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偏愛と放浪の記録

「ルミッキ3 黒檀のように黒く」(著:サラ・シムッカ/訳:古市 真由美)

2016-05-21 23:37:09 | 【書物】1点集中型
 第1作第2作ときて、スーパー女子高生3部作完結編らしい。
 ルミッキの過去の大きな象徴である存在、リエッキとの再会。家族の中でルミッキ自身が知らず抱えるものが、遠い過去にあること。それを何故かルミッキ以上に知るストーカーの登場。現代的に解釈された「白雪姫」の戯曲。そうした要素から見ると、ルミッキの物語を締めくくるのはまさにルミッキの「自分探し」(って言葉も死語に近いが)だった。前作で「姉」を名乗る人物との出会いから、ルミッキの過去に秘密があることを匂わせる展開になっていたが、今作はその種明かしにもなっている。そして今回もルミッキは走らされていた(笑)。

 3部作とはいえ、個々の事件自体は他の話に影響されない1話完結だったので読みやすいが、若干物足りない気はする。第1作の「白熊」とか、もっとスケールの大きい話にもできそうだったんだけどなあ。でも敢えてそういうこともせずに、ある程度事件を単純化して読みやすくしているのかもしれない。主にヤングアダルト向けを書いている作者ということで、主人公と近い年代にいちばん共感されそうな雰囲気はあった。


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