御神楽少女探偵団その12
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蘇る夢男の続きの所からである。
■ 捜査編2
管理人宅に行って見ると、蘭子と阿部兄弟がいて、バケツ一杯の岩海苔を見せられた。
兄弟は「小っちゃい時からこの辺りの海岸で遊んでいたから、岩海苔が獲れる場所はよくしってるよ」という。
?
安倍たちは、2年前にここに来た筈だ。
それが小さい頃からとは?
塚原浄光寺の境内では、住職が落ち葉を曹「ていた。
そして、住職は「蔵賀を責める気にはなれない。
わしも恨んでおったかもしれんな」と言う。
住職を怨むとはどう言う意味ですかと巴が聞くと、住職は先に立って歩き出した。
そして小さなお堂の前で足を止めた。
「ここが蔵賀が復讐の鬼になった場所じゃ」
倉賀はがんとして芙美子との離婚を承諾しなかったのだが、業を煮やした権兵衛はチンピラを雇い、寺の裏手にあるこのお堂に、倉賀と二人の幼い息子を閉じ込めたのだ。
蔵賀は死んでも離婚など承諾しないつもりだったが、幼い子供が飢えと渇きに泣き叫ぶ姿に、ついに折れた。
その時住職は、その無法を知っていながら止めることができなかったのだ。
「わしも恨んでおったかもしれんな」というのは、そのことだったのである。
主人室にいる長田と話すと、権兵衛と光太郎は東京に避難したそうだ。
そこへ多岐川刑事がどたどたと入って来た。
なんと寺泊警察に、犯人からの挑戦状が届いたそうである。
しかもその中には「これからも死人が出るだろう」などと書いてあるのだ。
そして多岐川刑事は筆跡鑑定の結果、現在屋敷にいる人間の中では、一致する筆跡はなかったと言う。
しかし、死んだ倉賀の筆跡とは一致するのである。
ここで滋乃が自分の考えを話す。
それは蔵賀が死んだと言っても、顔は焼けただれていて判別できない。
蔵賀が別人を身代わりにしたと考えれば、青酸カリ入手の件と合わせて理解できる、というものである。
■捜査編3
深夜、一発の銃声が響いた。
場所は夫人室で、芙美子の射殺死体がみつかった。
検死の結果、凶器は芙美子の懐中鉄炮であることが判明した。
蘭子が以前間違えて芙美子に叱られた、白木の箱に入っていた拳銃である。
また、芙美子の死体の近くには、小鳥の餌が散らばっていた。
犯人は、蘭子同様に白木の箱と漆塗りの箱を間違えたらしい。
押し入れの襖が半開きになっていて、煤がついているのは、犯人はそこに潜んでいて襖ごしに発砲したからだろう。
長田の話では、。廷内のほとんどの者は、この銃のことを知っていたらしい。
では、なぜ犯人は白木の箱と漆塗りの箱を間違えたのだろう?
暗がりで手探りだったためなのだろうか。
小弥太に聞いて見ると、七時頃に一度夫人室の明かりがついたのが見えたそうだ。
しかし、その明かりは五分位ですぐ消えてしまったという。
となると、暗がりで箱を間違えたという説は、なくなりそうだ。
多岐川刑事はまたも夢男から手紙が来たという。
そしてアイテム欄でその手紙を調べると、妙な事が書いてあった。
「芙美子の亡骸を見た時の、権兵衛の顔、実に楽しませてもらったよ。」
? これはおかしい。
権兵衛は未だ東京から帰っていないのだ。
管理人宅に行くと、時人が戻っていた。
御神楽少女探偵団その13へ続く