この語感のタイトルでこの表紙(山口晃氏画)で高野氏の本と来れば……と期待して借りてみた次第。と言っても、辺境作家としての高野作品をまともに読むのはこれが初めてかもしれない。でも一応アヘン王国も辺境に入れていいのかな。
それはそうと、共著の清水氏は日本中世史がご専門。「タイムスクープハンター」の考証なんかもやられていたそう。タイトルの通り、現代の「辺境」ソマリランドと、室町時代は意外に共通点がある! というところから始まった本なのらしい。そして「血であがなうか、金であがなうか」なんて話はもろにハードボイルドなのである。けっこう細かく脚注を入れてくれているので理解の助けになる。ありがたい。
印象に残ったのは「Back to the future」という表現が実はシャレではないという点。「サキ」と「アト」がそれぞれ「過去」と「未来」の両方を指すことのできる言葉であること、よく考えたら確かにそうなんだけどこうやってあらためて捉え直すと面白い。そこからお寺の話に飛ぶのはちょっといきなりだけど(笑)。しかし、同じ仏教の寺であっても、国によって全然違う働きを持っているのがまた不思議な感じ。まあ、それは宗教だけで決着する話ではなくてその国の行政も関わってくることでもあるということなのだろう。
あとはご多分に漏れず「伊達政宗のイタい恋」だろうか(笑)。ただ、女性の代わりに手近な男性に走るというわけではなくてもっと男男した感覚であるというのが「なるほど」だった。BLというよりはブロマンスなのか。……とか言ってる割に綿々と恋文書いちゃう政宗って笑える。
それと、戦場において馬は高級外車と同じようなもの、というのもまた「なるほど」だし、そう考えると武田の騎馬隊は存在しなかっただろう、という驚くべき話とか。源義経の先方は「チンピラの喧嘩」だとか。さらに、「歴史学の若き天才は現れない」とか。理学系の人のノンフィクションばかり読んでいたから、学者という人たちはそんなに早くに業績をあげないといけないのか! と思っていたのだけれども、歴史学となるとどれだけたくさんの史料を読んでいるかが大きな要素になるので、遅咲きの人が多いとか。
……と、室町時代とソマリランドの共通点を軸に展開されているはずの本ではあるが、実は全体としてはそんなに系統立った話をしているわけでもないようである(笑)。けっこうあちこちに話がとっ散らかっていて、小ネタというかトリビアというかそういったものの宝庫という感じだろうか。その分いろいろな「へ~」があるし、歴史をどう見るか、史実がなぜそういう史実なのかの(教科書には書かれていないような)背景や、専門家がそれらを見るときの視点の作り方みたいなものを感じ取れるような気がする。
こう言うと、どっちかというと清水氏の話の方が(国内の話のせいか)頭に残ったということなんだろうか。もしかしたら先に「謎の独立国家ソマリランド」とか、高野氏のソマリランド関連の著作を読んでおいたらさらに納得度が深まったのかな。どっちにしても、高野氏の辺境モノもそろそろ手をつけねば……
それはそうと、共著の清水氏は日本中世史がご専門。「タイムスクープハンター」の考証なんかもやられていたそう。タイトルの通り、現代の「辺境」ソマリランドと、室町時代は意外に共通点がある! というところから始まった本なのらしい。そして「血であがなうか、金であがなうか」なんて話はもろにハードボイルドなのである。けっこう細かく脚注を入れてくれているので理解の助けになる。ありがたい。
印象に残ったのは「Back to the future」という表現が実はシャレではないという点。「サキ」と「アト」がそれぞれ「過去」と「未来」の両方を指すことのできる言葉であること、よく考えたら確かにそうなんだけどこうやってあらためて捉え直すと面白い。そこからお寺の話に飛ぶのはちょっといきなりだけど(笑)。しかし、同じ仏教の寺であっても、国によって全然違う働きを持っているのがまた不思議な感じ。まあ、それは宗教だけで決着する話ではなくてその国の行政も関わってくることでもあるということなのだろう。
あとはご多分に漏れず「伊達政宗のイタい恋」だろうか(笑)。ただ、女性の代わりに手近な男性に走るというわけではなくてもっと男男した感覚であるというのが「なるほど」だった。BLというよりはブロマンスなのか。……とか言ってる割に綿々と恋文書いちゃう政宗って笑える。
それと、戦場において馬は高級外車と同じようなもの、というのもまた「なるほど」だし、そう考えると武田の騎馬隊は存在しなかっただろう、という驚くべき話とか。源義経の先方は「チンピラの喧嘩」だとか。さらに、「歴史学の若き天才は現れない」とか。理学系の人のノンフィクションばかり読んでいたから、学者という人たちはそんなに早くに業績をあげないといけないのか! と思っていたのだけれども、歴史学となるとどれだけたくさんの史料を読んでいるかが大きな要素になるので、遅咲きの人が多いとか。
……と、室町時代とソマリランドの共通点を軸に展開されているはずの本ではあるが、実は全体としてはそんなに系統立った話をしているわけでもないようである(笑)。けっこうあちこちに話がとっ散らかっていて、小ネタというかトリビアというかそういったものの宝庫という感じだろうか。その分いろいろな「へ~」があるし、歴史をどう見るか、史実がなぜそういう史実なのかの(教科書には書かれていないような)背景や、専門家がそれらを見るときの視点の作り方みたいなものを感じ取れるような気がする。
こう言うと、どっちかというと清水氏の話の方が(国内の話のせいか)頭に残ったということなんだろうか。もしかしたら先に「謎の独立国家ソマリランド」とか、高野氏のソマリランド関連の著作を読んでおいたらさらに納得度が深まったのかな。どっちにしても、高野氏の辺境モノもそろそろ手をつけねば……