羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

二重苦

2014年02月08日 12時29分38秒 | Weblog
 このところの寒さで、人ははやく家路につくらしい。隣人たちもその例にもれず。
 実は、我が家の隣には、ワンルームマンションがあって、どんな人が住んでいるのかはわからないが、皆の帰宅がはやくなっているらしい。夜になると建物全体が大きなうなり声をあげる。
 うなり声と言っても人の声ではなく、何世帯ものモーターがまわる音が、ブーンブーンうなり現象を起こしているのである。
 さらに最近になって越してきた人だろうか、夜10時前後から洗濯をはじめて、11時頃まで洗濯機のまわる音が加わるというおまけがついた。
 床に入ると音というより、床と壁が振動を受け取って、うるさいことこの上ない。
 最近の寝不足は、これに一因している。
 一つめの苦。

 二つ目の苦は、母の痛みが再発したこと。
 明け方、トイレに立つ時の痛がる声が、静まり返った空間に鳴り響くのである。
 さすがいたたまれなくなって、かかりつけの内科の医者に、痛み止めの座薬を処方してもらった。
 長期に飲む痛み止め薬は、胃ばかりでなく腎臓を悪くすると整形外科の医者から聞いた。なのに、飲み薬を処方するのは、自分で座薬を入れるのは難しいだけでなく、他の人も入れたがらない、本人も恥ずかしい、ということなのではないか、と勝手に推察している。

 父が癌の末期に、座薬の鎮痛剤を使っていた。母は、これには関わりを持とうとしなかったので、私が引き受けた。すぐに慣れる。先端を暖めて緩めておくと、なんということはなく肛門に入って、本人は痛くもも何ともない。
 尾籠な話で恐縮だが、せっかく座薬を入れた後に、便意がきたり、下痢をすることも何度も経験した。
 また、すべて一からやり直しだ。はじめのうちは手袋をはめていたが、そのうちに素手の方がやりやすく手間取らないことに気づいた。最近では町のドラッグストアで、それ専用の薄いゴム手袋を売っている。当時はそんな重宝な物があるとは考えもせずにいた。

 で、昨晩は、座薬を入れる入れないで、母ともめた。
「また、痛むとは限らないでしょ。薬はあまりつかいたっくないのッ!おせっかいで、しつこいんだから」
 ムッとなって、ケンカ腰。
 そのまま床についたら、隣のマンションの騒音に見舞われた。洗濯機は小さく狭いベランダに置いてある。たまったものではない。母とは別に暮らす、引っ越しを本気で考えた。
 そんなわけで頭はカッカして、足は冷たくなる。
 階下では、案の定、痛がる声がしている。

 我慢しきれず起き上がって、お風呂を湧かすことにした。
 今度は、待つ間に、座薬を入れようと優しく声をかけた。
「お風呂から上がってやると湯冷めするから、今でしょ!」
「今でしょ!」と二・三回、連呼した。
 さすがに痛さから、今度ばかりは素直になった母。
 
 というわけでお風呂であたたまって、12時過ぎにようやく床についた。
 二重苦の夜は更けていった。
 そして、明け方にモーターのうなり現象もなく、痛がる声もなく、静かな朝を迎えた。
 しんしんと降り積もる雪。
 朝日カルチャーは、本日、休講との連絡をいただいた。
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