羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「敬語」

2007年03月28日 19時38分05秒 | Weblog
 冊子として配られた文化審議会答申「敬語の指針」では、とりわけ「敬語の種類と働き」に新しさがある。このことは国語施策懇談会(文化庁主催)全体を通して強調された。その点が特に問題として取り上げられていた。
 
 これまでの「敬語の種類と働き」は、3種類に分けられていた。ー尊敬語・謙譲語・丁寧語ーである。
 18年度答申では、「尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ(丁重語)・丁寧語・美化語」の5種類に分けられるようになった。
 この説は学会ではすでに定説になっているらしい。

 刷り物を読むと次のような指摘がなされている。
『「敬語」は、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分けて説明されることが多い。ここでの5種類は、従来の3種類のうち「謙譲語」を「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に、また「丁寧語」と「丁寧語」と「美化語」に分けたものである。』
 わざわざ注意書きされているのだ。

 蒲谷宏(早稲田大学大学院日本語教育研究科教授)さんの私説によると、敬語は11にも分けられるという。いちばん少ない分け方では2分類だという。つまり「です・ます」と「それ以外」。
 私には、2分類という大雑把さがいいような気がした。しかし、分類というのは少なすぎても多すぎても分類する意味がないということが、蒲谷さんの説明で理解できた。

 日本語教育・あるいはコミュニケーション教育にとっては、分類することの意味は大きい。しかし、学生を卒業して社会でくらす一般人にとっては、「分類が3だ5だ」ということよりも、実際に敬語を話すときの「ことばの選び方」の問題の方が、正直いって先決のような気がしている。
 その場の雰囲気を壊さないとか、いい関係を持ちたいとか、実際の場で発せられる言葉に興味がある。

 パネルディスカッションで、杉戸清樹(国立国語研究所所長)さんが話された「この言葉をつかわなかったらどのような人間関係が生まれてしまうのか。別の人間関係がつくりだされてしまう、そのことに思いを馳せてほしい」という言葉が印象的だった。

 このパネルディスカッションは、司会・阿刀田高(作家)。パネリストは井田由美(日本テレビ報道局解説委員)、蒲谷宏、村松由紀子(目黒区立第八中学校長)の5名の方々によるものだった。
 なかなか面白い話を聞くことが出来た。

 つづく
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