めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

東北人の心、日本人の心

2015-03-09 16:33:13 | 地域振興

明後日、また、あの日がやって来ます。
仕事をしていた時、心の底から恐怖を覚えた長い揺れが
多くの人々の生活と命を奪い去ってしまいました。
東京で感じた揺れも、人生で初めての不気味な感覚でした。
人は、どうしようもない不安を感じると、本能的に死を感じます。
立つことも出来ない巨大な力に翻弄された東北の人々の恐怖は
想像だにできません。

沢山の人々が亡くなり、多くの方々が傷付きました。

生活の全てを奪われ、生きる術さえ失ってしまった人々は
この4年間どんな思いだったでしょう。
日本だけでなく、世界中からの支援を受けて、街は次第に復興し
被災した東北の多くの地域は、未来に向けて新しい道を歩み始めています。

しかし、外見とは裏腹に、多くの被災者たちの心は晴れません。

基本的な衣食住が満たされるにつれ、ますます、失望感が募るのは
一体どうしてでしょう。
被災した街は、以前にも増して美しく機能的に作られています。
再び津波に襲われても助かる様に様々な工夫がされ、
大地震や津波に強い街づくりが着々と進められています。

でも、こんな街に進んで住みたいと思うのは、被災者でない人達だけであり

心の底では、自分たちの街とは違うと思っている方々が多いのです。
日本は昔から天変地異に苦しめられたり、幾度となく体験した戦争により
国民全体がいつも何だかの恐怖と戦って来ました。

個人ではどうにもならない運命の様な歴史の中で、恐れをいだき

様々な神仏にすがって来ました。
そのことは、その恐怖に打ち勝つと言うのではなく、その運命を受け入れつつも
その恩恵を授かって生きて来たのです。

つまり、どんな大参事が有っても、それを受け入れ、柔軟に生活を立て直し

生きるすべを身に付けて来ました。
確かに、大地震から受けた計り知れない恐怖と生活破壊は簡単には
拭い去る事は出来ません。
しかし、人々の心にはそれさえも受け入れる、自然に対する暖かい気持ちが有るのです。
東北人の魂と言うだけでなく、日本人の心には、歴史的に培われた大自然に対する
大きな豊かな気持ちが有るのです。

例え未曾有の被害をもたらした大自然の猛威であっても、それを断ち切らず

その事を受け入れながら生きて行く心が有るのです。
何故、新しい街が受け入れられないのか。あれだけ悲惨な思いをしてまでも
素直に受け入れられないのか、それは、人々の心がいかに優しく故郷を愛しているか
という事です。

今の復興事業は、簡単に言えば、便利な日本のどこにでもある様な街を作っているに過ぎず

例え、津波や地震に耐えられようとも、そこにはもう故郷は無いのです。
ならば、また悲惨な被害を受けてもいいのかと言うのでは有りません。
酷い目に遇ったから、大自然と自分たちを断ち切った生活をするというのではなく
そんな恐ろしい自然とも一緒に生きて行く道が欲しいのです。

それ程にも沢山の恩恵を大自然から受けている事を知っているからなのです。

私の故郷も、かつて伊勢湾台風で多くの犠牲者を出し、私も友や知り合いを多く失いました。
しかし、一番の心残りは、その後の復興事業で故郷が無くなってしまい、更には
人々の心も変わってしまったことです。

両親が生活している事もあって、正月には帰省します。

しかし、そこは、もう私が幼い頃生活した故郷ではなく、単なる大都会の周囲にある
新興住宅地に過ぎません。
高速道路が走り、セブンイレブンが畑の中に立ち、田園地帯の中に立ち並ぶマンションに
故郷はもうありません。
被災地復興とは、いったい何なんでしょう。
日本中に同じような街並みを作ることが人々にとって幸せなのでしょうか。
東北の人々の心の奥底を感じられる日本のリーダーが生まれて欲しいです。



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