても多かれ少なかれあることではあるだろうが、それにしても一貫性がないというか、いや、逆の意味で一貫性があるというか。その最たるものが、捕手というポジションに対する迷走ぶりである。
それをはっきり裏付けるのが、「ベイスターズが弱くなったポイント」として、「全体の8割が『谷繁放出』がその要因であると答えている」という事実である。思わず笑ってしまうほど予想通りで、その後延々と続いた捕手を巡る放出あるいは流出と半端な獲得の繰り返しは、谷繁を引き留められなかった(あるいは、引き留めなかった?)ことが球団全体で解決しようもないトラウマと化していたのではないかと思えるほどだ。
読み進めていくほどに、現場(特に選手)がわかっていることが、なぜフロント全体として理解や改善がなされなかったのだろうかと思わざるを得ない。大堀元社長や山中元専務のように「こうありたい」という思いを強く持っていた人々がいたのに、彼らは結果として志半ばで去らざるを得なかった。そして野球ファンとしては信じがたい、2008年の、石井琢朗や鈴木尚典がチームを去るときの扱い。見れば見るほどしんどすぎる。
しかしそれが、親会社がTBSからDeNAに変わったことによって、多少なりとも新しい空気が流れているように見えてきた。正直、中畑監督に対しては、アテネでの監督代行としての采配を見る限り「どうなのかなぁ」と、就任当初は思っていたものだったが、就任以来のチーム運営を見ていると、かつての黒江監督代行時代のチームの弾けっぷりを思い出す。上も下も一度まっさらになって、チームの中での血もある程度入れ替わり、そのうえでこの球団の天国も地獄も見てきている進藤コーチを参謀に置く布陣。今までとはちょっと違うね、と思わせるには十分だと思う。
だからこそ、どんなに弱くても、しょうもなくても、それでもチームが引き継がれていくことが一番大事だし、それさえできればなんとかなっていくんだよね、とあらためて思う、それとと同時に私としては自分が永遠に失った愛するチーム、大阪近鉄バファローズを、10年を経た今も癒えない寂寥とともに思い浮かべざるを得ないのであった。
……ってやっぱり最終的にこの話になっちゃった。でも本当にそう思うのだよ。マルハ時代の話なんて、限りなく昭和っぽい堅気じゃなさ満載だったけど(笑)そういうアレなところなんて、近鉄牛のバカ野球とオーバーラップせずにいられないもんね(涙)。誰か近鉄牛のこの手の本書いてくれないかなぁ。レクイエムとして。
余談だがつい先日、数年ぶりに浜スタに野球を観に行った。当初、休日の暇つぶしのつもりだったのだが、行ってみたら自分が覚えているスタジアム周辺とは様変わりしていた。スタジアムの関内駅側の広いスペースが、イベントブース(移動水族館とか)やオープンテラスのように自由に休めるスペースになったりしていて、入る前から賑わっていた。入ったら入ったで、最終的にはスタンドの9割方が埋まるという盛況ぶり。正直、巨人戦以外でこんな状態の浜スタを見たのは初めてだったかもしれない(笑)。それに、昔はみかん氷を売る店が3塁側の1か所しかなかったのに、わりとあちこちで売られるようになっていたのが嬉しかった!
まあそんな感じで、たまたまその時は試合展開もなかなか面白かったというのもあるけど、いい方に変わってきているのかなと、この本を読んだ後だからこそなおさら感じたものであった。とはいえ、チケット代の高さは(席種は増えたものの)変わってなかったけどな(笑)。
大洋時代も野球自体は見ていたので、選手の名前もなんとなく大体わかる感じではあったけど、それこそ1998年があって、さらにそれ以降(上原浩治の存在のおかげで)相当な感じで野球にはまり込んだ経験があったので、なるほどなぁと思うところがかなりあった(とはいえ、当時のように濃ゆい見方で野球を見なくなってもう5年くらいは経ってしまったが)。
'98年の中心選手たち、いわゆる「98年組」の個々の能力が高かったことは疑いようもない。その能力の礎となったのは実は、若手だった彼らが否応なく「やらされる練習」であった。それがあったからこそ地力が確固たるものとなり、成熟から絶頂期を迎えるタイミングにものの見事にはまったのが、あの怒濤のような日本一だった。ただ、その後の横浜球団、さらにこの本で初めて知った大洋時代を見るにつけ、高木豊曰くの「あの年代は特殊」であったこともまた、否みようのない真実であろうと思われる。
私自身はベイスターズファンであったことはないが、友人に横浜ファンがいるので、ファンとして感じる横浜球団の伝統的な体質も折に触れ耳にしていた。また、詳しくはないし横目程度でありながらもチーム編成の変遷を10年も見ていれば、「なんでこうなる(こうする)かなぁ?」と首を傾げたことも一再ではない。まあ、どんな球団であっても多かれ少なかれあることではあるだろうが、それにしても一貫性がないというか、いや、逆の意味で一貫性があるというか。その最たるものが、捕手というポジションに対する迷走ぶりである。
それをはっきり裏付けるのが、「ベイスターズが弱くなったポイント」として、「全体の8割が『谷繁放出』がその要因であると答えている」という事実である。思わず笑ってしまうほど予想通りで、その後延々と続いた捕手を巡る放出あるいは流出と半端な獲得の繰り返しは、谷繁を引き留められなかった(あるいは、引き留めなかった?)ことが球団全体で解決しようもないトラウマと化していたのではないかと思えるほどだ。
読み進めていくほどに、現場(特に選手)がわかっていることが、なぜフロント全体として理解や改善がなされなかったのだろうかと思わざるを得ない。大堀元社長や山中元専務のように「こうありたい」という思いを強く持っていた人々がいたのに、彼らは結果として志半ばで去らざるを得なかった。そして野球ファンとしては信じがたい、2008年の、石井琢朗や鈴木尚典がチームを去るときの扱い。見れば見るほどしんどすぎる。
しかしそれが、親会社がTBSからDeNAに変わったことによって、多少なりとも新しい空気が流れているように見えてきた。正直、中畑監督に対しては、アテネでの監督代行としての采配を見る限り「どうなのかなぁ」と、就任当初は思っていたものだったが、就任以来のチーム運営を見ていると、かつての黒江監督代行時代のチームの弾けっぷりを思い出す。上も下も一度まっさらになって、チームの中での血もある程度入れ替わり、そのうえでこの球団の天国も地獄も見てきている進藤コーチを参謀に置く布陣。今までとはちょっと違うね、と思わせるには十分だと思う。
だからこそ、どんなに弱くても、しょうもなくても、それでもチームが引き継がれていくことが一番大事だし、それさえできればなんとかなっていくんだよね、とあらためて思う、それとと同時に私としては自分が永遠に失った愛するチーム、大阪近鉄バファローズを、10年を経た今も癒えない寂寥とともに思い浮かべざるを得ないのであった。
……ってやっぱり最終的にこの話になっちゃった。でも本当にそう思うのだよ。マルハ時代の話なんて、限りなく昭和っぽい堅気じゃなさ満載だったけど(笑)そういうアレなところなんて、近鉄牛のバカ野球とオーバーラップせずにいられないもんね(涙)。誰か近鉄牛のこの手の本書いてくれないかなぁ。レクイエムとして。
余談だがつい先日、数年ぶりに浜スタに野球を観に行った。当初、休日の暇つぶしのつもりだったのだが、行ってみたら自分が覚えているスタジアム周辺とは様変わりしていた。スタジアムの関内駅側の広いスペースが、イベントブース(移動水族館とか)やオープンテラスのように自由に休めるスペースになったりしていて、入る前から賑わっていた。入ったら入ったで、最終的にはスタンドの9割方が埋まるという盛況ぶり。正直、巨人戦以外でこんな状態の浜スタを見たのは初めてだったかもしれない(笑)。それに、昔はみかん氷を売る店が3塁側の1か所しかなかったのに、わりとあちこちで売られるようになっていたのが嬉しかった!
まあそんな感じで、たまたまその時は試合展開もなかなか面白かったというのもあるけど、いい方に変わってきているのかなと、この本を読んだ後だからこそなおさら感じたものであった。とはいえ、チケット代の高さは(席種は増えたものの)変わってなかったけどな(笑)。