大学というちょっと特殊な組織の内幕にも触れているということで、未知の業界への興味も手伝って気になっていた筒井作品のひとつ。しかしいざ読んでみると単なる業界ものではなくて、文芸批評論そのものだった。
主人公・唯野教授はまさしく「ただの」教授という役どころで、大学組織内で平穏無事(?)に生き残っていくため、実は文芸誌で小説など書いていることもひた隠しにして奔走する。時には友人の尻拭いまでしつつ。そのドタバタっぷりと台詞回しが例によっていかにも筒井節。すばらしくテンポが良く、ブラックユーモア的要素も満載で、すいすい読めてしまう。
その唯野が作中で展開する講義が「文芸批評論」なのだが、これがものすごい。私は文学そのものを学んだことはないので全然知識が足りないんだけど、それでもやっぱりなんとなくアウトラインが(雰囲気としてくらいは)掴めた気になるように構成されている。この「講義」を受けつつ、これだけのものを組み立てるための作家サイドの下準備も相当なものなんだろうなぁと感嘆するばかり。
特に「講義」中に引き合いに出されるさまざまな作家や学者たち、これがまた名前は知ってても中身はわからない人たちばかりなので、ページ内に解説がついてるのがありがたい。これがなかったら、いかに読みやすい本作であっても素人の自分では全然ついていけなくなってしまっただろうと思う(笑)。
文芸批評という分野にはこれまで全く触れたことがなかったけど、こうやって「講義」してもらうと時代の流れもわかって面白い。読んでもちゃんと身につくかどうかは別だけど(笑)、単なる小説ではなくて啓蒙書と言ってもいいかも。「講義」で興味を持った作家などを、「講義」を思い出しながら読んでみるのも良いのではないかと。
主人公・唯野教授はまさしく「ただの」教授という役どころで、大学組織内で平穏無事(?)に生き残っていくため、実は文芸誌で小説など書いていることもひた隠しにして奔走する。時には友人の尻拭いまでしつつ。そのドタバタっぷりと台詞回しが例によっていかにも筒井節。すばらしくテンポが良く、ブラックユーモア的要素も満載で、すいすい読めてしまう。
その唯野が作中で展開する講義が「文芸批評論」なのだが、これがものすごい。私は文学そのものを学んだことはないので全然知識が足りないんだけど、それでもやっぱりなんとなくアウトラインが(雰囲気としてくらいは)掴めた気になるように構成されている。この「講義」を受けつつ、これだけのものを組み立てるための作家サイドの下準備も相当なものなんだろうなぁと感嘆するばかり。
特に「講義」中に引き合いに出されるさまざまな作家や学者たち、これがまた名前は知ってても中身はわからない人たちばかりなので、ページ内に解説がついてるのがありがたい。これがなかったら、いかに読みやすい本作であっても素人の自分では全然ついていけなくなってしまっただろうと思う(笑)。
文芸批評という分野にはこれまで全く触れたことがなかったけど、こうやって「講義」してもらうと時代の流れもわかって面白い。読んでもちゃんと身につくかどうかは別だけど(笑)、単なる小説ではなくて啓蒙書と言ってもいいかも。「講義」で興味を持った作家などを、「講義」を思い出しながら読んでみるのも良いのではないかと。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます