朝日カルチャーセンター「野口体操講座」を受講しているSさんから、一通のメールが届きました。
出張で欠席届が出されていて、先日、久しぶりに教室に復帰され、その翌日「2011年秋 中国リポート」を受け取りました。
「私、ひとりでは勿体ない。公開して皆さんにもぜひ読んで考えていただきたい」
転載許可を快諾いただきました。
「身体の技の継承」について、具体的に書かれていること等々、経済発展との絡みの中で、失われること・失われないこと等々、興味深い内容です。
象徴的な写真も貼付されていましたが、ここでは文章のみをご紹介いします。
そして私的には、ご高齢の親御さんのこと短くが書かれています。ここは省かせていただく方が無難かと考え迷いましたが、そのまま掲載させていただきます。日本女性が、今、働く現状を想像することが出来るからです。そしてこうした問題を抱えながら、一人ひとりが地道に仕事をこなしながら、国は支えられていることを読みとることができることが大切だと思いましたので。
野口体操を共に学ぶ仲間のリポートを、受け止めていただけると嬉しいです。
Sさん、お疲れさまです。ありがとうございます。
以下、いただいたメールからの転載です。
********
羽鳥先生
昨日は、久しぶりに出席できまして、
思った以上に体がほぐされたようで、とても気持ちがよかったです。
またお気にかけて下さり、ありがとうございました。
今回の出張では、中国の発展スピードがすさまじいことを改めて実感した次第です。
訪れた江蘇省の農場(上海から車で約6時間前後)までの道中について言えば、
人海戦術と突貫工事でドカドカと造られた片側3-4車線の高速道路が
大都市上海から地方へと、ひたすらほぼ直線状に伸び続けており、
その道路から各市へと続く新しい道路が次々に建設されています。
それは、まるで動脈から毛細血管に枝分かれしていくようで、
上海や沿海部の富が血管を通じて地方へと流れていっているのが、周辺の風景からも、
生々しく肌で感じられてしまうほどです。
勤め先の現地法人が江蘇省無錫市にあり、今回立ち寄った際、会社のドライバーに、
「前回来たのは、今年の3月だったけれど、なんだかずいぶん洗練されてきたというか、街の雰囲気が変わったね」と言うと、
「そりゃそうだよ。僕なんか毎日運転してるけど、昨日あった建物が今日はなかったり、昨日なかった道が今日突然できてたり、てな調子だよ。」
との返事。そこで暮らしている人々は毎日の変化に良いとか悪いとか、好きとか嫌いとかに関係なく、流れに乗るしかない現実を生きています。
その一方で、今回の仕事である農場のプラント建設現場において、
施工上必要な足場を現地の業者にお願いしたところ、現場に来た職人さんたちは足場に必要な資材と必要最小限の工具以外に、ほとんど何も持ってきていないのです。
つまり予備の工具も、クレーンなどの重機も使わず、自分の身体だけで仕事をこなしてしまうのです。
図面もほとんど見ず、寸法も測らず、現場を見て、ほとんど目算でやってしまうのでした。
また、農場で働く人々も然りで、日本ではフォークリフトを使うか二人掛りでやるような、米袋の揚げ降ろし作業を、表情一つ変えずに一人でこなしており、
市井の人々も、普通ハサミを使うレベルの太さの紐を、刀を使わず手だけで切ったり、ビール瓶のふたを栓抜き無しで開けるなんてこともよく見られます。
帰国してから、会社の上司に以上のようなことを報告すると、
「そういえば自分が若い頃は、現場で働く年配の職人さんも、どうやるんだかわからないけど細めの紐なんかは素手で切ってたし、道具はあまり使ってなかったなあ。」
今社会で活躍する世代の中国人は、物のない時代に育っているためなのか、なんとも身体使い方がうまいなと思わせる場面をよく見かけますし、
そういった身体能力や、身体を通じての思考力や発想力は、非常に高いというか強さがあるように感じます。
中国もだんだん物が溢れる世の中になってくると、身体の使い方が変わってくると思われますが、
格差や他の理由で、身体能力は温存され続けるのか、今後も注目して行きたいところです。
以上、取り急ぎ勝手ながら中国レポートとさせていただきます。
最後になりますが、我が家も母がすでに約4年になる長期入院で、大正15年生まれの父も今のところマイペースで働いていますが、
最近、腰椎狭窄症と診断され、転びやすくなりました。
今後のことを思うと、綱渡りのような気持ちになりますが、淡々と日々をこなしていくしかないな、と思っているところです。
まもなく冬になろうとしていますが、皆様ご自愛をお祈り致します。
********
以上です。
出張で欠席届が出されていて、先日、久しぶりに教室に復帰され、その翌日「2011年秋 中国リポート」を受け取りました。
「私、ひとりでは勿体ない。公開して皆さんにもぜひ読んで考えていただきたい」
転載許可を快諾いただきました。
「身体の技の継承」について、具体的に書かれていること等々、経済発展との絡みの中で、失われること・失われないこと等々、興味深い内容です。
象徴的な写真も貼付されていましたが、ここでは文章のみをご紹介いします。
そして私的には、ご高齢の親御さんのこと短くが書かれています。ここは省かせていただく方が無難かと考え迷いましたが、そのまま掲載させていただきます。日本女性が、今、働く現状を想像することが出来るからです。そしてこうした問題を抱えながら、一人ひとりが地道に仕事をこなしながら、国は支えられていることを読みとることができることが大切だと思いましたので。
野口体操を共に学ぶ仲間のリポートを、受け止めていただけると嬉しいです。
Sさん、お疲れさまです。ありがとうございます。
以下、いただいたメールからの転載です。
********
羽鳥先生
昨日は、久しぶりに出席できまして、
思った以上に体がほぐされたようで、とても気持ちがよかったです。
またお気にかけて下さり、ありがとうございました。
今回の出張では、中国の発展スピードがすさまじいことを改めて実感した次第です。
訪れた江蘇省の農場(上海から車で約6時間前後)までの道中について言えば、
人海戦術と突貫工事でドカドカと造られた片側3-4車線の高速道路が
大都市上海から地方へと、ひたすらほぼ直線状に伸び続けており、
その道路から各市へと続く新しい道路が次々に建設されています。
それは、まるで動脈から毛細血管に枝分かれしていくようで、
上海や沿海部の富が血管を通じて地方へと流れていっているのが、周辺の風景からも、
生々しく肌で感じられてしまうほどです。
勤め先の現地法人が江蘇省無錫市にあり、今回立ち寄った際、会社のドライバーに、
「前回来たのは、今年の3月だったけれど、なんだかずいぶん洗練されてきたというか、街の雰囲気が変わったね」と言うと、
「そりゃそうだよ。僕なんか毎日運転してるけど、昨日あった建物が今日はなかったり、昨日なかった道が今日突然できてたり、てな調子だよ。」
との返事。そこで暮らしている人々は毎日の変化に良いとか悪いとか、好きとか嫌いとかに関係なく、流れに乗るしかない現実を生きています。
その一方で、今回の仕事である農場のプラント建設現場において、
施工上必要な足場を現地の業者にお願いしたところ、現場に来た職人さんたちは足場に必要な資材と必要最小限の工具以外に、ほとんど何も持ってきていないのです。
つまり予備の工具も、クレーンなどの重機も使わず、自分の身体だけで仕事をこなしてしまうのです。
図面もほとんど見ず、寸法も測らず、現場を見て、ほとんど目算でやってしまうのでした。
また、農場で働く人々も然りで、日本ではフォークリフトを使うか二人掛りでやるような、米袋の揚げ降ろし作業を、表情一つ変えずに一人でこなしており、
市井の人々も、普通ハサミを使うレベルの太さの紐を、刀を使わず手だけで切ったり、ビール瓶のふたを栓抜き無しで開けるなんてこともよく見られます。
帰国してから、会社の上司に以上のようなことを報告すると、
「そういえば自分が若い頃は、現場で働く年配の職人さんも、どうやるんだかわからないけど細めの紐なんかは素手で切ってたし、道具はあまり使ってなかったなあ。」
今社会で活躍する世代の中国人は、物のない時代に育っているためなのか、なんとも身体使い方がうまいなと思わせる場面をよく見かけますし、
そういった身体能力や、身体を通じての思考力や発想力は、非常に高いというか強さがあるように感じます。
中国もだんだん物が溢れる世の中になってくると、身体の使い方が変わってくると思われますが、
格差や他の理由で、身体能力は温存され続けるのか、今後も注目して行きたいところです。
以上、取り急ぎ勝手ながら中国レポートとさせていただきます。
最後になりますが、我が家も母がすでに約4年になる長期入院で、大正15年生まれの父も今のところマイペースで働いていますが、
最近、腰椎狭窄症と診断され、転びやすくなりました。
今後のことを思うと、綱渡りのような気持ちになりますが、淡々と日々をこなしていくしかないな、と思っているところです。
まもなく冬になろうとしていますが、皆様ご自愛をお祈り致します。
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以上です。
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