羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

深読み! 「原初生命体としての人間」 4 鉱物らしからぬ性質ゆえに

2006年05月21日 09時14分09秒 | Weblog
 今年の東京国際ミネラルフェアは、スーパーミネラル、つまり博物館や一流コレクターに向けたハイクラスな鉱物が勢ぞろいするらしい。
 お知らせが載っている「新宿副都心ニュース」の写真も「金」「トルマリン」「銅」「アクアマリン」などなど美しい鉱物・宝石・貴石などの写真が並べられている。
 しかし、これだけではなく、例年通り手ごろな石や化石もあるようだ。

 ところが野口体操の授業では、その意に反すかのように、ありふれた鉱物・鉱物らしからぬ性質をもつ「粘土鉱物」に興味を持って、いろいろな試みを行っている。
 高価な値がついて取引されるものは、希少価値・美しさ・永久不変性など、一般的な常識にのっとっているものである。
 それに比べて「粘土鉱物」は、地球上の何処にでもあるありふれたもの。
 つまり、粘土・粘土鉱物が分布しているところは、地殻の上層部にあって、気圏・水圏・生物圏に接し交わっている。到底、希少価値もなく、とりたてて美しさを競う鉱物でもなく、永久不変という「変わらぬ硬さ」をもっているものでもない。早い話が「東京国際ミネラルフェア」などではお話にならない鉱物なのである。

 しかし、私たちが興味を持つのは、「生命」とのかかわりである。
 先日来問題にしている『生命の起源 地球が書いたシナリオ』中沢弘基の著書によるのである。
「生命は地下で発生し海洋に適応放散した」という考えに共感するところから「粘土鉱物」への関心が始まった。
 大陸移動説・ダイナミックに流動する地球観によって「生命の起源」を新しく解き明かしていこうという著者の姿勢に、痛く共鳴するからだ。
 すべては大胆な仮説からはじまる。あえて暴言をお許しいただけば、野口三千三先生が書かれた『原初生命体としての人間』だって、1970年初版が出た当時から20年以上も、珍書の部類に入っていた。はっきり言ってある一部の人たち以外からは、奇異な目で見られるどころか、振り返ってももらえなかったのが現実だった。

 実に、中沢氏が書かれたこの本の姿勢が、気に入っている。
 昨日は、朝日カルチャーのレッスンに、日常生活に「粘土」が活かされているものを持っていった。にぎやかだった。驚くほどの関心を示していただけた。
 できることなら、このテーマは、時間をかけて追ってみたい。

 そこで、おさらいと展望。
 粘土鉱物の性質「親水性」「膨潤性」「揺変性」が、他の鉱物にはない独特の性質である。そのことは素人にも分かる話だ。話だけでなく、近々、その実感を味わえる方法を編み出してみよう。
 
 ミネラルフェアの会場には、粘土鉱物を置くブースはありえない! 
 しかし、会場にいることで、人に出会うことができる。人に出会うということは、直接・間接ともに情報が行きかうことである。
 野口先生が東京国際ミネラルフェアにかかわりを持たれて20年近く。
 毎年、そこに通ったことは「無機界と有機界を結ぶ無機鉱物としての粘土鉱物」をもっと深く知る一本の道だったのかもしれない。
 
 価値というものは、希少価値もあれば、ありふれたものだからこそ「生命」にかかわっていく「普通の価値」もある。「普」とは「あまねくひろく」という意味である。動詞としての「通」がつけば、脳の神経細胞が、ある刺激によって触手を伸ばし、新しいつながり・関係を見つけていくその姿が思い出される。

 粘土鉱物が示す「親水性」「膨潤性」「揺変性」という生物と親しむ「鉱物らしからぬ性質」は、そのまま野口体操の原理に一致するもの? 

 というわけで美しい希少価値の鉱物も楽しみながら、地球の懐の深さを改めて感じてみたいと思っている。
 それも 深読み! 『原初生命体』なのではないかとも?
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