めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

便利で豊かな生活が、日本人を追い詰める

2017-09-27 16:14:47 | 日本人

今や、日本人は、食糧危機で苦しむ世界の多くの国々と
同じ状況に置かれている事を知っている方は少ないです。
飽食日本と言われる様に、巷には、様々な飲食店が立並び、
マーケットには、新鮮な食材が山と積まれています。
しかも、食料が余っているのを象徴するかのように
年間800万トンにも及ぶ食べ残しや廃棄食品が生れています。
この量は、アフリカの最貧国の年間食料消費量を遥かに上回り、
如何に日本には、食料が溢れているかが解ります。
その為、多くの人々は、日本に、食料が足りないとは思っても
いなくて、食べ物を残したり捨てたりすることに、罪悪感を
感じる人は、戦争などで、辛い思いをした高齢者ぐらいです。

しかしながら、今や、日本は、危機感を抱かざるを得ない

状態なのです。
これまで、長きに渡って、足りない食料は輸入する事で補い
日本は、工業国として成長してきました。
食料の国内需給率が半分を下回っても、世界中から足りない分を
輸入する事が当たり前の様に国民全体が思っていて、
日本は、工業発展国として、農林水産業が生産できない食料を
海外から大量に輸入する事に依って、国民の食を満たして
来ました。
所が、今や、地球温暖化の影響から、世界の食料供給国の
日本への輸出量が激減するようになっているのです。

本来大量に輸出できた食料が、天候異変により、大幅に減作と成り

国外に輸出するまでに至らない状態の国が増えているのです。
もちろん、その年の気象条件によって、豊作凶作の波は有るのですが、
その為にも、日本は世界中の国から確実に輸入していたのですが、
近年、世界的な異常気象は、世界中の穀物生産に大きな影響を与え
穀物輸出国が次第に減ってきているのです。

更に、この穀物減収は、飼料穀物の輸入にも大きく影響を与え、

日本のみならず、世界の畜産農家にショックを与えています。
多くの畜産物を海外に依存しているだけでなく、国内飼育に於いて
飼料穀物の減少は、家畜を育てられないだけでなく、畜産物価格の
高騰を伴って家計を圧迫するのです。
ならば、日本は、広大な海からの水産物に依る蛋白源の確保を行えば
食糧危機から逃れられるのではと思いきや、既に、水産物漁獲量は
最盛期の半分と成り、やはり、輸入に依って補われているのが現実です。

しかし、日本にとって、未来の食糧危機を逃れる術は、海からの

食料確保しかないのです。
畜産物が思う様に育てられない、食料を輸入で賄えなくなったとしたら
日本人が食料を求めるのは、海しか無いのです。
所が、この海が、既に、かつての豊穣の海ではなくなっているのです。
長年の日本列島の工業化により、多くの沿岸の海は公害で汚れてしまい、
更には、乱獲による漁業資源の減少で、水産業界は、とても日本人の
食を守れる状態ではないのです。

しかしながら、この、水産資源の減少を生んでいる大きな原因が

我々日本人の豊かで便利な生活にある事を多くの方は知りません。
食料不足を心配される日本人が、その食料不足の原因を生んでいるとは
殆どの人は思ってもみないのです。
魚は、減っているとはいえ、マーケットや鮮魚店に行けば、大量に売られ
ていて、とても品不足の様には思えません。
しかし、その魚介類の多くが輸入物であり、近海で獲られた魚介類は
非常に少ないのです。

本来、日本近海には、大きな潮の流れが有り、大量の魚が回遊していました。

その為、かつて日本近海は、世界的な水産資源の宝庫と言われて来ました。
100年ほど前までは、日本人は、蛋白源の補給を、殆ど魚介類で賄い
日本人の身体は、コメと魚で作られているとまで言われていました。
所が、産業革命以来、西洋からの食生活が日本人の家庭に入って来ると
次第に、魚だけでなく、家畜肉が日本人の食に浸透してきたのです。
この事は、現代に於いても、魚と家畜肉は、同じように日本人が口にする
大切な食料と言えますが、その内容は、時代と共に大きく変わっているのです。

日本沿岸は、工業化が進み、沿岸の海はどんどん汚れて行きました。

それにともない、漁業は次第に遠洋へと移り、獲物を求めて、海外の海へと
展開して行ったのです。
所が、世界の海でも、乱獲が祟り、日本の船の漁獲量は年々減少を続け
今では、日本船が漁獲できる魚介類の量は激減し、異国の地での操業と言うより
そこで買い上げ輸入すると言う事が多くなっているのです。

しかし、世界的な乱獲は、日本への輸入に赤信号をともす事と成っているのです。

頼みの綱であった輸入魚介類が近い将来期待できなくなる可能性が出て来たのです。
つまり、世界中の海から、日本人は、魚介類を手に入れられなくなって来たのです。
近い将来、私たち日本人が、食料として魚介類を手に入れられるのは、日本近海の
漁業専管水域内と言う事に成る可能性が高いのです。

ところが、今や、日本の沿岸海域から200カイリ程の海は、ことごとく水産資源が

減少しているのです。
世界の水産資源の宝庫と言われた日本近海に、日本人の食を満たす魚介類がいないのです。
畜産業からの食料も期待できず、輸入で補う事も難しいとなったら、
そう、日本人は、先進国の中で真っ先に食糧危機を迎えると言えるのです。
一億人以上の国民が、日々の食料確保に苦しむ姿を想像できるでしょうか。
それこそ、戦後の何もなかった時以上の惨憺たる光景が予想されます。

とは言ってもも、生きて行かねばなりません。

そう考えると、やはり、日本人は、食を海に求めるしかないのです。
しかし、今の状況では、とても水産資源復活には程遠いのです。
問題は、漁業海域の魚を如何に増やすかと言う事では有りません。
魚は、漁獲した時の大きさで最初からいるのではありません。
生き物は、卵で生まれ、小魚から成魚へと成長して行くのです。
日本の水産資源の減少は、この小魚から成魚に至る段階を、長年の日本の工業化で
破壊してしまったのです。

多くの魚介類は、繁殖の為に、浅くて光が多くあたり、栄養豊かな沿岸に集まります。

栄養豊かな海とは、山や陸地から、栄養豊かでミネラルを多く含んだ水が海に流れ込む
汚染されていない沿岸の海を言います。
つまり、東京湾の様に、浅くて栄養豊かなた海域を指しています。
工業化によって埋め立てられ海や川を隔てる護岸によって、陸からの豊かな栄養が浅い海に
流れでなかった事が、東京湾を命の育つ海から、汚れた下水道の海としてしまったのです。


更には、護岸に囲まれた海は、工場廃液や私達の生活汚水で生き物達が繁殖成長できる

豊かな環境を破壊してしまったのです。
人間の身勝手さは、成魚が生きて行けるぎりぎりの水質を基準として汚水を流し続け
大切なプランクトンや稚魚の成長を損ってしまったのです。
東京のウォーターフロントの海は、高度成長期に比べ、透明度が増し、綺麗になったと
外見でしか判断できない方々は言いますが、実際は、栄養が全く無い、大量の汚染物質が
溶け込んだ、透明度だけの死の海と言えるのです。

浅い栄養豊かな海で育った稚魚たちが、やがて大きくなって外洋に巣立っていくのです。

我々日本人は、大人になった魚を取り尽くし、子供たちの育つ環境を破壊し続けている
と言う事を理解していないのです。
山から海まで、コンクリートや鉄板で固められた護岸は、海と陸との接点に、
刑務所の様な壁を設けているのです。
ただ人間にとって都合の良い便利な水利ばかりを考え、生き物達の生きる場を考えず
汚染を繰り返している事が、水産資源減少の最大の問題と言えるのです。

海の豊かさは、山で作られる、と昔から言われています。

しかし、この意味が解らず、ただ、自分達の生活を便利に豊かにする事だけを考え
その結果、遂には、食料不足を生む原因とも成っているのです。
人類はどんなに進化しても、地球の生き物の1つであり、他の生き物との食物連鎖の
大きな循環の中で生きています。
私達が健全に生きて行く為には、他の生き物達も健全に生きられる環境が必要です。
私たち日本人が、本当に幸せに子孫を繋いでいくには、どの様な日本を創って行く事が
大切で有るかを、日本人一人一人が考える時代であると思われます。



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