私の住む目黒川近辺の公園や、都内の公園でいつの間にかに
見られなくなったのが、昆虫たちの姿です。
時たま、蝶やハチの飛ぶ姿を見かけるものの、沢山咲いている
花壇の美しい花には、ほとんど見られません。
桜が散って、新緑で川が彩られる頃、私の幼い頃は、
学校への通学路、沢山の毛虫が落ちてきて、その恐ろしさは
今だ忘れません。
しかし、家に帰ると、父が育てた花壇の花に、何百と言う蝶が舞い
夏ともなると、様々な種類のトンボが、至る所に飛んでいました。
畑や田んぼは、正に、昆虫図鑑の様で、歩く足元を、音を立てて
飛び交うバッタの群れや、頭の回りまで飛び回る赤とんぼの群れに
大自然の中で生きているのを感じたものです。
その光景を思うと、今の都会の公園や緑地帯は、あまりにも静かで
昆虫たちの生命反応が殆どありません。
辛うじて、夏の一時期、セミが鳴き、夏であることを認識する位です。
どんよりと淀んだ目黒川、緑の葉だけが風に揺れている桜並木、
鴨、ミシシッピー赤ガメ、ドバト、カラスが時折目に付く程度の自然。
本当に、こんな環境を認めてしまっていいのでしょうか。
今や、地球温暖化に代表される、異常気象が当たり前となった毎日、
これから地球上の多くの生物のみならず、人類はどうなっていくのか
不安こそあれ、明るい未来が感じられなくなっています。
最近、様々な異常事態が発覚している中、世界中の昆虫の世界は
とんでもない事と成っている様です。
中でも、ハチの仲間は、次々に絶滅を繰り返し、世界的にその数を
激減させていると言われています。
ハチなんかいてもいなくても良いと思われるかも知れませんが、
今、世界で収穫される穀物や果物の3分の1は、ハチによる受粉が
ないと無くなってしまうのです。
もし、このままハチが絶滅すれば、人類は食料危機に陥ることは確実で
その結果、かつて恐竜が絶滅した様に、私達人類も絶滅するとする
学者も出て来ました。
私達が何とも思わない様々な生物が人類と大きく関わっている事は
昔から知られていて、人類だけに都合の良い環境は、いずれ
人類を滅ぼすとさえ言われています。
今や、私達の生活は、限りなく清潔に、快適にと進んでいます。
しかしながら、この快適な生活を支えているのは、まぎれも無く
人類以外の生き物であることを忘れてはならないのです。