高倉健さんが亡くなってから、どこのTV局でも、連日、健さんを偲ぶニュースや追悼番組が流されている。
1人の俳優の死がこれほど騒がれたのは、あの石原裕次郎以来でしょうか。裕次郎は52歳の若さで亡くなったけど、健さんの場合は83年の生涯だから、いわば天寿を全うした…という感じもします。
ファンも「老いぼれた健さん」を見るのは辛い。いつかは可愛い娘さんも婆ちゃんになり、カッコいい男も爺ちゃんになるけれど、健さんが爺ちゃんになる…というのは嘘みたいな話に思えてしまうから不思議だ。
健さん最後の映画「あなたに」がテレビで放映された時、少し見たけれど、健さんの一挙一動に「あぁ、年いったなぁ」とつくづく思い、何だかそういうのを見たくない気持ちが湧いてきて、そのままテレビから離れたことを思い出す。
それにしても、今の時代でこれほど誰からも愛された人も珍しい。作家の故・司馬遼太郎さんが国民的作家と呼ばれたように、健さんも国民的俳優と呼べる人なのだろう。もう二度と、こういう人は出てこないのかも知れない。
ところで昨日、コスパのロッカーで着替えをしている時、そばで70代ぐらいの男の人が二人で、健さんの話をしていた。
「映画俳優で文化勲章を受けたのは高倉健だけらしいなぁ」
「ええ俳優やったもんな。あのぁ…何やったかな…?『黄色い…』え~っと何とか…という映画も、よかったなぁ」
「あれは『幸せの黄色いリボン』や。わしも見たで」
「そうそう『幸せの黄色いリボン』なぁ」
「それと、最後の映画になったというあの…? え~っと、何やったかなぁ…」
「あれは『おまえに』や。わしも見たで」
そんな会話が交わされていた。
「幸せの黄色いリボン」…?
ジョン・ウェインの「黄色いリボン」じゃありまへんで。
それは「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」ですがな。
「おまえに」…?
フランク永井のヒット曲の題名じゃありまへんで。
健さん最後の映画は「あなたに」ですがな。
しかしまぁ、見方を変えてみれば、それだけ健さんの映画が幅広い層の人々の記憶の中に、たとえうろ覚えでも、刻み込まれているということなのでしょうね。
健さんの最後の映画「あなたに」は明日・日曜日の夜、放映されるとのこと。
健さんの映画で一番好きだった「 駅・STATION 」は今夜、BSで放映される。
「駅・STATION 」はDVDを持っているし、5、6回見ているけれど、「あなたに」は前述のように少ししか見ていないので、今度はきちんと最後まで見ようと、明日の放送を楽しみにしています。