羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

第20回明治大学シェイクスピアプロジェクト公演 400年越えの悲劇

2023年11月07日 05時26分36秒 | Weblog
20度越えの日が続く2023年11月6日午後。
いつもなら少し厚めのコートを着ていくのだが、今年は10月初旬の服装で出掛けて行っても暑かった。

毎年 夏 キャストの学生に野口体操を
上演された明治大学アカデミーコモンズ

最初に公演を見たのが2009年第6回「ハムレット」だった。
明治大学の文学部と国際日本学部で、野口体操の授業を持った初めての年。
主役を演じた文学部の男子学生はもちろん、同じクラスの履修学生の何人もがキャストやスタッフをつとめていた。

あの日は寒い北風が吹いていたような気がする。
「これが学生たちの演劇か!?」
完成度の高い舞台に驚かされた。

その後、第8回「冬物語」から、8月〜9月にかけて、11月の公演に向けての稽古始まりの時期に野口体操のワークショップで、30名近いキャストの学生さんと、野口体操を楽しませてもらっていた。

そして13回目の今年、巡り巡って2回目の「ハムレット」だった。

冒頭、あの有名な科白「生きるべきか、死ぬべきか」から始まった。
これはいつもと違うぞ!と思わせる。
思わせぶりだけではなく、舞台演出がこれまで以上に斬新だった。
言葉も色使いも、階段を上手く活かす装置はいつものことだがある仕掛けがあった。
ドラマの終盤、階段の中央部分が開いて、オフィーリアを埋葬する墓場になるのだ。
そこで最後の悲劇に向かう前のひととき、墓掘り人夫3人が軽妙な味を出す。
400年前の古典悲劇を、令和の学生が演じている。
まさにそうした新鮮な舞台づくりである。

コロナ禍のオンライン稽古の2年を過ごして、制約のない公演が実現した今年は、稽古の時から学生は弾けていた!
いい意味の弾け方が、そのまま舞台になった感じだ。
とにかく発想が自由だ。
ワークショップの間中、想像もしない動きやコミュニケーションをとってくれたあの夏の日を思す。

20年という伝統も生かしながら
「俺たちの 私たちの シェイクスピアをやるんだ」
意気込みに満ちた舞台であったことだけは間違いない。

これが正解、といいう答えはない。
シェイクスピアはどんな演出であろうと如何様にも答えてくれる。

早稲田大学・演劇博物館におわします

ご覧になっても「面白い」といってもらえるかな
いってほしい学生たちの力作である。
坪内逍遥博士もきっとふむふむ・・・・。

昨日の夜の部が千秋楽。
来年の公演の構想や準備は、間もなく始まる。

学生にとって、翻訳から制作まで百数十人が一年かけて行う学びの集大成。
実体験の場に栄光あれ!
コメント
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