御神楽少女探偵団その13
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蘇る夢男の後編からである。
管理人宅では、蘭子と兄弟が将棋のようなもので遊んでいた。
「軍人将棋」というゲームで、現代大戦略の元ネタとなったゲームである。
しかし、二人の駒の動かし方がおかしい。
駒は赤と黄なのだが、二人共しょっちゅう相手の駒を動かしたりしているのだ。
たまりかねて蘭子が「それ、正男君の駒だよ」と教えたりしている。
それを見た時人の顔色が変わった!
瘋癲時人はその本領を発揮して、何処ともなく姿を消してしまう。
■蘇る夢男 解決篇
そして1週間後・・・
ようやく戻った時人は、三人の前で謎解きをするが、それは蘭子がいないことを確認してからだった。
時人と三人は、八年前に倉賀父子が監禁されたお堂に入った。
そこには真新しい紙の束があり、そこには財部一族の名前と、それぞれの殺害方法が詳細に書かれていた。
そして、警察に送られてきた、夢男からの挑戦状とほぼ同じ内容の手紙も、その紙束の間に挟まっていたのだ。
時人は、これらこそが倉賀の遺した殺人教科書だという。
倉賀は、自室に隠しておいた暗室の鍵がなくなっているのを発見して(時人が取ったものである)、犯行が露見したことを悟った。
そこで、あえて自らの顔を焼き、倉賀生存の可能性を匂わせたまま自殺したのである。
芙美子殺害の状況が実際と手紙で異なっているのも、倉賀が死ぬに書いた手紙だからである。
この一週間で調査したところ、左門は三年前に一座に預けられた、倉賀とはなんら血縁関係の無い少年だったことがわかった。
倉賀丁三の本当のこどもたちは、阿部譲太郎と阿部正男の兄弟だった。
彼らこそが倉賀と芙美子の間に生まれた二人の息子であり、彼らの本名は倉賀左門と右門である。
阿部善明が管理人として屋敷にやって来る以前に、倉賀と阿部は知り合いだった。
そして、財部に恨みを持つもの同士の協力する手立てとして、倉賀は二人の息子を阿部に預けたのだ。
時人は証拠としての色盲の話をする。
芙美子は蘭子に仕事を言いつけた際、漆塗りの箱と白木の箱を間違えて指差した。
それは赤と黄の区別がつかない色盲に原因がある、と考えた時人が財部家主治医に確認を取ったところ、やはり芙美子は色盲だった。
そして、犯人も芙美子殺害の際、漆塗りの箱と白木の箱を間違えて開けている。
犯人も、芙美子と同様に赤と黄の区別がつかない色盲だったのだ。
二人が軍人将棋で赤と黄の駒を取り違え、蘭子に指摘されているさまを見て、時人はこの事実に気がついたのである。
調査の結果、阿部家に色盲の遺伝は存在しないことも判明した。
彼らの真の父親は、無念の内にに割腹自殺して果てた。
そして、お堂の内壁には、そこは八年前監禁された二人の手によって刻まれた、「おかあさん おかあさん おかあさん」という、つたない文字が無数に書かれていたのである。
彼らは母親に捨てられたのである。
その時、お堂の外で駆け去って行く足音がした。
外に出てみると、財部屋敷へ向かって走り去っていく譲太朗・正男兄弟の姿があったのだ。
そして兄弟は原田安子殺害に使った青酸カリをあおり、父親の元に去っていった・・・
このエンディングと謎解きだが、致命的な誤りがある。
それは色盲(色弱)で色の見分けがつかないのは、「赤と黄色」ではなく、赤緑色盲というように、「赤と緑」という点である。
色盲のパターンを調べてみたのだが、見本として載せられている画像でも、赤と黄色は判別が可能なのだ。
せめて軍人将棋の駒の色を、赤と緑にしておけば、もっと説得力が増えただろうに、なまじゲームの内容そのものは良いだけに残念である。
10年ぶりに大いに楽しんだ御神楽少女探偵団は、これでおしまいである。
PS版ではこの後に猟奇同盟の前編が入っているのだが、エルフ版では猟奇同盟は「続・御神楽少女探偵団」に同じものが入っているので、そちらでプレイすることになっているからである。
御神楽少女探偵団その14へ続く